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蹂躙の始まり

集会場の中では扉が破られた場合でも迎撃出来る様に机で即席のバリケードが作られた。

しかしバリケードは気休めにしかならない。扉を一部でも打ち破られれば、そこから穴を広げられ、いずれ数に圧倒される事になるからだ。集会場で立て篭もる作戦は扉を突破されない想定(・・・・・・・・・・)でなされているのだ。


バリケードの前に戦力となる男衆、そして集会場の奥には子供とその母親や老人が位置している。

天井付近にある窓からの月明かり、外に漏れ出ぬ様に布を被せたランタンの灯りが集会場の中の光源となっている。それは目が慣れないと暗闇とたいして変わらないほどの明かりである。


子供は寄り添って寝静まり、それを見守っていた母親達もうつらうつらとし始めた。

はっきりと意識があるのは見張りの男だけだ。


シーーーンっと静まりかえっている。


集会場が避難の場所に選ばれたのは、数年前に一度建て替えられているからだ。

森が近いため大型の動物などが村に入ってきた場合に避難するという用途が元々あったため特に丈夫な木材を使用して建てられている。

そう、避難のために丈夫だという事だけを念頭に作られているのだ。

それゆえに外の音が入りづらく窓も高いところにあり、外の様子が窺い知れないものとなっていた。


みんな寝静まり、見張りも何もすることがない状況に耐えかねてまぶたが重くなってきた頃。


——カリッ、カリカリッ


扉から僅かな異音が聞こえる。

見張りの男は耳を澄ませる。


——カリッカリッ


やはり音がする。

村の補強を担当していた口髭の男に「何かあれば俺を起こせ」と事前に伝えられていた。

その言葉通り、口髭の男の肩を揺する。


「あぁ、何だぁ」

口髭の男は起こせと言っていた割に不機嫌そうに目を覚ます。

「扉の方から何か音が。。。」


——カリカリカリカリカリカリカリカリカリッ


今では引っ切り無しに扉を引っ掻く音が響いている。

「お前!!なんでこんなになるまで放っておいた!!」

「いやっ、さっきまでは!!」

「言い訳をするな!!とっとと他のやつを起こしておけ!!」

理不尽な怒られ方をされ、見張りの男は渋々と男衆を起こしに行った。


その間口髭の男は扉に耳を当てたり、隙間から外の様子を覗き見ようと試みていた。

しかしその試みは全て失敗に終わり、口髭の男の悪態に繋がった。

「ちっ、なんて作りをしてんだ!!これじゃあ外の様子が全く分からねえじゃなねえか!!」

ドンッと扉を蹴りつける。

それでも引っ掻く音は止むことはなく続いている。

「あとはあそこしかねぇか」

そう言い天井付近に位置する窓を見上げる。


騒いだせいでみんなが起き出しザワザワとしだした。

この頃には引っ掻く音は扉だけでなく四方の壁からも聞こえてきていた。まるで脆い箇所でも探る様に。。。

幼い子供は母親に抱きつき、強気でいた門下生たちも不安を声に出している。大人たちは不安を声に出さないだけで、みんな顔つきが険しくなっている。


「明かりをつけろ!!もうここに居ることはバレてる」

口髭の男が声をあげ、壁にあるランプに次々に明かりが灯される(ともされる)

事態は好転している訳ではないが、明るくなった事によりみんなの不安感が少し拭われる。


「大丈夫だ!!元々想定していた事だ!!安心しろ奴らがここに入ってくることはねぇ!!」

パニックにならない様に口髭の男が大きな声で告げる。


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