奴隷商人、器物破損代チェック。
ガラス代に、壁の修理代。
ああ〜〜、爺ちゃんが数人と戦っているけど、あちこち傷ついてる〜!!頭の中で、お金が飛んでいくイメージしか湧かない私に、ニュイさんがキッと見つめて、
「フィオ、裏口へ!」
「はいぃいいい!!!」
ニュイさんに言われて、キッチンの裏口から出て行こうとすると、そっちからも人が入ってきたぁああ!!い、一体何名様でいらしたのぉおおおお!??
「「わわ!!!」」
慌てて、手近にあったフライパンで応戦する!
も、もうさっきは箒で、今度はフライパンとか!!入ってきたおじさんに手首を掴まれて、思い切り壁に叩きつけられる。
「うっ‥!!」
一瞬、クラっと目眩がする。
おじさんの一人が、私を見て‥、
「こいつが奴隷商人か?じゃあ、こいつを連れて行けば‥」
頭がクラクラする。どこに連れて行こうだって?
なんとか逃げようと、体を動かそうとするけど、私の手首を掴もうとする。クッソ!触るんじゃない!!へなちょこでもパンチしてやろうと、拳をあげると、
「「フィオ!!」」
サイファの声?
瞬間、私を捕まえようとしていた人が真横に飛んでいった。
真横に人が飛んでった???
と、サイファが私の体を抱きしめた。
あ、あれ??いつの間に???
サイファを見上げると、ちょっと汗をかいてる。走ってきてくれたのかな?
「さ、サイファ‥」
「ここに、いて。ペリートさん、もう来る」
「わ、分かった‥」
横に吹っ飛んだ人をまたいで、リビングの方へサイファが向かっていくと、ペリートさんもすぐに裏口へ入ってきた。
「ペリートさん!!」
「大丈夫だったか!?こっちに来るまでにも、何人かいて、サイファが倒してくれたんだ」
「え!?こっちに来るまでにもいたの?!」
「ああ、ピコがギルドにも知らせに行ってくれたから、もう大丈夫だ」
ホッと息を吐いて、ペリートさんと裏口を出ると、驚いた。
ここに来るまでに襲ってきた人達が、倒れてる。
それも一人とか、二人でない。
ざっと八人くらいいる。
「「これ、結構な大所帯じゃない???」」
「だよな〜。一人くらい懸賞金かけられてるのいないかな?」
「う〜〜ん、うちの家族ってば、たくましい!!」
でも、そうだよね。
ガラス代に、壁の修理代、掛かりそうだから、ぜひ一人くらいお金になって欲しい‥。そう思っている私の後ろで、またガシャーーーーンと、ガラスが割れる音がした。絶対お金になってくれ。
そうして、ニュイさんが言うには
「サイファさんが来たら、あっという間に終わっちゃったわね〜。ドロワさんはもう少し新しく作った武器を試したがってたけど、あんまりお部屋を汚すとフィオちゃん嫌がるから、ちょうど良かったかも!」
うふふって笑う綿菓子のようなニュイさん。
信じられないだろ?
空中飛び膝蹴り、得意なんだぜ?
サイファと爺ちゃんで、倒した人達を縛って庭先に置いていると、ピコが空から降りてきた。
「大丈夫だった!?もうギルドの人がこっちへ来るよ」
「ありがとうピコ」
「ヒューイは!?」
「二階!一緒に行こう!」
急いで二人で二階へ駆け上がって、物置のドアを開けると、ヒューイがそっと顔を出した。私とピコでニコッと笑って、
「ヒューイ、もう終わったよ!よく頑張ったね!」
そういうと、ヒューイはまたボロボロと泣き出した。
「怖かったよね。もう大丈夫だよ」
ピコと私でヒューイを抱きしめて、落ち着くまで背中を撫でていると、ようやく泣き止んだ。そのままピコと部屋で少し休んで貰う事にした。今日だけでも、ものすごいショックを受けたろうしね‥。
部屋に入る二人を見送ってから、足元に散らばるガラスを見て、私もショックを受ける。
「「ガラス代‥!!!」」
嗚呼!!これ、何枚割れたのかな?!
ひとまず振り回した箒で掃除してから、一階へ他に破損している所はないかと確認しに行った。ガッデム!!!




