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俺の幼馴染み♂が怪しい  作者: シャチ
5/19

1泊2日@俺の名前は略すとオージ

「おーちゃん、お風呂にする?ご飯にする?それとも…」


俺の家に着くなり太郎は言った。

なんだか先が思いやられる。


「た・わ・し?」


「…じゃあ、タワシで」


「なんだよー。俺の渾身のギャグなのに!」



結局、夕飯の準備がある太郎が先に風呂に入り、そのあと俺が入ることになった。


風呂から上がると、持参したジャージとスウェットに着替えた太郎がキッチンで作業していた。着ていた学ランは、すでに2階の俺の部屋にハンガーで掛けてある。太郎のこうしたマメな一面にはギョッとする。というのは嘘で正直、感心せざるを得ない。

リビングにミートソースのいい匂いが漂ってきていた。


「太郎、俺もなんか手伝う?」


「いや、いいよ。キッチンに料理できない奴がいるってスゲー邪魔だから」


さいですか。


「ほら、せっかく親いないんだし、おーちゃんはリビングの大画面でAV鑑賞してろよ」


友だちが夕飯作ってくれてるって最中にエロビデオ観るなんて最低もいいとこだろ!





ダイニングテーブルに太郎いわく、特製山盛りミートソーススパゲティと野菜スープが並んだ。


「そういや。なあ…」


最後にフォークとスプーンを置いた太郎は席に着かず、俺の横に来て言った。


「見てくれよ、俺のパンツ」


出たな、変態!


「この前、お袋が買ってきたんだよ、ほらエ◯モ(赤いもじゃ毛の某キャラクター)のなんだ」


そう言って目の前でズボンを下ろすと、赤いそれがしっかりとプリントされた黒いボクサーパンツを俺に見せつけた。


「あり得ないだろ、これ」


お前、そう言ってちゃっかり履いてんじゃん!実は気に入ってるんだろ!だいたい、なんだ⁈旨そうな飯をよそに目の前で親友がズボン下ろしてるって、どうゆう状況だよ、こりゃ!


「まあ、その…結構似合ってるって。だからとにかくズボン履け」


太郎はぶつくさ言いながら向かいのイスに座り、ようやくゆうげの時を迎えることができた。


「どう?いける?どんな味?」


俺が料理の感想を言うまで太郎は食わないつもりらしい。


「うまあじ」


「真面目に!もっと真剣に言ってくれって!」


「俺はグルメリポーターじゃねえから、うまいとしか言いようがない」


「そりゃよかった」


そうして太郎も夕飯にありつき、何やらニヤニヤしている。


「なんかさぁ、こうゆうのってさぁ…」


「なに?」


「ブックックックッ」


え?なにこいつ、キモい!


「なんだよ⁉」


「ごめん、ごめん!なんでもない!」


その時、太郎の電話が鳴った。


太郎は渋々といった様子で鞄からスマホを取り出し「ごめん、今忙しいから」と、電話を切った。しかし直ぐにまた電話が鳴り、太郎はスマホを持って玄関の隅まで行き、なにやら話していた。席に戻ってきたときの「食事中にごめんな。浮気じゃないからな!」という言葉はいらなかった。


その後俺たちは、皿洗いをし、深夜までゲームをした。何度か太郎の電話が鳴ったが、出ることは無かった。




「あー、目がシパシパしてきた。もうそろそろ寝ようぜ」


俺はベッドの上から、隣に布団をひいてゲームをしている太郎に言った。

(始めは太郎にベッドを使わせていたが、『おーちゃんの匂いがする』と嗅ぎ回って気色悪かったのでおろした)


「えー、これからだろ!じゃあゲームは止めて、怪談話しよう!」


「この時期に怪談かよ?いいよ。明日も部活あるし、寝ようって」


「とか言って、本当は怖いんだろ?ん?夜ひとりでトイレに行けなくなっちまうのが嫌か?」


「ふざけんな。んなわけないだろ!だいたいお前の怪談話が怖かったことなんて一度もねえよ!」


「へえ。後悔してもしらないぞ!」


そう言って太郎は勝手に話し始めた。が、うとうとしてあまり聞いていなかったので、爺さんが便所でトイレットペーパーをくれ!と言っている、怪談というよりただの意味不明な話になった。







ピピッ、ピピッ

8時にセットしておいた携帯のアラームが鳴った。俺は半分眠りながらアラームを止めると、横に人影があることに気付いた。


「おはよう!おーちゃん!」


「お…」はよう、は出てこなかった。


「どうだ!驚いた?これ、妹から借りたんだ!さあ、王子さま、朝食の準備が出来てます!」


そこには太郎が立ってた。それだけではなかった。奴は黒い生地にふりふりの白いレースがついた、明らかにサイズの小さいエプロンをしていた。そして、これもわざとだろう。エプロンの下にはタンクトップとエ○モのボクサーパンツしか身に付けておらず、正面から見ると裸エプロンのようだった。




なんで裸エプロンみたいなことしてんだよ!

とか

お前は正真正銘の変態だ!

とか

俺を驚かすためにわざわざ用意したのかよ?アホか!

とか

お前の妹って、そうゆうの着てるの?

とか

早起きして朝飯まで作ってくれてありがとう

とか、言いたいことは山ほどあった。しかしどれも口にだすことが出来なかった。


「うぎゃああああ!!!!」


こんな大声をあげたのは産まれて初めてだと思う。



父さん、母さん、温泉は楽しかったですか?

早く帰ってきて下さい。

お願いします。




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