島流し『女将軍』様は、島国ヤマトで温泉宿の若『女将』やってます!
勢いで読んでください! さあ、勢いで! 振り返らないで!
「ふっへっへ、よいではないか」
「いけません、御代官様……」
ヤマトの国、温泉宿アリマ屋の一室、美人と噂の女将が代官に手籠めにされようとしていた。
外の雪にも負けない白い肌が露となり、興奮で代官は顔を真っ赤に染める。
「よいのか? 断ればこの宿がどうなるか。魔物の数も増え他の宿も苦しくなって皆儂を頼ってきておるぞ?」
嗤う代官の言葉に、女将の手から力が抜け、一筋の涙が。
「それでよい。愛いやつ……」
「待ちな」
襟に手を掛け胸も露にしようとしたその時、代官の耳に声。
「な、なにやつ!?」
「民を守るはお上として当たり前の事。なのに、身体で支払えとは聞いてあきれる」
慌てて代官駆け寄り障子をあけると月が照らす雪の庭に紅い傘。
「しかも、魔物を操っていたのは代官だって話。そんなゴブリンにも劣る所業、許せませんなあ!」
「ええい! 名を名乗れ!」
代官の叫びかき消すように雪風奔り紅い傘が舞い上がると、金髪の青い目をした女が一人。
「お初にお目にかかります。『アリマ屋』の暴れん坊若女将、マリリン。以後お見知りおきを!」
「マ、マリリンだと!? そうか、お主が噂の、島流しにあったとか言う罪人か」
「お代官様、誤解です。おマリリンは、ただ、大将軍を諫めようとしただけで」
マリリンに服を直された女将が叫ぶ。
「女将軍が調子に乗って男に意見するのが愚かなのだ! こんな女が若女将ぃい? アリマ屋も堕ちたな」
「いえ、御代官様、貴方も知っての通り、最近アリマ屋は上り調子でございます」
「そ、それもこのおマリリンのお陰なのです」
軍神と呼ばれたマリリンの的確な指揮、厳しい指導によりアリマ屋は完璧な軍隊に生まれ変わった。
「食事は!?」
「おマリリンのお陰で」
食事にこだわっていたマリリンの海外の調理技術を叩きこまれた板長達により最高の料理が提供されるようになった。
「掃除や洗濯は!?」
「おマリリンのお陰で」
魔法にも精通していたマリリンから水魔法や風魔法を覚えた仲居により宿の質も格段に上がっていた。
「ええい! 儂がやった証拠は!?」
「お前さん達! 先ほどの『お客様』をここに!」
「へい! 若女将!」
宿の人間達の声がし、塀の向こうから投げ入れられたのは、大勢ののびた魔物と魔物使いだった。
「サービスして差し上げたら全部吐きましたよ」
「お、おのれー!」
切りかかる代官をマリリン、箒で吹き飛ばす。
「女将軍改め、若女将マリリン! この宿は私が守る! これにて!」
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