シャリーの祈り
引っ掻き音の聞こえる位置が上がっていくにつれ、みんな口数が少なくなっていた。
ヴァーリアンラットを迎え撃つ体制が整って、手持ち無沙汰になっている。あとはその時が来るのを待つだけとなっている。その時が来ないことを祈りながら。。。
——ギシッギシッ
僅かに軋む音がする。その音の始まりは引っ掻き音にかき消されるほど小さかった。
——ギシッギシギシッ
また音がする。それは破滅の足音だった。
積み重なったヴァーリアンラットの重さに耐えかね壁が悲鳴を上げ始めていたのだ。
——ギシッカリカリッギシカリカリギシカリカリカリッギシッ
引っ掻き音と壁の軋む音が重なり合う。
頑丈を第一に考えられ作られた建物が、その意地を見せるかのように最後の踏ん張り見せる。
「おい、なんか聞こえねぇか」
誰かが呟く。
「ずっと聞こえてるだろうが」
引っ掻き音をさして誰かが答える。
「いや、そうじゃなく。なんか軋むような。。。」
——ギシッ!!
その時一層大きく壁が鳴いた。
「おい!!これもしかして。。。壁が!!」
「ヤバい!!ヤバいヤバい!!」
音を聞いた誰もが最悪の展開を頭に思い描き叫び声を上げる。
「学者ぁ!!これどうする!!!」
口髭の男も叫ぶ。
カーターは壁を睨みつけるだけで何も答えない。
「父さん!!」
ケンも叫ぶ。
しかしカーターは無言を貫く。
「父さん!!魔法をt「ケン!!」」
ケンの言葉を遮るように鋭く息子の名前を叫ぶ。
「いつも言っているだろう、魔法はそんな都合の良いものじゃない!!
お前も痛い目にあっただろう!!」
「でも、このままじゃ」
「なんか手があるのか!!」「助けて!!」「なんでも良い!!早く!!」「あぁぁぁ!!」「早くやってくれ!!」「どうにかしてくれ!!」「助けて!!」「早く!!」「いやぁぁぁぁ!!」「もう壁がもたないぞ!!」「もう終わりだ!!」「なんでだ!!」「早くして!!」「うあぁぁぁ!!」「もう無理だ!!」「もうダメだ!!」
阿鼻叫喚がこだまする。
ケンの言葉が脳裏をよぎる。
——魔法
私は祈らずにはいられなかった。
「ケン助けて」




