4/7
同日 午前7時 天気 雨のち曇り
曇天というのは、こうも不安にさせてくれるものだったらしい。
人類の文明について、私が思いを馳せる事があると言えば、決まって批判と非難に満ちた物ばかりだったが、環境が違えば、こうも憎かった人類文明を讃歌したくなるとは。
それにしても、自然というのはやはり懼れるべきものだ。
だが、その一端を、私はとうとう味方に付けた。
坂道を見つけたのは無駄じゃなかった。
洞穴を見つけたのだ。
大体、私が“体育座り”の姿勢かしゃがみ込んだ姿勢になれば使える程度の空間だが、それでもありがたい。
よく見ると、奥には小さな穴があり、水の音が聞こえてくる。
もしかすると、飲み水まで確保できるかもしれない。
嗚呼、不幸というのは、後からやってくる幸運の為にあるのだ。
ここを拠点として、穴を広げるための道具をいくつか、作るとしよう。
確か、この洞穴の周囲に、大きな石が有った筈。
コートを両端で持って、思い切り――家の建て壊しに使う重機の要領で、近くを掘削していけば、水を確保できるだろう。
さぁ、やってやる。