跳ね返って、今
過去を振り返ることはつきない
振り返れば、あの時あの場所でああすればよかったと後悔自慢が全身をめぐる
おびただしい数の後悔と羞恥がスタンディングオベーション
鳴りやまない耳障りな拍手と歓声
口角が裂けんばかりにねっとりした笑みを浮かべて、こちらを凝視している
感動で涙が出たのではない
過去への嫌悪が笑うその光景が、怖くて震えが止まらず、鳴りやめと願う表れである
会場が静かになった
顔をあげると鏡が一つ置かれていた
自分に意外に映るものはいない
が、その鏡に映る自分は幸せそうであった
都合の良い状況になるために、挑むことを恐れ逃げた
現実が悪いんだと、自身の存在に向き合わない現実、社会、もはや空気までも
なら都合がよくなるまで逃げればいい
そうすれば現実に傷はつかない、クリアできれいで輝いている
ずっとそう思いたかった
でも、現実だと思い見ていたものは現実なんかじゃなかったんだ
都合の良いことだけで磨き上げた鏡だった
そこに映る自分は、ずっと笑っている
じゃあ現実はどうだ
時を待っていたかのように、鏡を粉砕しながら一発の弾丸が自分を貫いた
跳ね返ってきた重みは痛みと変わり、今を映し出す
自分の生き方が、鋭く重く、今になって跳ね返ってきた