タイトル未定2025/06/12 19:02
【終わりの神・覚醒編】「君の終わりを、願ってくれた人がいた」
平穏な日々に、違和の風
ある日、5人が暮らす家に、黒い蝶が舞い込んできた。
それは“記憶の庭”にも咲いていた、あの黒い花の象徴。
蝶は連の肩に止まり、静かに囁いた――
> 『終わらぬ苦しみに、終わりを。
迷い続ける魂に、救いを。
君の力が必要だ、連。』
連:「これは……“ナエル”?」
神の声が響く。
『いや、これは別の“願い”だ。
ある者が、終わりを求めている。自分では辿り着けぬ、静かな終焉を。』
依頼者の魂 ― “止まった時間の少女”
フィリアに導かれ、連たちは“虚空の小径”へ。
そこにいたのは、白い服を着た少女。年齢は10歳程度――でも、その目はあまりに静かすぎた。
少女の名は「カナエ」。
生きているのに、誰からも認識されない。話しかけても、触れても、誰にも届かない。
彼女は“終わり損ねた者”――
事故で脳だけが目覚め、肉体は生きているまま、時の流れから外れてしまった存在だった。
「お願い、終わらせて……わたしは、ここに居ないの……」
カナエは、家族にも忘れられ、魂だけがさまよっていた。
カナエ:「お兄ちゃん……本当は泣いてた。私が眠ったままだから、毎日、仏壇の前で泣いてた。
でも……もう、いいんだよ? 私、楽しかったよ。幸せだったよ。だから、ね……」
連の手が震える。
一花:「連……」
二葉:「つらいなら、私たちが支えるから」
フィリア:「あなたの中の“終わりの神”は、慈悲の神でもある。
この子が望む“静かな終わり”は、彼女の幸せでもあるのよ」
神の力、再び目覚める
連の左目が赤く輝き、“ナエル”が顕現する。
ナエル(連の中で):
『……この少女の“終わり”を、我が記録としよう。
彼女の人生は決して“無”ではなかった。その記憶は我が中に刻まれる。
さようなら、優しき魂――』
カナエの体が、光に包まれ、やがて穏やかな微笑みとともに消えていく。
最後に、彼女の声だけが残った。
> 「ありがとう……“終わりの神さま”――」
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そして、日常へ
連は、自分の中の神の力が「誰かを終わらせる」だけではないと知る。
それは、
苦しみを終わらせる力。
愛を閉じるための祈り。
笑顔のまま終われる、静かな幕引き。
連:「この力……ちゃんと、向き合っていこう。誰かを救うために――」
一花:「うん、私も手伝う!」
二葉:「一緒に泣いて、一緒に笑おうね、連!」
フィリア:「私たちは、神様の家族でもあるから」
ユナ:「……なら私は、記録するわ。終わりの神が“誰かを救った”事を」