【第5話】 「一緒に暮らすって、戦争だ。――特に朝が。」
早朝 6:45
> 「……ぅ、う……重い……!」
目覚ましの音より早く、腹の上に乗っかる“重さ”で目が覚めた。有川連、17歳、高校二年、妹二人と同棲中。
「お兄ちゃーん♡ 起きてるー?」
無邪気な声とともに、パジャマの裾から覗く太ももが目に刺さる。
連の上に正座していたのは――双子の妹、二葉だった。
「おま……っ、体重かけすぎ……っ!」
「ひど〜い、女の子に体重って言う!?」
胸元から落ちかけたパジャマのボタンを直そうともせず、二葉は無防備なまま、ぐいっと顔を近づけてくる。
「ねぇ、キスで起こしてあげようか♡」
「やめろバカッ! 俺は貴族か!」
---
「ドアを絞める音」
バタン!。
> 「……また朝から騒がしい」
ドアが開いて入ってきたのは、もうひとりの妹、一花。ツンのオーラをまとった眼鏡っ娘だ。
「って、二葉。その服、前、開いてる。兄貴に色仕掛けってどうなの」 「ちっがーう! たまたま開いてただけだもん!」
「はぁ……連、洗面所貸して。あと、下着干すときはちゃんと中見えないようにしてって言ったでしょ」
「俺じゃねえよ!? てか、そんな話初耳だし!」
混乱する連の耳に飛び込んできた次のセリフは、さらに衝撃的だった。
---
「……ってか、私のパンツがないんだけど。」
> さらっと爆弾を投下したのは一花だった。
「えっ……ま、まさか兄貴が……?」
「違う!!!」
だが、この家では“違う”と言えば言うほど怪しくなる法則がある。
---
バスルーム事件
> 二葉が連の部屋に入り、洗濯カゴを勝手に漁っていたらしい。
「あったー! と思ったら、違った……ってかこれ、私の? じゃない……え、一花の?」
「なぜお前は人の下着を手に取る前提で動くんだ!?」
ドタバタの末、真相は――
---
真犯人は洗濯機
> 実は一花の下着は、洗濯機の裏側に落ちていた。
二葉が洗濯カゴをあさった拍子に滑り落ち、連が気づかぬまま洗濯機を回していたのだ。
「ってことで、犯人は洗濯機でした〜!」
「……紛らわしいのよ、ほんと」
とはいえ、事件は解決。
だが一花がぽつりとつぶやく。
「……でも、連が持ってたら、それはそれで……なんてね」
> 「えっ?」
「な、なんでもないっ!」
---
夜、連の独白
> 「……にしても、落ち着かない日常だよな」
ベッドに転がりながら、連は天井を見上げる。
すぐ隣の部屋では、二葉の「おやすみ、お兄ちゃん♡」の声。
一花はその5分後、小さな声で「……おやすみ、連」とつぶやいていた。
その言葉は、連にだけ、届いていた。
---
To Be Continued…
---
(笑)