第9話 最強の閃き
「ギャハハ! そうかそうか!」
不良少年は、ニヤニヤ嬉しそうにニヤける。
「んじゃぁ、やってみろよぉ!!」
彼の拳の射程圏内に、あえて入ったロテスに、巨大な鉄拳を叩きつける。
それが、この不良少年の敗因になるのだった──
ロテスは、避けるのではなく、なんと腕に飛びついた。
そして、こう叫ぶ──
「そばかすよ! 増えろ!!」
彼は自身が授かったスキルである、そばかすを増やしたり減らしたりするスキルを使って、手の平にそばかすを出し、そのまま、不良少年の右腕へそばかすをもの凄く大量に付与した。
不良少年の服装は、タンクトップである為、強靭な腕がそのまま肌を出している。
「ギャハハハハハ!! そばかすなんて俺の腕につけた所で何にな……」
ロテスの謎の行動を嘲笑ったが、不良少年の右腕に激痛が走る。
「あぎゃぎゃぎゃぎゃ!! 俺の腕がーーーー!!!!」
「まだまだ増えるよ!」
ロテスは、どんどん彼の体にそばかすを付与している。
不良少年の胸と首より上以外に彼はそばかすを付与した。
「あぎゃぎゃぎゃ!! 死ぬ!!死ぬーーーー!!」
先程の彼とは思えないほど、苦しそうに泣き叫ぶ。
「お、俺が悪かったぁ……俺の負けだぁ……」
ヒックヒックと不良少年は涙を流す。
「もう、サラに何もしない?」
「じまぜん!! おれのどれいにじようどじない!!」
不良少年は必死に答える。
「それなら、良いよ! そばかすよ、減って」
ロテスが減るように言うと、不良少年の全身から生えていたそばかすが消えていくのだった。
そして、彼の身体からそばかすが全てなくなると、ロテスは、腕から飛び降りる。
命の危機を味わい心が折れ、泣いている不良は、ロテスよりはやや高めだが、140センチほどの小柄少年に変化した。
「まぁ君が落ち着いたら、話をしようか」
ヒックヒックと涙を流す少年の背中を摩りながら、ロテスは対話をすることにした。