「忘却の迷宮 ― ユナの記憶を追って」
「忘却の迷宮 ― ユナの記憶を追って」
神の導きにより、連は“記録の家”の深層へ――
記憶と想念の世界、名もなき忘却の迷宮へと意識を飛ばされる。
● 記憶領域:白の回廊
そこは、白く霞んだ空間。
記憶の残滓が浮遊し、重力も感覚も曖昧な異質の世界だった。
連「……ここが、ユナの記憶?」
足元に積もる白い花びらが、彼女の欠片を導いていく。
それは、幼き日の笑顔。
連に向けた、まっすぐな想い。
ユナ(記憶の幻)
> 「れん、おにいちゃん……およめさんに、してくれるって、いったよね……?」
連「……ああ、言ったよ。俺は……俺は、それを忘れてた。
でも、もう二度と忘れない。取り戻す。――お前の全部を」
● 一方その頃、現実世界では…
一花と二葉は、地下の崩壊から逃れることなく、記録の家に取り残されていた。
一花「ダメ……このままじゃ、連が戻れなくなる!」
二葉「だったら、私たちも行くしかない――お兄ちゃんと一緒に!」
連がいない世界など、ありえない。
2人は神へと叫ぶ。
一花・二葉「お願い!連のいる世界に、私たちも連れて行って!」
神「……ふむ。ならば与えよう。“記憶同調の刻印”を。
その代償は――おぬしらの“現世での存在”じゃ」
二人は微笑む。
一花「もともと、連のいない現実に意味なんてないわ」
二葉「連がいてくれるなら……私はどこだって生きていける」
● 3人が出会う、その時
時空がねじれ、記憶世界の空に赤い筋が走る。
そこに舞い降りる、一花と二葉。
連「……っ!? お前たち、どうして――!」
一花「お迎えに来たのよ、愛しいお兄様♪」
二葉「もう離さない。私たち、ずっと一緒だよ」
連「おまえら……っ!」
――そして、3人が手を重ねたその瞬間。
虚無だった世界に、色が差し始める。
● 終わりを司る神、目覚める
その空に、巨大な瞳が開く。
世界の終わりを司る存在。
全ての記録と記憶を統合し、最期を閉じる神。
神(連の中の神とは別の声)
> 「――なぜ、終わらせぬ? 愛も、記憶も、いずれ消える。
ならば、始まりも、要らぬ。君たちは錯覚している。
“永遠など、どこにもない”」
3人はそれでも立ち向かう。
「愛が錯覚でもいい」
「想いが幻でもいい」
「でも、信じたい」
「3人で、幸せになれる未来を」
――終焉の神との対話と戦いが、始まろうとしていた。