現代人との出会い
見知らぬ街をあてもなく歩き回ったあと、五人は小さな公園にたどり着いた。
ブランコや滑り台のある場所は、どこか子どもの遊び場らしいが、金属やプラスチックでできた道具ばかりで、木や縄の匂いは一切しない。
「……なんか城下町とはぜんぜん違うな」カズマが呆れたようにため息をつく。
「腹も減ったし、ちょっと腰を下ろそうぜ」タケルが指さしたのは、公園の隅にある長い木の板のようなベンチだった。
五人が腰を下ろし、ぼんやりと空を見ていたときだった。
「ねえ、それ、なにその格好?コスプレ?」
声をかけてきたのは、半ズボンにパーカー姿の、見知らぬ少年。
髪型も服も、五人にとってはまったく見たことのないスタイルだった。
「こす……?」
タケルは眉をひそめ、警戒するように少年を見た。
「お主、何を言っておる?コス……ぷれ……?」
「え、忍者のコスプレじゃないの?めっちゃリアルじゃん」少年は悪びれもせず笑った。
そのとき、少年がポケットから四角い板――スマホ――を取り出した。
「パシャッ!」
小さな音と同時に、光が一瞬走る。
「ちょ、な、何しておる!」
アヤメが悲鳴を上げ、慌てて顔を両手で隠した。
「や、やめろ! 魂を抜く呪具か!? 」カズマまで腰を浮かせる。
「へえ、映えるなあ……よし、インスタに上げよっと」少年はスマホを操作しながらにやりと笑った。
「いんすた……?あげる……?何をだ?」
ミオは首をかしげる。
ヨシロウは眉間にしわを寄せ、「……この世の言葉じゃねぇな」と低くつぶやいた。
「この者、何やら怪しげな術を使っておる……」
結局、その少年は不思議そうに五人を眺めたまま、軽く手を振って走り去っていった。
だが、この小さな出来事がきっかけで、五人は現代の人々と少しずつ関わりを持つようになる。
初めて入ったコンビニでは、自動で扉が開くのに全員が飛びのき、レジ横の肉まんを見て「これがまんじゅうか!?」と大騒ぎした。
学校を見学すれば、机や椅子がきちんと並んだ教室に驚き、チョークで黒板に文字を書く先生を魔術師のように眺めた。
駅では、電車の速さと人の多さに圧倒され、「まるで戦場だ……」とヨシロウが真顔でつぶやいた。
――何もかもが速く、冷たく、そして驚くほど便利な世界。
五人の令和時代での奇妙な日々は、こうして始まったのだった。