夢での語らい
眠ったら眼前にセレスがいた。
2日連続である。これ毎日あるの?そんな文句が頭をよぎる。
「そう文句を言うでない」
言ってないもん。頭の中で考えてるだけだもん。
「今日は機嫌が悪いのう。茶菓子でも食うて機嫌を直せ」
お決まりの指パッチンでティーセットと焼き菓子がテーブルに現れる。
お菓子で私の機嫌が直るなんて。。。モグモグ。。。そんなこと。。。モグモグ。。。これ美味しい。。。
「お茶も飲むか」
差し出された紅茶を一口飲む。
うん、美味しい。前にケンの家で飲んだものに似ている。
「まぁ、そうだの。お主の記憶を元にしておるからの」
「それでの!!それでの!!今朝のことを聞かせてくれんかの」
「セレスのせいで目覚めが最悪だったこと?」
「つれないのう」
「どうせ見てたんでしょ?ならわざわざ話さなくても良いじゃない」
「見てはおるがのー、見ておるだけなのじゃ。
その時の感情や思い、そう言った事は伝わらないでの。
昼間にミカという娘と楽しそうに話しておったろう。そんな感じでお喋りしたいのじゃ」
昨日セレスが言っていた孤独だというのは本当のことなのだろう。
そう思わせる様な寂しげな目をしていた。
少し可哀想に思ってしまった。
「ちょっとだけだよ」
「よいよい。少しだけでも、話す気になってくれただけでも嬉しいのう」
セレスは無邪気に喜んでいる。
少しだけ話しても良い気にはなったが。何を話せば良いのだろうか。。。
「そうだのー、お主は自分の行いを悔いておったのであろう?」
「うん、覚えてはいないけど、ケンが守ってくれようとしてるのに私はケンのこと怖がっていたでしょ。
ちゃんと守られたかったなぁって」
「そうか。そうか。
その頃からケンのことを好いとったのか?」
「うん、そうだと思う。。。」
「いつからなのじゃ?いつから好いとったのじゃ?」
セレスが食い気味に問いかける。
「そんなの分からないよ。気づいた時には好きになってたんだもん」
「おーそうか。良いの良いのー」
「どのようなところが好きなのじゃ?」
「うーん、やっぱり優しいところかなー」
「ほうほう、王道じゃのう。他にはあるかのう?」
セレスが目を輝かせて聞いてくる。
「筋肉。。。かな」
「筋肉とな。。。お主はちょくちょく筋肉と言うが、どの辺が良いのじゃ?」
セレスはうーんと腕組みをし首を傾げている。
私は肘から先の前腕部のあたりを指さす。
「このあたりとか。素振りした時に盛り上がる感じかな?なんか力入ってる!!って感じで良いんだよ」
「ほうほう」と口では言うが、以前腕組みをして納得していない感がある。
「あとは。。。服で汗拭く時!!お腹あたりがちょっと見えるの!!
ケンは結構タオル使うから中々ないんだよ」
私の力説に「そうかそうか」とセレスは生暖かい目線をくれる。
「我とて剣神なのでの。鍛えられた肉体の良さは分かっておるよ。
しかしの、武術もなにもしていないお主がそこまで興味を持つことが不思議なのよ」
「えー、そんなに不思議?
だって男の子は力がないと何も出来ないよ」
「なるほどのう。ここでは力仕事の方が多いのかの。
筋力が生活の質に直結しておるから魅力的に感じるのかもしれんのう」
セレスが一人でウンウンと納得している。
「そう。。。なのかな。でも、それだけじゃないよ!!
ケンにはもっと良いところ沢山あるよ!!」
良い生活をしたいがために好きになった様に言われた気がしたため、ムキになってケンの良いところを挙げていった。
それをセレスは「うんうん」と程よい相槌を打ち、時には質問をしたりしながらお喋りを楽しんでいた。
「そろそろ、お開きにしようかのう。お主も疲れたろう」
たしかにちょっと疲れたかも。結構喋った気がする。
「次はまた明日?」
「そうじゃのう。我は毎日でも良いんじゃが、そうするとお主に負担がかかるでのう」
「負担。。。?」
「本来は寝ている時間に脳を働かせておるのじゃ。毎日やったら脳が休まる時間が無くなるでの」
「えっ!!じゃあ、今日の朝眠かったのも。。。」
「まぁ、昨日我とここでお喋りしたせいかの」
「えー!!聞いてないよ!!」
「言ってなかったかのう。まぁ、もう良い時間じゃ。さよならじゃ」
セレスがとぼけた顔をして、笑顔で手を振ってくる。
「ちょっとまっt」
私が言い終わらないうちに、意識が段々と遠のいていく。
そして沢山の文句が霧散していき、私の意識は完全に途切れた。




