異世界編 Episode X+10:永遠を誓う日
異世界編
Episode X+10:永遠を誓う日
柔らかい陽の光が差し込む朝。
庭に咲き誇る花々の間に、白い布が敷かれ、簡素ながら神聖な祭壇が設けられた。
「ここで……私たち、結婚するんだね」
一花が小さく呟き、二葉がそっと手を握る。
「うん、やっと……やっとこの日が来たね」
フィリアは、三人の前に立って言った。
「私が“記録の巫女”として、式を司ります。
この世界の加護の神、“紅き契りの神”の名において」
風がそっと吹く。木々が揺れる。
その中心に立った連は、静かに三人の前に歩み出る。
「……俺は、連。
この異世界で、お前たちと出会い、想い、共に生きたいと願った」
一花が紅い花冠を手に取り、二葉が指輪を差し出す。
二人の目は潤み、でも笑っていた。
「連兄ぃ、これ……私たちの全部を込めた誓いだよ」
「あなたといられるなら、それで全部幸せなんだから……」
フィリアが神に祈ると、光が三人を包む。
その胸元の紋章は更に濃くなり、そして手の甲に、紅の神の紋章が輝いた。
「……契りは結ばれました。この世界において、あなたたちは正真正銘の“夫婦”です」
連は、一花の手を取り、二葉の髪を撫で、そっと三人を抱きしめた。
「ありがとう……俺も、お前たちを一生、守る。愛してる」
そして、光の中で――
三人はそっと、唇を重ねた。
それは、“家族”として、
“夫婦”として、
この世界で生きていくための、
永遠の契りだった。
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