「学園仮面姉妹(スクールマスクシスターズ)」
シチュエーション
一花と二葉は兄・連の母校に転入してきた高校2年生。
学校ではそれぞれ「完璧クールビューティー」「誰とでも仲良くする元気系」の仮面をかぶっている。
しかし兄と二人きり(またはすれ違う)場面になると、急に甘えた態度に変化。
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ショートストーリー
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昼休み、大学の講義が空いた連が、たまたま母校の前を通りかかる。
すると――。
「……あら。兄さん?」
校門前、凛とした立ち姿でスマホを耳に当てる女子生徒。
落ち着いた声で、礼儀正しく電話を終えるその姿は、まさに「できる女」。
だが、連に気づいた瞬間――
「兄さんっ!」
小走りに駆け寄り、制服の袖をつまむ。
「今日、大学のほうはもう終わり……? ねえ、少しだけ、一緒に歩いて帰らない?」
「え、あぁ……別にいいけど」
(さっきの雰囲気、どこいった?)
連が戸惑っていると、すぐ近くから元気な声が。
「兄貴ーっ!!」
校舎の窓から顔を出すのは、もう一人の妹・二葉。
「まってて! 今降りるからっ!」
しばらくして駆け寄ってきた二葉は、周囲の視線をものともせず、連の腕にピタッ。
「も~、一花だけずるい! 私も兄貴と一緒に帰るっ♪」
「……二葉。制服、崩れてる」
「いいのいいの、兄貴の前なんだから! ね、兄貴~、今日の髪型、ちょっとだけ頑張ったんだよ? 気づいた?」
「お前らな……ここ、学校の前だぞ……」
連が困ったように呟くと――
周囲の生徒たちがヒソヒソと話している。
「え、今の……一花先輩、笑ってたよな?」 「二葉ちゃん、あんなテンション高かったっけ!?」 「ていうか、“兄貴”って呼んだ!? え、兄妹なの!?」
兄妹の正体が噂になり始めた瞬間。
一花が静かに、しかし誇らしげに一言つぶやいた。
「……そうよ。兄さん、私たちの自慢の兄なの」
「うんっ! 超だいすきな兄貴なんだから~!」
「おいっ! だから恥ずかしいって……!」
どちらかの手が、どちらかの腕に。
周囲の注目を浴びながら、兄と妹たちは夕焼けの通学路を歩き出した。
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