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薬草取りその後

あの後、無事父さん達と合流して村へ帰り着くことが出来た。

村に着くなり寄ってたかって事情を聞かれそうになったが

「大人に囲まれると話しづらいかと思うので、最初にケンと2人で話をさせてください。」

と父さんが言ってくれ、一旦家に帰ることになった。


「ケン、私の書斎で話を聞こう」

家に着くなり父さんはそう言った。

俺は頷き(うなずき)父の後についていく。


書斎には背が高く幅が狭い本棚があり、その隣にソファーが置かれている。

ソファーに座る様に促される(うながされる)

父さんは窓際の机から椅子を引っ張り出し対面に座る。


「疲れているだろうから楽な姿勢をとっても構わないよ。

 まずは私達から離れた後の経緯を教えてくれ」

俺は薬草を取っていたこと、ネズミの魔物に襲われたこと、魔法を使ったこと、そしてその後シャリーが気を失ったことを順をおって話した。

父さんは適度に相槌を打ちながら、話を遮る(さえぎる)事なく聞いてくれた。


話を聞き終わると父さんはあごに手を当て黙ってしまった。

頭の中で話を整理しているのだろう、父さんは普段も黙りこくってしまうことがある。

「あのネズミは魔物だったの?」

沈黙に耐えれず俺は質問をした。

「あーおそらくそうだろうな。ヴァーリアンラットという魔物と特徴が一致する。

 その対策も考えないといけないが、ケンの使った魔法について少し聞かせてくれ。

 魔物を囲む様に森が成長したんだよな?」

「うん」

「それで魔物はケンが剣を振り上げて声を上げたことに驚いて逃げた」

「うん」

「気がついたら森は元通りになっていた」

「うん。。。何が言いたいの?」

俺が体験したことはそれで間違いないはずだが、口ぶりから父さんは何か気になることがある様だ。

「魔物はどこへ逃げたんだい?」

「それは俺のいる方と逆の方に。。。」

「魔物を草木に囲まれていたんだろう?そこだけ逃げ道があったのかい?」

「。。。なかったと思うけど、でも道がなくても草とかならそのまま突っ切ることも出来るし」

「まぁ、そうだろうね。

 ただ森が元に戻った。。。これはすごく変なんだよ。

 木が魔法で成長することもあるさ、しかし普通は成長したままなんだ」

「俺が嘘を言っているってことかよ!!」

思わず叫んでしまった。

父はこちらを黙ってじっと見る、そして落ち着いた声で話し始めた。

「落ち着いて聞いてくれ。ケンが嘘を言っているとは思っていない。

 起こっている事象の捉え方が間違っているのではないかと思っているんだよ。

 魔法は森に作用したのではなく、精神に作用したんじゃないか」

「精神に。。。」

「そうだ。森が成長した様に幻覚を見たのだろう。

 魔物も同様のものを見ていたはずだ。

 あとケン、お前も恐ろしいものとして魔物から見られていた、もしくはそう認識される様になっていたはずだ」

「俺が?」

「そうだ。だから魔物はケンから逃げ出したんだ。

 森が変化して、隠れていた魔物は慌てて茂みから飛び出して来たのだろう。

 そして恐ろしい姿をしたケンに襲われて堪らず逃げ出した、というところだろう」


「あとは誰が魔法の対象だったかだ」

「えっ、魔物だけじゃないの?」

「それであればケンが幻覚を見ているはずがないだろう。

 魔物、ケン、それとシャリーちゃん、その場にいた全員に魔法の効果が及んでいただろう」

シャリーにも。。。魔法が。。。それは。。。

「おそらくシャリーちゃんはお前が怖くて気を失ったんだろう」

俺は言葉を失う。

守ろうとしていたのに。。。俺は。。。

「幻覚か認識が変えられたのか、ケンに対してだけなのか。。。」

父さんが小声で呟く(つぶやく)

「まだ何かあるって言うのかよ」

「あー、ただの独り言だ気にするな。

 幻覚を見せる魔法であっているはずだ。

 森が元の状態に見えようになった時点で効果が無くなっているだろう」

父さんは誤魔化す様に結論を述べた。

「私は村長に魔物の対処の相談に行ってくる。

 お前はもう部屋で休んでなさい」

父さんはこちらが何かを聞く間もなく部屋から出て行った。

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