① 月のバックヤード
一般的に知られている「竹取物語」のその後の話を、独自解釈で展開して行きます。
月に帰ったカグヤは、その後どうなったのか?
目くじら立てずに、楽しんでいただけたら幸いです。
ひょっとしたら、私の代表作「セーラー服と雪女」シリーズの世界観を、共有するかも…(>ω<)
地上連絡船に戻ったカグヤは、さしたる感動も無く、阿呆のように口をポカンと開けて、こちらを見上げる地上人たちを、船窓から見ていた。
迎えの者たちに教えられたことによると、あの中の老夫婦が、地上での親代わりだったらしい。
記憶想起ヘルメットを被る前ならまだしも、そう言われたところで、不義理かもしれないが、今となっては、なんの感傷も湧いて来なかった。
せめて感謝の念を込めて、手でも振ってみるか。
そう思って、下に向かって手を振るうちに、見る見る地上は遠ざかり、あっと言う間に、それは蒼く丸い惑星の姿になってしまった。
「カグヤ。」
迎えに来たミロク船長が語りかける。
「今から月の裏側の基地に向かいます。よろしいですね?」
「…お願い致します。」
すると、地上連絡船は滑らかに加速し、程なくして月の裏側に到着した。
そして、そこに居た母船内に吸い込まれ、母船はゆっくりと地下の前哨基地に降りて行った。
「カグヤ!」
母船から降りて、月面地下基地の、控え室で待っていると、そこに彼女の本当の両親が、駆けつけた。
「お父様、お母様、ご無事だったのですね。良かった!」
「ああ、何とか最終の脱出船に間に合ったよ。」
と父上がおっしゃられた。
「それに、私たちの母星ニビルも、隕石群の襲来から、無事に助かったのよ。」
と母上がおっしゃった。
「ええっ!?」
カグヤは、記憶が戻って依頼、初めての大声を上げた。
「何でも、サン・ジェルマンの下僕とかいう、未来からやって来た方々が、私たちのニビルを、隕石群襲来直前に、安全な場所に移動させてくれたらしいのよ。」
「じゃあ、先に逃げて行った爬虫類族も…。」
「…ああ、きっとヤツラも帰って来るだろう。もしかしたら、先にニビルに到着しているかもしれない。」
「…そう。また争いが始まるのね?」
「大丈夫だ、カグヤ。お前はもう、充分に強い。」
「私は、お父様、お母様のことが心配だわ。」
「なんの。私とて、まだまだ現役だぞ。」
「そうよ。私も大丈夫だから、心配しないで。」
父と母は、気丈にもカグヤにそう言うのであった。
そこに、船長の使いの者がやって来て、母船の出航準備が整ったと告げた。
カグヤたち親子三名は、揃って母船に戻り、月面地下基地を再び出航した。
目指すは、ケプラー星系に移動したと伝えらる、母星ニビル。船は亜光速から、ワープ航法に移行したのだった。




