集会場内の様子
私とミカ姉はてんやわんやしていた。
子どもを落ち着かせるためにいつも使っているオモチャの代わりが欲しいだの、ロープが欲しいだの色々なところから要求が飛んできていた。
その度にお店の在庫置き場を探していたのだ。
お母さんも手伝ってくれたら良いのに!!と思ったが、お母さんはお母さんなりに別の役割を果たしているように思えたので声をかけるのが躊躇われた。
不安で泣いている子どもを相手している母親達の中に混ざっていたのだ。
子どもに「大丈夫」と言い聞かせている母親の方が大丈夫じゃない表情になっていた。それをお母さんがいつもの調子で「あらあら」と話しかけて場を和ませている。
これは狙ってやっているものではなく、お母さんの天性の才能だ。
お母さんはとにかく優しいのだ。誰にでも分け隔てなく優しくて、裏表がない。
喧嘩していてもお母さんが「あら、どうしたの?」と声をかければ場は和む。
「仲良くしないとダメよ」と言えば、「そうだな、俺が悪かったよ」と喧嘩している同士が反省し仲直りする。
正直お母さんが「こんなことしちゃダメ」と魔物に言えば帰っていくのでは?と思うほどである。
「おい、ミカ!!鍬とかねぇか!!?」
「そこにあるのが見えない?あと誰か持ってきてたでしょ」
色々言われすぎて対応もだいぶ雑になっている。
ミカ姉の剣幕に押されて「おう」と言って若い男は立てかけてあった鍬を3本持っていった。
「もう、なんで男どもは何でもかんでも聞くんだろうね?そこにあるのくらい見ればわかるのに」
だいぶご立腹なので「そうだね」と調子を合わせて返事をしておいた。
大人達が机をえっさほいさと運んでいる。
さっきケンのお父さん達が言っていたバリケードを作り替えるためにやっているのだろう。
ケンもその手伝いで元々あったバリケードの解体を行っていた。
なんかこういう時はそばに居て貰いたい。そう思うのは我儘なのだろうか。
いや分かっている今はみんな出来ることをしている。
でも。。。思うだけなら良いだろう。そう思いケンを見つめる。
「シャリー。これ運ぶの手伝って」
ミカ姉から声が掛かる。
「これ何?」
大きな袋が三つありに小分けの袋が入っている。
「なんでもケンのお父さんが調合したヤツなんだって。
こっちの袋には痺れ薬。こっちがネズミの嫌いな匂いのする粉。そして最後のが両方混ぜたヤツだって」
「へー、ケンのお父さんそんなの作ってたんだね」
「そうね。材料は狩りに行ってる人に集めてもらってたみたいよ」
もうすでに机は移動されており、子ども達や母親達がその上に避難している。
袋を机の隅の方に置く。
「おう、そいつをみんなに配っちゃくれないか」
「あっ、それカーターさんが作ったやつですよね」
若い男が横から口を出す。
「おう、そうだ。ネズミ野郎が入ってきたら投げつけてやれ」
「これ外の奴らに使えないですかね?」
「あー、どうなんだい学者先生」
「うーん、難しいでしょうね。効果がないとまでは言わないですが。。。これは効果が弱めで作っているんですよ。
使うのが素人なので、人体への影響が少ないようにしているんです」
「そんな気にしなくて良い気がするがねぇ」
「まぁ、私が気にしすぎなだけかもしれませんが。。。」
カーターが頭を掻き一拍おく。
「あぁ、室内で使う場合は使いすぎ注意なので、持つ人を決めときましょうか」
そう言いカーターは私が配っていた小袋をひょいと取り上げた。




