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歓迎会にて


広場には徐々に人が集まってきている。

すでに飲んでいる人、料理をつまみぐいして怒られている人と騒がしくなってきた。

日が傾く少し前くらいに村長が広場の前に行き

「えーもうご存知とは思いますが、先日よりこのカラトリ村にお客人をお招きしています。

 森の調査を行うためいらした学者の先生になります。

うんたらかんたら〜」

長い演説に「まだかー」や「早く飲ませろー」などヤジが飛び始めた。

村長が苦い顔をした後、笑顔となり

「カーターさん方こちらに」

と村長が手招きをした。

どうやら前に出て挨拶をしないといけない様だ。

「初めまして、只今村長にご紹介いただいたジム・カーターです。

 こちらが妻のナタリー、息子のケンになります。

 今後ともよろしくお願いします。」

父さんが簡潔に挨拶し、母さんと俺は頭を下げる。

両親にはお酒が俺にはジュースが手渡された。

村長がグラスを掲げ話始めようとした瞬間

「長話はいらねーぞー」

とヤジが飛ぶ。

出鼻を挫かれ(くじかれ)一回咳払いを行い。

「乾杯」

と音頭をとった。

「「「乾杯」」」

笑いまじりに皆々が返し、手に持ったグラスを軽く打ちつけ合う。


その後、父さん母さんは別のテーブルに呼ばれて行った。

息子を置いていくなんて薄情な両親だ。

そんな事を思っていると肩をチョンチョンと指で叩かれた。

シャリーだ。

「こっちこっち」と手招きし、くるりと反転し歩き出した。

集会場の中に案内された。

子供たちが集まっていた、どうやら子供用の場として用意されている様だ。

十数人の子供と、ゲージの中につかまり立ちや歩き始めの子たちが4人ほどいる。

「ケン、みんなを紹介するよ」

「あっちでゲージの小さい子を見ているのがミカ姉、集会場前の露店で店番をやっているよ。

 この中では一番年上」

ミカ姉と紹介された子が軽く手をあげる。

赤みがかった茶色の髪を三つ編みにし片方の肩に垂らしている。

そばかすが特徴的で少し勝気な顔つきをしている。

一番年上というし、姉御肌なのかもしれない。

「そこで料理をがっついている3人組が、トムおじさんとこの三つ子

 最初は見分けつかないと思うから三つ子で覚えればいいよ」

三つ子の一人だけ頭を下げる。他は料理に夢中だ。

よく似ている、村を離れるまでに見分けをつける自信がない。

「あとは。。。」

正直覚えきれないが、シャリーが一生懸命紹介してくれるので止める事ができない。

「ちょっとシャリー、そんなにいっぺんに言っても覚えきれないでしょう」

と見かねたミカ姉が声をかけてきた。

「そうか、ごめんねケン」

ちょっとしょげた感じでシャリーが謝る。

「ううん、大丈夫だよ」

「お腹すいてない?先に料理とってきたら」

ミカ姉がそう勧めると

「そうだね。行こうケン」


料理を取ってくるとミカ姉が尋ねてくる。

「ケンは今いくつ?」

「12才だ、です」

途中で年上だと思い、慌てて敬語に切り替えたせいで変な話し方になってしまった。

「私に敬語なんて使わなくていいよ」

「うん」

「村には慣れそう?」

ミカ姉が聞いてきた。

「まだ来たばっかりだから分からないよ」

ミカ姉は少し笑った。

「確かにね、徐々に慣れていけば良いよ

 困ったことがあったら言ってね、大体露店の方で店番してるからさ」

「ありがとう、ミカ姉」

ミカ姉はかなり面倒見の良い人の様だ。

さすが最年長。

「ミカ姉、あの子達見てなくて良いの?」

とゲージの方を指差しシャリーが言う。

ミカ姉はシャリーの顔を少し見つめると。

「ハハハ、そうだね。邪魔者は消えるとしますかね。」

といたずらっ子の様な顔で笑いゲージの方に向かって行った。

「そんなんじゃないよ!!」

とミカ姉の背中にシャリーが叫ぶ様に返す。

むーという感じで頬を膨らましている。

「ミカ姉はすぐ私をからかってくるの」

とシャリーがため息まじりに言う。

「仲良さそうだね」

「うん、一番の仲良しだよ」

その後、母さんが迎えに来るまでシャリーと沢山お喋りをした。

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