タイトル未定2025/06/12 11:48
異世界編
Episode X+12:甘々パワーアップ!愛の力で暴走注意!?
「じゃあ、やってみるよ? 兄ぃ、大丈夫?」
練習、と称して始まった庭での“能力確認タイム”。
二葉は連の手をぎゅっと握って――
「“治癒の加護”……えいっ!」
キラキラと柔らかな光が広がる。
連の手のひらから疲れがスッと消えていくのを感じ、彼は目を見開いた。
「うお……本当に癒されてる。すげえな、二葉……!」
二葉はふにゃっと笑って、
「えへへ~。兄ぃ専用、だからねっ♪」と鼻を鳴らす。
一方、一花は自信満々で前に出た。
「じゃあ次は、私の“未来視の祝福”ね!兄ぃ、ちょっと目、見てて」
連と視線を合わせた瞬間、一花の紅い瞳がふわりと光った――。
「……5秒後、兄ぃ、くしゃみする」
「は? んなわけ――ぶえっくしょいっ!」
「ほらー♪」と一花が得意げに笑う。二葉も思わず吹き出した。
「あっははっ、兄ぃかっわいい!」
「いや今のはたまたまだろ!?」と抗議する連だが、二人に挟まれてむぎゅうっと抱きつかれる。
「……ほら、兄ぃが照れてると、こっちもあったかくなるよね」
「もう、連は私たちの旦那様なんだから~遠慮とかいらないんだよ?」
そのまま、もふもふタイム突入。
お昼寝布団が庭に運ばれ、三人+フィリアが並んで転がる、異世界昼下がりの幸福時間。
ふわりと風が吹いて、空に一枚の花びらが舞った。
神様の声が小さく、しかし満足げに響く。
「ふむ……我も、悪くない余生じゃな?」