異世界編 Episode X+5:訪れた少女の名前は“フィリア”。その正体は――?
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異世界編
Episode X+5:訪れた少女の名前は“フィリア”。その正体は――?
白いローブを纏った少女は、やがて笑みを浮かべて口を開いた。
「私の名前は……フィリア。この世界に呼ばれた者、です」
一花が興味深そうに問いかけた。
「ねえフィリア、あなたも誰かに“願った”の?」
「ええ。でも、それだけじゃない。
私は“あちらの世界”で……願いが強すぎて、居場所をなくしてしまった。
気づいたら、ここに立っていたの」
連は静かに頷く。
「なるほど。じゃあ、俺たちと同じ“願いの力”に導かれたのか……」
そのとき――連の中の“神”がまた声を発する。
> 「この娘、ただの迷い人にあらず。記憶の一部を封印されておる。
しかも、我と同じ“神の気配”を帯びておるぞ」
「――え?」
無意識に声が漏れた。
驚いたようにフィリアが顔を上げる。
「……それ、聞こえてたの?」
「まさか……君も“神”と……?」
フィリアは少し戸惑ったように視線を伏せ、そして囁くように答えた。
「……私の中には“誰か”がいるの。
でも、はっきりとは思い出せない。名前も、顔も、全部ぼやけてる。
ただ、その声がずっと言ってたの――『君は、この世界で答えを見つけなさい』って」
二葉が不安そうに言った。
「それって、危険なことじゃないの? 神様とか、力とか、よくわからないけど……」
連は静かに頷きながら言った。
「でも、それでも――フィリアは今、俺たちの前にいる。
それだけで、歓迎する理由になるよ。ここは、そういう場所だろ?」
一花と二葉が、ほっと微笑む。
「うん、私もそう思う」
「フィリアちゃん、ここで一緒に暮らそうよ」
フィリアは驚いたように目を見開いた。
そして、涙を滲ませながら、小さく頷いた。
「……ありがとう。私……ずっと、一人だったから……」
こうして――
新たな仲間、“フィリア”が加わったことで、連たちの世界は、また少しだけ彩りを増していく。
だが――その裏で、“フィリアの中の神”は、静かに目覚めつつあった。