表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

装甲お嬢様

真実の愛に目覚めるからだ。王族用思考同期型装甲巨兵、プリンス・オブ・ハイファット、桎梏(しっこく)。

掲載日:2022/06/14

「手加減するのがたいへんでさあ」


「ああ、そうだなあ、それにくらべて婚約者のエメラルド様はすごいなあ」


「そりゃそうだろう、ハイランド家は王国一の武の名門だぞ」


「まあそう言ってやるなよ、アルフレッド王太子も頑張っているんだ」


「でも俺の機体は、半思考同期型ジャケットだぜ」


「王太子の機体は、思考同期型スーツだろお」

 半思考同期型ジャケット思考同期型スーツの性能差は1.5倍くらいある。


「ははは、違いないな」


「くっ」

 僕は物陰から兵士たちの話を聞いた。

 僕の名前は、アルフレッド・ハイファット。

 この国の王太子である。

 今日は、貴族学園の入学式だ。

 入学記念の催しで”武闘会”が開かれた。

 装甲巨兵で武を競うのだ。


 エメラルド・ハイランド侯爵令嬢。 


 幼いころに結んだ僕の婚約者だ。


 彼女の駆る、思考同期型装甲巨兵ドレス、”シェヘラザード”

 大きな鎌にヘビ状の下半身。

 上半身は、口の周りを薄絹で隠した美女の姿である。


 彼女は十二歳で、社甲会デビューしてから負けを知らなかった。

 学問も優秀。

 僕は今回の武闘会も軽く一蹴されている。


「……何をしても彼女に勝てない……」


 さっきの兵士のように、陰で比べられてバカにされているのだ。


「ふううう」

 僕はあきらめのため息をついて、装甲巨兵に乗り込んだ。

 嫌なことがあった時や落ち込んだ時、城の裏山の崖にこっそり装甲巨兵で出かけるのだ。


 月のきれいな夜だ。


 崖の際に巨兵を座らせる。


 プシュン


 下向きに開いた胸部装甲に胡坐あぐらをかいて座る。


 大きな満月に、巨兵と自分の影を映した。


 カラリ


 スキットルの蓋を開け一口、安物のウイスキーを含む。


「苦いな……」


 兵士たちの陰口を一緒に飲み込んでいるようだ。

 今十五歳。

 三年後、学園を卒業と同時にエメラルドと結婚する予定である。

 もう一口飲もうとしたとき、


 バサア


 青白い月を更に白く切りとりながら、天使が空から現れた。


「……聖女機、ホワイトメイデンか……」


 背中の金属製の羽毛で重力を制御しながら、僕の前に降りてきた。

 ファーストビル教の聖女機。

 白い翼に鎧を着た乙女の姿。

 額のティアラには、涙滴状の赤黒い宝石がゆれる。


 最近聖女を選別したというが。


 パシュン


 聖女機の胸部装甲が下に開いた。

 装甲の間にチラリと黒いドレスが見える。


「こんばんは」

 

 聖女が操縦席から出てきた。


「聖女、ピジョンブラッドか」

 彼女の額にも、機体と同じティアラと赤黒い宝石がゆれる。

「何の用だ」

 僕の秘密の場所に押しかけてどういうつもりだ。


「……アルフレッド殿下、あなたを○○しにきました……」

 無表情に言った。


「な、なにっ○○だとっ」

 急いで機体の中に入ろうとするが、


 ぐああああ


 赤黒い宝石があやしく光る。

 頭があ。

 頭に何かが入ってくる。

「くうう、があああ」


 はあっ、はあっ


 頭の痛みが治まった。

 エメラルドや兵士の陰口のことは何も気にならなくなった。

 ピジョンブラッドの頬に手を当てる。


「愛している」

 僕は無表情に言う。


「お慕いしております、アルフレッド殿下」

 ピジョンブラッドも無表情に答えた。


 僕は三年後、学園の卒業式でエメラルドに婚約破棄を告げる。

 真実の愛に目覚めるからだ。

 

装甲お嬢様シリーズ第十一段。

桎梏(しっこく)の意味、手枷、足枷、自由を束縛すること。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ