本当の報い
目覚めは最悪だった。
グチャグチャした感情が渦巻く。
あれはただの夢だったのか?そんな考えが頭をよぎるがすぐに否定する。
セレスは確かに自分の中に居る。
なぜ分かるのか説明できないが、そんな確信があった。
ずっと疑問に思っていた。
ケンは守ってくれたのに、なぜ泣いてまで自分に謝って来たのか。
魔物に襲われた時の記憶を無くし、大人たちもハッキリとは教えてくれなかった。
それがやっと分かった。
ケンは守ってくれようとしたのにあれではあんまりだ。
ケンは私を傷つけたと思ってるから、気を使って「好き」と返してくれたのかな。。。?そんなことはない。そう思いつつも優しケンのことだ。もしかしたら。。。
そんなことを考えていると涙が出そうになる。
頭から布団をかぶり丸くなる。
そうしているうちに、いつの間にか寝息を立てていた。
「そろそろケン君がくるよ」
そんなお母さんの声で再び目を覚ました。
ケンにどんな顔をして会えばよいか。。。何もしたくない。。。起きたくない。。。
「お寝坊さんかな?それとも体調悪い?」
優しく私のおでこに手を当てながら問いかけてくる。
おでこに触れた手はひんやりとして気持ちいい。
「うーん、熱はなさそうね」
お母さんの優しさに胸が苦しくなる。体調など悪いところはない。
「大丈夫。今起きるよ」
私は意を決して布団とお別れをした。
朝食を食べ終わった頃にケンが迎えに来た。
とうとう来てしまった。まだ心の準備など出来ていない。
しかし理由もなく待たせる訳にもいかないと思い、玄関を出る。
軽く挨拶を交わし、私たちは歩き出した。
昨日のことを意識してか、ケンの様子がどこかヨソヨソしい。
なんだかその様子が可愛く思える。
ケンの服の裾をそっと掴んだ。
二人は歩みを止める。
「どうしたの?」
「あのね、ケン。。。」
私は意を決してケンの顔を見る。
「私。。。魔物に襲われた時のことを思い出したの。。。それで。。。」
正確には思い出した訳ではないが、それを話すとなるとセレスの事などややこしくなる。
「私は。。。ケンに対して。。。その、ごめんなさい!!」
「ちっ違う!!あれは俺が悪いんだ!!」
ケンが叫ぶ様な声で否定する。
あまりの剣幕に私は驚いた。
「あっ、ごめん。。。でも。。。あれは全部俺が悪いんだ。。。俺が不用意に魔法を使ったから。。。」
「でも、私を助けようとしてくれたんでしょ?
それなのに私はケンのことを怖がったんだよ」
「それこそ俺が使った魔法のせいで。。。」
絞り出す様な声で言った後、顔をそらした。
ケンの悲痛そうな表情を見て、私は間違いに気づいた。
これはもう終わった事で、自分が許しを貰うために蒸し返す話ではなかったのだ。
「ごめん、ごめんねケン」
「シャリーは何も悪くない、全部俺が。。。」
力なく項垂れているケンを思わず抱きしめる。
「ケンのことは全部許しているよ。全部分かっているから」
抱きしめる手を離し、ケンの手を取る。
そして見上げる様にケンを見つめた。
「守ってくれてありがとう」




