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人間  作者: あゆやか
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死刑執行人

 私は、死刑執行人だ。

 普段は刑務所で警備員をしている。

 死に方は人それぞれだと知った。

 苦しみながらもがく人。

 何もかも諦めて受け入れる人。

 なぜだろう。

 その全て色褪せて見える。

 涙も出ない。

 正義とは?

 悪とは?

 人間には上と下もない。

 そう、昔の本に書いてあった。

 それなら。

 正義も悪もないのではないか。

 そう思うこともある。

 だが、悪いことをする方が悪い。

 それはわかる。

 完全に同意する。

 でも。

 なにか事情があるのではないか。

 そこを否定されて、悲しみに暮れながら、死刑を執行された人もいるのではないか。

 死刑を宣告された人の目を見た時、思った。

 まるで、地獄を見たような人もいる。

 その目は暗闇。

 それしか言えない。

 ただ、目をそらす。

 それしか出来なかった。

 立場上それしか出来ない。

 無表情だった。

 それが仕事だ。

 わかっていても。

 ――自分が怖い。

 なによりも。

 それを普通としている自分が。

 怖かった。

 それが善なら、偽善も善も同じだ。

 死刑執行人の給料は歩合制だ。

 一回の執行で二万円もらえる。

 これが安いのか高いのか、分からない。

 それは人の価値だ。

 だから、考えられない。

 俺はこのままでいいのか?

 いいと思う。

 本心は分からない。

 だから俺は問い続ける。

 本当に?

 本当にそう思った。

 いくら自問自答しても、解答は薄っぺらい。

 そして、真剣さがない。

 だから刺さらない。

 俺は問い続ける。

 自分に対しても、世界に対しても。

 答えはきっと見つからない。

 だが、やめることは出来ない。

 自分で納得できるまで。

 俺は問う。

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