日常2
「「こんにちは、ミカ姉」」
と集会場に入る前に店番をしているミカ姉に2人で挨拶をする。
「二人とも、こんにちは
今日も仲良しだねー」
ミカ姉はいつも一言多い、ここ最近同じやり取りを何回もしているので一睨みだけして集会場へ入る。
集会場の中では子供達が机に向かって読み書きの勉強をしており、お年寄りが面倒を見ている。
私も机に座り、練習用の紙を取り出す。
ケンは読み書きが出来るので年下の子の面倒を見る。
最初は警戒してかケンに近づくことすらしなかったが、今では人気者だ。
「ケンここ教えて」と積極的に聞きに行っている、正直羨ましい。
私も教えてと言えれば良いのだが、5人くらいに囲まれているところを見ると言い出せないのだ。
しばらくすると
「そろそろやるか?」
とケンが木剣を指差し子供等に聞いている。
待ってましたと言わんばかりに「やる」と返事し、自分の木剣を取りに行くため散り散りになる。
集会場を出ていくケン達の背中を見てため息をつく。
ケンも含め勉強より剣の訓練の方が好きなので、すぐに外に行ってしまう。
私も切りの良いところまで行ったら外に行こう、そう決め机に再度向かう。
集会場を出て露店に向かう、ミカ姉の隣が私の定位置になっている。
ここからケン達の訓練を見るのだ。
「今日はまた早いね」
ミカ姉が話しかけてくる。
「今日もだよ」
ムスッとした表情を作って応えると、ミカ姉も苦笑いをする。
「まぁ、仕方ないよ。男の子は剣振り回すのが好きだからね。
それに村から出ていきたいと言い出す年頃になると、嫌でも勉強をするよ」
「そうなの?」
「そうだよ、読み書き出来ないと街で職に就けないからね。
計算も出来ると尚のこと良いけどね。」
「読み書きとか必要ない仕事もあるんじゃないの?」
「そんな仕事は街の人間がやっているよ。
わざわざ外の人間を雇うんだ、読み書きや計算なんか出来ないと中々ねー」
「ふーん、村を出て行こうとしているだけあって詳しいね」
と私が言うと、ミカ姉はすーっと近寄ってきて
「なまいきだなー」
と言いデコピンをしてきた。
私は「イタタタ」と額を抑えうずくまった。
「あっ、ごめんちょっと強かった?大丈夫?」
「ううん、痛い大丈夫じゃない」
といじけて言うと、「ヨシヨシヨシ」とミカ姉が私の頭を抱え撫でてきた。
なかなか心地良いのでそのままミカ姉に身を任せる。
「可愛いやつめ」
と更に頭を撫でられる。
もう私はご満悦だ。
「それにしても、シャリーもよく毎日見て飽きないねー」
とミカ姉が私から離れ、ケン達の方を向いて言った。
「うーん、面白いわけじゃないけど、一生懸命やっているとこ見るのは好きかなー」
と言うと、ミカ姉はニヤニヤしながら「ほうほう」と言っている。
私はからかわれている気がして、抗議の意味を込めてポカッポカッとミカ姉を叩く。
「ハハハ、ごめんごめん、シャリーが可愛くてニヤけるんだよ」
とミカ姉は言い訳をする。
私が拗ねた振りしてそっぽを向くと、ミカ姉は私の機嫌をとるべく「ヨシヨシ」と頭を撫でてくれた。
頭を撫でられながら私はケン達の訓練を眺める。