シャリーの家にて
「こんなとこですか」
私とカーターは作成した手紙の最終確認を終えた。
手紙には状況の報告と避難、救援のお願いそして協会と周辺の村への連絡を書き記している。
「手紙はどの様に届けますか?」
「馬を出しましょう、半日で街の方につきます。
ただ今からだと馬を載せていける船はもう出てないので明日になりますが」
「それはしょうがないでしょう。
先に子ども達だけでも避難出来れば良いのですが」
「このあと、シャリーさんの所に行こうと思っているのですが、村長もご一緒願って良いですか?」
私もシャリーの様子が気になっていたので、断る理由もない。
「ええ、良いですよ。ご一緒しましょう」
家のドアを叩くとシャリーの父であるダニエルが戸を開けた。
軽く挨拶を済ませ居間へ通される。
「シャリーの様子はどうだい?」
私は聞いた。
「まだ目を覚ましていません。
今妻がつきっきりで見ています。」
「シャリーさんを危険な目に合わせてしまい申し訳ありません。」
カーターはいきなり深々とお辞儀をし謝罪の言葉を述べた。
「顔をあげてください、ケン君には助けて貰ったと聞いています」
ダニエルが慌てて言った。
「いえ、違うんです。その。。。シャリーさんが気を失った原因は。。。
ケンが使った魔法の影響によるものだと思われます」
ダニエルは眉間に皺を寄せ険しい顔となった。
それもそうだ、聞いていた話と真逆のことを言われたのだ。
「魔法に関してですが、おそらく幻覚を見せる様なものだったと推測しています。
その幻覚により、ケンが恐ろしいものに見えたのでしょう。
それで。。。」
ここで言葉が切れた。
カーターも話していて辛いのだろう。
「原因がなんにせよ、無事だったのであれば良かったではないか」
私はつとめて明るく言った。
しかし、カーターの表情はさらに深刻なものとなった。
いくら恐ろしかろうが幻覚だろう?気を失っただけであろう?
私はカーターの反応に不安になった。
「無事ではないのか?」
「まだ影響が残っている可能性があります。。。」
確かにシャリーの目が覚めぬうちは魔法の影響が消えたことは言えぬかもしれんが。。。
「ケンくんはもう幻覚を見ていなかったのだろう?
それに幻覚もケンくんを恐ろしいものに見せるだけであればそれほど影響もないだろうに。」
私はさらに問いかける。
「魔法を使った側と使われた側で立場が違います。
ケンに影響が無くなったからと言ってシャリーさんも同様に影響が無くなるかは。。。
幻覚に関しても、魔物を除けばその場にケンしかいなかったので、何が恐怖の対象として目に写るかは。。。」
ガタッ!!
ダニエルは勢い良く立ち上がり、怒りの表情を見せる。
テーブルがなければカーターに殴りかかっていた所だろう。
「っ!!」
ダニエルは何かを言おうとするが、思いとどまり肩で大きく息をする。
そして椅子に座り、手で顔を覆い黙ってしまった。
無理もない、シャリーは目が覚めても幻覚を見続けているかもしれないのだ。
それも最悪全ての人を恐怖の対象として捉えることになると言っている。
「どう。。。にか。。。ならない。。。のですか?」
ダニエルは震える声で尋ねた。
「魔法の影響がなくなっている可能性の方が高いです。
私が言える事ではないかもしれませんが、どうか気を強く持ってください」
「そうだな、悪い事ばかり考えても仕方がない。
案外目が覚めたら元気にしているかもしれんぞ」
私も続けて励ます。
ダニエルが落ち着くのを待ってカーターが言った。
「シャリーさんが目を覚ましたらご連絡をください。
状態を見させてください。」




