【二葉編】甘々エピソード:「兄貴のベッド、あったか~い」
(ショートエピソード)
深夜1時を過ぎた頃。連が布団に潜ってまどろんでいると――
コンコン
……ノックの音。
「……ん?」
起き上がろうとしたその瞬間、ガチャリとドアが開く。
「兄貴ぃ~~……」
パジャマ姿の二葉が、もぞもぞと部屋に入ってきた。
「……どうした、眠れないのか?」
「うん……なんか、兄貴のこと考えてたら、胸がドキドキしてきて……」
「……」
「ねぇ、ちょっとだけ。お布団、入れて?」
許可を待たずに、するっと入ってくる。
しかも、兄貴の布団に。
「ちょ、ちょっと待て! お前、自分の布団――」
「兄貴の方が、あったかいもん。こっちがいい」
二葉はにっこり笑って、ぎゅっと抱きついてきた。
「……兄貴の匂い、落ち着く~……」
「お、お前なぁ……!」
「ダメ? ……じゃあ、“だめ”って、ちゃんと見つめて言ってよ」
そう言って、真っ直ぐに見上げてくる。
暗がりでもわかる。潤んだ瞳。頬はほんのり熱を帯びて。
「……こんなん、無理だろ……」
「でしょ? ふふ、兄貴、顔赤い~」
「お前な……あと5分だけだぞ。寝るだけな」
「……うん、寝るだけ(ニヤリ)」
連は気づいていない――
二葉の“寝るだけ”には、ぎゅーってしながら耳元で「すき」って囁くのが含まれていることに。