第4話「妹と一緒にお風呂!? 扉一枚の攻防戦、兄の理性は無事なのか」
夜。
風呂に入ろうとバスタオルを肩にかけ、脱衣所のドアを開けたその瞬間――
カラン、シャワァァ……。
「……え?」
脱衣所に誰かの服が置いてある。
しかも見覚えのある、うさぎ柄のパジャマ上下。
「おい、まさか……」
カララッ。
風呂の戸が、少しだけ開いた。
「――あれっ? お兄ちゃん? もしかして一緒に入る気だった?♡」
「入るわけねえだろおおお!!!」
二葉だった。髪をアップにし、湯気越しにキラキラと笑顔。
「……ってか、せめてカギかけとけよ!!」
「お兄ちゃんの声が聞こえたから、つい♡」
悪気ゼロ。100%天然系ブラコン。
俺は全力で顔をそむけつつ、後ろに下がった。
「さすがに一緒はダメだろ!? 俺の理性が先に溶けるわ!!」
「……えへへ。じゃあ、また今度一緒にねっ♪」
「ねーよ!!」
ばたんっ!!とドアを閉めた瞬間――背後から声が。
「……ちょっと、騒ぎすぎ」
一花。タオル姿。
湯上がりの髪から、ぽたぽたと滴が落ちていた。
「あ、あれ? 一花……お前、もしかしてさっき入ってたのも――」
「違う。私はもう終わったわよ。二葉は……あとで、叱る」
言葉とは裏腹に、目が優しい。
「……兄が困ってる顔、面白がってるだけよ。あの子なりに」
「え?」
「ずっと、離れてたからね。きっと、夢みたいなんじゃない? “一緒に暮らす”なんて」
一花がぽつりとつぶやいた。
その表情に、少しだけ切なさが混じっていたのを、俺は見逃さなかった。
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次回予告
第5話「本当は言いたかった。妹たちの“願い”と、俺の“決意”」
とある夜、二葉が泣いていた。夢の中で、兄が消えてしまうと言って――
そして一花がポツリと漏らした“あの日の約束”。
3人で暮らす理由、その裏にある“本当の想い”が明らかに……?