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少女の顕現

「もうイメージは出来とるか?」

うん、ばっちしだよ!!


「ではお主の願いを聞こう」

セレスお願い!!魔物をやっつけて!!



飛び交う怒号。今か今かと限界を迎えようとしている壁。そして絶え間なく聞こえる引っ掻き音。

時が止まったかのようにゆっくりと見えていた景色が再び動き出す。


絶望の表情で壁を見るもの。恐怖に震え目をつむるもの。縋るようにカーターを見るもの。みんな最後の時が近づいてきていることを確信している。


——ペタ、ペタ、ペタ


一人の少女が歩いている。

少女が歩を進めるごとにその存在に気づくものが増える。


——ペタ、ペタ、ペタ


少女が壁の前に立つ頃には集会場にいる全員がその姿を見ていた。

短い黒髪に大きな黒い瞳。病的なまでに白い肌。派手さはないが上質な白いワンピースを着ている。

どこにでもいそうな少女の風貌だが、他を寄せ付けない雰囲気を身に纏っている。


少女は真っ直ぐ手を持ち上げ、壁に向ける。

しばらくそのポーズを取った後、手のひらを返し少し見つめる。何かを確かめるように握りしめては開くを繰り返す。

他にも不可思議な行動をとっている。

最後にパンッ!!と手を合わせ、ゆっくり手が離れていく。するとそこから一本のつるぎが現れた。その仕草はまるで手の中に収めていた剣を取り出すかのようだった。


突然の見知らぬ少女の出現にみんな何も出来ずにその挙動を見守っていた。

「おい!!お前!!どっからきた!!」

とうとう口髭の男が辛抱出来ず声をあげる。


少女はその問いかけに答えず剣を携えトン、トンと軽く2回飛ぶ。

3回めで一気に窓まで飛び上がり、窓枠を掴み外を覗き見る。

そして窓を蹴破り少女は外に飛び出した。



集会場の窓から飛び出した少女は宙に浮き眼下を見る。

醜悪なネズミの魔物が集会場の壁に群がっている。

このまま切りかかれば集会場共々吹き飛ばしてしまうだろう。それだけの力を少女は秘めていた。


少女は少し思案し、持っている剣に力をこめる。すると剣がほんのりと光出す。


——破邪の剣


それはただ少し丈夫な剣だが、神の力を蓄える性質を持つ物質で作られている。

神の力をこめるとその剣は全てのものを打ち破る無双の剣となる。


少女は破邪の剣をヴァーリアンラットの群れに向けて投げつける。

破邪の剣は触れた魔物を消しさりながら地面に突き刺さった。


集会場の壁に積み上がった魔物の山の中央にぽっかりと穴が開く。

支えを失った魔物達は穴に飲み込まれていくように落ちてゆく。そして落ちた先には。。。

破邪の剣により積み上げられた魔物の山は見る見る小さくなっていく。


難を逃れた個体もいるが、いまだ獲物を求め山に駆け登ろうとしている個体の波に飲まれていく。


少女は胸元に手を当てそこから片刃の剣をゆっくりと取り出す。

一閃、二閃、三閃。目にも映らぬ速さで振われた剣は真空の刃となり、周辺のヴァーリアンラットを薙ぎ払う。

少女の振るった真空の刃は無機質に魔物の数をどんどん減らしていく。


「ギィィィィィーーー!!」


村の外れからヴァーリアンラットの鳴き声が響く。それを皮切りにヴァーリアンラットが逃げていく。

群れのリーダーは少女が現れた瞬間身の危険を感じ逃げていた。仲間を残して囮にし自分が安全なところまで逃げたところで撤退の合図を送ったのだ。


ヴァーリアンラットは集会場に一番集まっていたが、作物を荒らしてた個体、民家の方を襲っていた個体と村の他の箇所でも集団で襲いかかっていた。

複数箇所から一斉にリーダーの元へと逃げていく様は、支流から本流へ流れていく川のように見える。


少女は逃げていくヴァーリアンラットを一瞥いちべつする。

そして光の粒子となって消えていった。


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