奴隷商人、出待ちされる。
学校の校門でサイファさんと別れて、アッシュと一緒に中へ入っていく。
木の廊下を二人で歩いていくと、アッシュが静かに聞いてくる。
「‥お前、また奴隷をどっからか買ってきたのか」
「今回は違うよ」
「じゃあ、あいつ売り物か?」
「まだ売り物でもないよ」
「じゃあ、な、何だよ、あいつ!!」
「う〜〜〜〜ん、従業員?」
と、いう事にしてある。
奴隷希望だとは人には言えない。っていうか、おいそれと言うものでもない。
教室に入って、同級生に挨拶するとアッシュは私の隣の席に座る。
本当にね〜〜、何だろうね、このご縁。
それなりに人数がいるはずなのに、こいつとはずっと同じクラス、席も大体いつも近い。
「じゅ、従業員って、お前んちそんなのばっかしかいねぇじゃん!」
「いや、一応奴隷だけどね」
うちの奴隷達は言う事を聞かないんだわ。
ニュイさんは、「フィオちゃんが学校を卒業して、お嫁さんになるまでここにいる!」って言うし、
ペリートさんは、「ドロワのおやっさんの世話をしないとだし」って言うし、
ピコは、我が家の奴隷販売店の方針で15歳になるまでは売らない予定なんだけど、「フィオとずっと一緒にいる!」って言うし‥。
本当にどいつもこいつも言う事を聞かない。
他にも貸し出し奴隷もいるけど、すーぐ家に戻ってきて、ゴロゴロしている。奴隷販売店なんて戻ってきたくないよね?どんだけ居心地いいんだろ‥。
「まぁ、従業員が増えたんで、食い扶持は増えたし‥、また稼がないとなぁ」
そうボソッと呟いて、爺ちゃんの木工作品を卸しに行ってるお店にまた声をかけておこうと考える。私も何か作って売っておかないとだなぁ〜。
隣でアッシュが、「俺の家に来れば?」とか言ってるけど、何でだよ、嫌だよ。宝石店でアルバイトなんて、怖くていけないわ!!
サイファさん、大丈夫かな〜。
爺ちゃんにこき使われてないといいけど‥、心配になりつつその日を終えて、私は学校のチャイムが鳴った瞬間に、教室を飛び出した。
校門の方へ走っていくと、サイファさんらしき人影が見えた。
「サイファさん!!」
そう声をかけると、サイファさんはペリートさんの服を貸して貰ったのか、白いシャツに着替えていて、それだけで爽やかさが5割り増しだ!!
「フィオ、さん‥」
「あ、フィオでいいよ。ペリートさんから服を借りたの?白いシャツも似合ってるね!」
私がそう話すと、サイファさんはぎこちなく微笑んで、
「俺も、サイファ、でいい」
「そう?じゃあサイファ、帰りましょっか」
私とサイファは早速家路を急ぐ。
今日はいつも行く店でタイムセールがあるんだ。早めに戻って買い物に行きたいのだ。
「サイファは、午前中何をしたの?」
「ドロワさんと、畑の開墾をした‥」
「え!!??裏の畑を更に広げたの??」
「食い扶持が増えたから‥と」
爺ちゃん!!
でも、まぁ確かに一人増えるって事は、食費でも何でもお金は掛かるからなぁ〜。
「畑の開墾なんて大変だったでしょう?お疲れ様」
「‥大丈夫、剣の仕事より楽しい」
剣の仕事‥。
朝、アッシュを倒す?なんて聞いてたけど、用心棒みたいなこととかしてたのかな?
「そっか、畑仕事が楽しそうで良かったよ」
「フィオ、は、午後は何をするんだ?」
「私は、買われた奴隷の様子を見に行ったついでに買い物をして、畑の手入れと、宿題と、夕飯作りの手伝いかな?」
奴隷商人の仕事がちょっとで、他は家事と勉強。二足のわらじでは足りない気がする、私の体‥。
サイファは、私の言葉に静かに頷いて、
「‥手伝う。宿題以外」
ん?
もしかして、今のはジョークか??
サイファを見上げると、不思議そうな顔をして私を見る。あ、天然か!
私が笑って、サイファに‥
「サイファさんが、ジョークを言ったかと思ったの」
「ジョークではない。あと、サイファがいい」
「あ、そうだった」
まだ慣れてないんだもーん。ニヤッと笑うと、サイファもまたぎこちなく微笑み返してくれた。うん、大分いい感じだ。




