蠢く魔物
ガサッ。ガサッザザッ。
暗闇でソレは蠢く。
ヴァーリアンラット。
増えすぎたその魔物は所狭しと洞窟内を埋め尽くしている。
洞窟の奥、他の個体より小さな体躯のヴァーリアンラットが鎮座している。
瞳の奥には僅かであるが、他の個体にはない知性が宿っている。
教会は魔物のこと記した書物を発行している。
そこには姿形、分類、特徴など様々な事が載っている。
当然過去に被害を出したヴァーリアンラットに関しても十二分な情報が載っていた。
しかし全てが載っている訳では無い。
教会が知り得ていない情報など載っている訳が無い。
——曰く、繁殖力が高い
——曰く、集団で襲ってくる
——曰く、他生物の住処を襲撃する
——曰く、襲ってくる様は狂気に満ちている
——曰く。。。
さも全てが記されている様に書かれている書物には重要なことが抜け落ちていた。
それは群れにはリーダーがいること。一つの意思のもとに動いているということ。
獲物にありつくため仲間を踏みつけ、蹴散らし死んでも構うことはない。その狂気が宿っているかの様な凶暴性にばかり目が行き見落とされていたのだ。
「ギィィィィィーーー!!」
甲高い声で洞窟の奥にいた小さな個体は鳴いた。
それを合図にワラワラと洞窟から夥しい数のヴァーリアンラットが這い出る。
蹂躙が始まったのだ。




