配属される⑥
『剣道か、勝負してやる。』
『んなら、俺は、柔道やな。』
『じゃぁ、僕は、英会話と英読で~』
『私は、セキュリティ関連の知識があるのかどうか、気になるところですね。』
あれ?
なんか読み間違えたらしい。
女にもてるのが生き甲斐っぽい、ヘンタイも釣れた。
まぁ、いいか・・・
《よし、まずは、稽古場に行くか!
久々に、俺も相手してやる。》
【わかりました、勝負しましょう。】
『・・・留守番しとく・・・』
《浅野、おまえも参加するんだよ》
『面倒・・・』
なんて、無口男(浅野さんというらしい)を引きずりながら、
二課全員で稽古場へ移動していると、
会いたくもないのが、やっぱり来ちゃうんだね。
何でこのタイミングで来ちゃうのさ、忠信にいさん・・・。
『よぉ!桐沢。』
《野村か・・・》
『二課全員で動くとは、珍しいな。
何しに行くんだ?』
《新人の歓迎会で、稽古場でちょっとな・・・》
『ふ~ん・・・』
な、なに?こっちに視線合わせないでよ。
頼むから、知らないふりしてよ。
『面白そうだから、僕も参加しちゃお~っと』
いや、参加しなくていいし、それよりも、自分の持ち場に戻れって。
まったく戻る気の無い忠信にいさんは、
一番後ろにいる私の後についてくる。
そして、小声で・・・
『手加減してやれよ。』
なんて、言ってきやがる。
そんなん、言われなくてもわかってるっての。
実は、自己紹介で言った段とかは、ちゃんと昇段試験を受けていたときのものであって、
中学以降は、一切、昇段試験を受けてはいないため、
現時点での正確な段は、自分でも正直わからない。
まぁ、稽古自体は、かかしていないし、時たま、忠信にいさんと手合わせすることもあるから、
その辺のところは、にいさんを基準にすれば、いいのかもしれないけど。
とりあえず、女の子相手でもないし、そんなに手加減しなくてもいいかなぁ?
むしろ、手加減せずに、叩いちゃおうなんて思ってる自分がいた・・・。