秋の祭とイタズラ狐
山間にある町で、秋の祭の準備が行われていた。忙しそうに、しかし楽しそうな様子で忙しなく立ち動く人々を山から眺めていた狐は嬉しそうに笑う。
「今年もそんな時期になったか。さあさあ、間抜けな人間たちを騙して俺も楽しむとしよう」
そして人の姿に変身すると近くにあった川で自分の姿を映してみる。どこからどう見ても人の子どもにしか見えない姿がそこに映っていた。
「これなら問題なさそうだ」
安心した狐は祭の日を指折り数えて待っていた。
そうして何日かが経ち、ついに祭の日がやってくると狐は意気揚々と子どもの姿に変身すると町へと出かけ、支払いは木の葉に目眩ましをかけて小銭に見せかけたものを使った。
射的に輪投げに金魚掬い、リンゴ飴に綿菓子に焼きそば、たこ焼き。祭でしか楽しめないようなものを心ゆくまで楽しんで、楽しい気分のままに山へと帰っていった。
祭の後、町の人々は話し合う。
「今年もお狐さんは楽しそうにしていたね」
「ああ、祭の間中、ずっと尻尾が楽しそうに揺れていた」
そしてみんなで楽しげに笑った。
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