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変貌の孤島  作者: ろーぐ・うぃず・でびる
6/7

空白

 今日は特筆すべき点は無し。

 貝を喰い、水を飲み、野山に掘った、適当な穴に尻を向けて用を足す。

 海水で味付けした、貝ばかりを食べていたせいだろうか、そろそろ他の味が欲しい所だが、虫しか居ないのであればしょうがない。

 今日は、背中が熱い。

 寝よう。



 全身の足が、狭い場所に居たせいだろうか、動きすぎたせいか、細くなりすぎている気がする。

 しかも、面白い事にこれまではできなかったのに座った状態で足を首の上に絡ませる程柔らかくなっている。

 なるほど、肉体が鍛えられたのかもしれない。

 もし論文を発表する機会があったのなら、これについても研究してみるとしよう。

 となると、これから学ぶべきは生物学、哺乳類についてだろうか。

 明日は、いかだを作るつもりだ。



 悲しい。

 木の一部を、石を使って少しずつ折り、浮かべようとしてみたが、海に沈んでいってしまった。 

 浮力が足りない。

 ならば、どこから浮力を得るかが当面の問題となりそうだ。

 もはや、何が来ても、驚かないぞ。

 それにしても、あの巨大な虫は――いかだの浮力を得る何かを、得られるだろうか?

 

 夜分遅くというのは、突飛すぎる考えを抱く物だ。

 狂人とならない内に、寝るとしよう。


 

 体が、動かない。

 別に、熱があるわけでもないが、正確に言うと体が動き難い。

 頭の中で動こうとした箇所が、遅れてゆっくりと反応しているようだ。

 手を握ろうとした瞬間、普段なら別の事がもうできている筈なのに、指の関節一本一本の動きをまるで見せつけるかの様に動いている。

 何かの病気にかかったのだろうか。

 水につけておいた貝も、そろそろ底を尽きているし、明日は取りにいかなくてはならないのに。



 きょうは口が、なんだか、動きにくい。

 体は怠重く、太った記憶も無いのに、腹が出ているような気がする。

 対して、足は依然細いまま。

 太れる程食べれていないからなぁ。

 帰ったら、洋食をいただきたい。



 吐き気がして、ならない。

 なんだか、洞穴の中がいつもより狭い気がする。

 我慢だ、辛抱だ。

 あの故郷の海を、見るまでは。

 こんな生き地獄を生きる為に、生き延びているわけじゃあない!

 手が動くかぎり、私は書くぞ。

 よだれが糸を引いて、手に絡まっている。

 病がなんだ、不気味な島がなんだ。

 全部、乗り越えてやる。

 これを乗り越えて、超人に変身してやる。



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