表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
騙された・・・  作者:
1/30

過去から現在まで①


騙された・・・


春の人事異動に伴う内示が示された時、私は、そう思った。



都内の下町育ちで、キップのいいオバちゃんや江戸っ子のオジちゃんたちに囲まれて育ち、


一生、この街で過ごす、そう考えていた私が、


将来のことを見据え始めたのは、高校に進学してからだった。


中学時代から、そこそこの運動神経と頭脳があったので、


実家から程近い、それなりのレベルの高校にも難なく合格した。



(中学の担任には、もっと上を狙えると、さまざまな高校を進められた。


 が、しかし、地元を離れる気は、サラサラ無かったので、無視を決め込んだのだが。


 まぁ、後で聞いた話によると、スポーツで有名な私立大学の付属高校やら、


 六大学への進学率アップを狙っていた私立高校やらが、推薦入学の枠を用意する、と


 言って来ていたそうだ。)



入学早々、配られたのは、進路希望の用紙。


自分のリサーチ不足だったのだが、この高校は、卒業後の進路についての指導に力を入れていて、


2年の後半や3年になって、慌てて考えることの無いよう、


入学直後から、進路について、考えさせるという方針なのだそうだ。


もちろんのことながら、私の頭の中にあるのは、ここでずっと生きていくことであるから、


進路希望の用紙にも、デカデカと、


『地元で就職』


と書いて出した。


特に、何になりたいという希望もないので、大学へ行くという選択肢もまったく、無かった。


その結果、当時の担任に放課後に呼び出しを食らうという羽目に陥った。



「地元で就職ってなぁ、どういう業種で、どういう仕事をするとか、あるだろ。


 そういうことを確認しようとしているのに、それだけじゃなぁ・・・。」


【とりあえず、地元にいられればそれでいいんです。】


「それでいいといわれてもな、就職先を紹介するにしても、どういうものがいいとか、


 選べないだろ。もう少し、時間をやるから、具体的に考えて来い。」



と、呆れた様子で、言われた。


そう言われても、何も思いつかないんだよなぁ。


自分に何が向いているとか、そういうことを一切考えたことがなかった故、


高校から自宅への帰路をトボトボと歩きながら、考え込んでいた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ