日常2
朝早くに俺は起き出す。
とはいえケンにとって早いだけで、一般的には遅い部類に入る時間帯である。
久々によく眠れ、気分の良い目覚めだ。
キッチンからは母さんが朝食を作っている音がし、パンの焼ける良い匂いが漂ってくる。
「おはよう、今日は早いんだね」
「おはよう」
とだけ俺は返す。
もう朝日は登りきっているが、窓が塞がれているため部屋の中は薄暗い。
昨日補強のため外から板を打ちつけられたのだ。
帰ってきた時は夜だったため気にならなかったが、朝部屋が暗いのは少し気が滅入る。
せっかく気持ちよく起きれたと言うのに。
「なにぼさっとしているんだい。
暇ならお父さん呼んできな。
もうご飯にするよ」
本当に人使いが荒い、渋々父さんを呼びに行く。
朝食を食べ終わるとシャリーの家へ出向いた。
いつ魔物に襲われるか分からない状況となったので、俺が迎えに行くようにしたのだ。
玄関をノックすると、すぐにシャリーが出てきた。
「おまたせ」
「ううん、全然待ってないよ。行こうか」
「ケンが迎えに来てくれるなんて新鮮だね」
シャリーが嬉しそうに言う。
「そうだね。
いつも大変だっただろう」
魔物が現れる前はシャリーが迎えに来ていたための発言だ。
「そんなことないよ。
。。。迎えにくるの大変?」
恐る恐るな感じで聞いてくる。
「いや、通り道だし全然大変じゃないよ」
俺は慌てた感じで返す。
「フフフ、何でそんなに慌てるの」
「別に慌ててないし!!」
「うんうん、そうだねー」
いたずらっ子ぽい表情でこちらを見てくる。
以前もからかい口調の時は似たような表情をしていたが、今はその表情に少し大人っぽさを感じてドキッっとしてしまう。
俺は言葉に詰まる。
シャリーはご機嫌で歩を進めていく。
集会場に着き、扉を開けて中に入る。
「「おはよう、ミカ姉」」
「おはよう、なんか2人揃った挨拶は久しぶりな気がするね」
「なんかババくさいよ」
ミカ姉は目を細め、スタスタとシャリーに近寄る。
「この口か?生意気言うのはー」
シャリーの頬を両手で軽くつまみ上げる。
「ちょっと今日人数少ないね。
まだ来てないだけ?」
俺はシャリーの頬をいじくり回しているミカ姉に問いかける。
「んー、今日何人か街の方に避難するみたいよ。
兄弟とか親戚とかが街にいる子達が」
「そうなんだ、よく知ってるね」
「ハハハ」と自嘲気味の笑みを浮かべ
「聞きもしないのに村長が教えてくれるからね」
とミカ姉が答える。
あぁ、と納得するとともに、村長への愚痴が始まると思い
「あっ、そうだ久々に剣の訓練するか」
とわざとらしく声を上げる。
訓練やるの?と門下生達が群がってくる。
門下生を引き連れ外に出る。
外に出る間際に、視界の端にミカ姉が身を乗り出してシャリーに話しかけているのが見えた。
思った通り、愚痴を聞かされてそうだ。
「ごめん、シャリー。俺はここ数日1人で愚痴を聞いていたんだ。
今日だけは勘弁してくれ」
と心の中だけで謝っておいた。




