表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の幼馴染み♂が怪しい  作者: シャチ
4/19

春休み@姫様いってらっしゃいませ!


「次郎」


リビングのソファでゴロゴロしていたところ、ダイニングテーブルを拭いていたお袋に呼ばれた。

あ、忘れてたかもしれないけど、俺の名前、次郎っていいます。


「ん〜?」


俺はテレビから視線をお袋に向けた。


「来週、結婚記念日で旅行いくけど、あんたは部活あるし、行かなくていいわよね?」



期末試験も無事終了し、今は絶賛春休み中だ。春休みってのは宿題がないからいいんだが、その代わりに部活が多い。今日も夕方まで練習してきたところだった。


「うん、行かね」


「じゃあ、お金置いてくからご飯は自分で買ってね。あと、出掛ける時は戸締まりしっかりね。あと、暖房もちゃんと切ってくのよ。あと、火使うときは気をつけるのよ。あと、食器使ったらちゃんと洗いなさいよ。ついでに、お風呂掃除と、トイレ…」


「分かった!分かったよ!」


「えっ?お風呂掃除とトイレ掃除、してくれるの?」


げげっ!しまった。


「そんなん旅行帰ってからすりゃいいじゃん。それよか姫は?」


姫ってのはうちで飼ってるチワワのことだ。もちろん俺が名前をつけたんじゃないからな。お袋が『本当は女の子が欲しかったのよねー』と言って半年前に買ってきた。

俺に訳のわからないタイミングで吠えてくるのであまり可愛くない。


「あんたと2人きりなんて可哀想でしょ。一緒に連れてくわよ。というより、今回の旅行は姫ちゃんが主役なんだから!犬と一緒に入れる温泉に行くのよ‼」


「へぇー」

俺はまたテレビに視線を戻した。

が、急にバカ犬が俺に向かって吠えてきた。


「んだよ⁈」


「姫ちゃんがソファどけだって」


お袋は笑いながらテーブルに箸を並べている。


「ちっ」


俺は渋々、ダイニングテーブルのイスに移った。


「こら、舌打ちしない!」


俺の前に、ソファの上で勝ち誇った顔してるバカ犬を叱れよ!






いつもの部活の帰り道。


「太郎、今日、俺こっちから帰るわ」

俺は自転車を止めて言った。


「え?なんで?」


「コンビニ寄って夕飯買ってく」


「夕飯?…え、おーちゃん、家でハブられてるのか?」


やめろ‼


「親が旅行でいないんだよ」


「ああ!それで昼も市販の弁当だったんだな。なんだよ!早く言ってくれりゃいいのに。

…分かった!とりあえず、俺ん家行って、それからおーちゃんちに行こう!」


「なんでだよ?」


「いいから、ついて来いって!」





「あー、ちょっと待ってて」

そう言うと太郎は家に入っていった。


『ただいまー!なあ、俺、今日おーちゃんち泊まるから!』


お前、声でかくない?外にいる俺に丸聞こえだけど?あと、なんか計画があるみたいだが、まず俺に話せよ、そうゆうのは!


『だから!旅行行ってんだって!で、おーちゃんが寂しいって言うから泊まりに行くんだよ!』


俺いつそんなこと言った?


『うちに泊めるんじゃダメなんだよ!俺がおーちゃんちに泊まりに行くんだ!!』


なに駄々こねてんだよ、お前。


『分かったって!それは俺から連絡するから!あと家の食材、ちょっと持ってくからな!』


しばらくすると、玄関から勢いよく太郎が出てきた。


「お待たせ!なあ、俺、これからどうすると思う?」


「…」


「まあいいや、とりあえず携帯でおばさんに連絡してくれ!」


俺は言われるがまま、お袋に電話した。


『どしたの?…まさか蛍光灯割ったりしてないでしょうね?』


俺、家ん中でどんなエキサイティングなことしてんだよ!


「してね…『それより、聞いてよ!お父さんが姫ちゃんを独占してるのよ!どうしてくれる?』


知らん‼少しは俺がしゃべるすきを与えろ!


「あのさ、太郎が話しあるって」


携帯を渡すと太郎はてきぱきと話して電話を切った。最後の『おーちゃんのおもりは俺に任せて、ゆっくりしてきて下さい!』って台詞がむしょうに腹立たしい。


「なんと!今日、俺はおーちゃんちに泊まりに行きます!!」


太郎は食材が入っているだろうトートバッグを俺の前にズイと差し出した。


「お前がもうちょっと小さい声で話してたら、今頃びっくりしてたと思う」


「なんだよ!聞いてたのかよ」


盗み聞きしてたみたいな言い方しないでほしい。


「このまま、おーちゃんちにレッツゴー‼

と思いきや!残念ー!スーパーに、挽き肉を買いに行くぜ!!」


異様なハイテンションが若干うざい。


「挽き肉?ハンバーグでも作んの?」


「ハンバーグww」


え?なぜ、笑う?そんなおかしい事言ったか?


「なに、ハンバーグ食いたいの?ハンバーグ好きなの?ならそれでもいいよ?ハンバーグにする?」


明らかに小馬鹿にしてるだろ!


「別になんだっていいって!」


「ミートソーススパゲティ作る予定だけど、それでいいかい?」


「ああ、いいよ」


なぜか太郎がじっとこちらを見ている。


「ハンバーグほおばってるおーちゃん萌え」


ほおばってねえよ!!勝手に妄想するな!


「お前、キモい」


「え?そうか?」


少しはダメージ受けろよ!


「楽しみだなーー。夜はオールしようぜ!」





今までにもお互いの家に泊まったことはあった。しかし2人だけってのは今回が初めてだ。


大丈夫。心配することなんかなにもない。俺は自分にそう言い聞かせた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ