日常6
「守ってくれてありがとう」
触れ合っている手を手繰り寄せ、シャリーを抱きしめる。
シャリーの言葉は俺を心を満たしてくれる。
記憶が戻っていない時も分からないまま励ましてくれた。
全てを知った今でも、俺の気持ちを汲んだ言葉をかけてくれる。
次こそはこの子を守らないと。
シャリーの暖かさを感じながら、再び俺は心に誓った。
名残惜しいが抱きしめていた腕を離す。
きっとシャリーはまだ足りないという顔をしているだろう。追加で頭を撫でる。
「そろそろ行こうか」
俺は手を差し出た。
シャリーはその手を掴み二人で歩き出した。
集会場の広場が見えたところで繋いだ手を離した。
まだ皆に見られるのは恥ずかしいというシャリーの意見が採用されたためである。
広場にはすでに木剣を振っている門下生たちの姿があった、そのまま訓練に参加することにした。
シャリーはそのまま集会場の中に入っていった。
木剣を取り出し門下生にまじり素振りを始める。
シャリーを守ると誓った後だ。素振り一つとっても気合が入る。
息を吸いながらゆっくり木剣を振り上げる、息を止め鋭く振り下ろす。
ブンッ!!木剣が空を切る音が響く。
いつもより丁寧に所作を確認しながら、素振りの動作を繰り返す。
ブンッ!!。。。ブンッ!!。。。ブンッ!!。。。
乱れる事なく一定のリズムで音が響く。
「ケン兄気合入っているな」
そんな様子を見て門下生達が小声で噂をするが、集中したケンには届いていない。
「キャーー!!」、「キャー!!」
シャリーとミカ姉の悲鳴が集会場から聞こえて来た。
何事か!!?まさか魔物が攻めて来たのか!?
俺は慌てて駆け出し集会場の中に入る。
「シャリー!!大丈夫か!!?」
集会場の中ではシャリーとミカ姉が手を取り合い、嬉しそうに「キャー」と言いながらピョンピョン跳ねていた。
「「えっ」」
二人から怪訝そうな視線を向けられる。
「大丈夫。。。たと思うけど、どうしたの?」
「あっ、ごめん。悲鳴がしたと思ったから」
「ほうほう、愛しのシャリーのピンチに駆けつけたという訳ね」
ミカ姉がニヤニヤとこちらを見てくる。
「なっ、そんなんじゃないし!!」
「えっ、違うの?」
シャリーが少し残念そうにする。
「いや、違わなくわない。。。けど。。。」
俺はしどろもどろになってしまう。
「見せつけてくれるねー」
ミカ姉はニヤニヤと通り越して形容し難い表情になっている。
察するにシャリーはミカ姉に昨日からの出来事を話していたのだろう。
より一層ミカ姉にからかわれる事になるのか。。。
「もう戻るよ」
ぽつりと一言いい俺は集会場を出た。
そんな俺の背中にミカ姉はヒラヒラと手を振っている。




