奴隷商人、奴隷の紹介をする。
リビングの窓から入ってくる朝日に照らされて、キラキラと輝いてみえるサイファさん。今日もイケメンだな〜〜。
そんなサイファさんを、ドロワ爺ちゃんはジィッと見る。
「‥おめぇ、年はいくつだ」
「22です」
「今まで何をしてた」
「ギルドで‥、色々と」
「武器は使えるか?」
「一通り」
じ、爺ちゃん???
私は爺ちゃんと、サイファさんを交互に見ると、爺ちゃんはニンマリ笑った。
「武器が扱えるなら、俺の仕事にも役立つな!よしよし、フィオ!いいの捕まえたな!」
「爺ちゃん、捕まえてない。あと従業員ですからね。ハードワークはさせないでよ!サイファさん、爺ちゃんの無限の体力に付き合わなくていいですからね!」
私と爺ちゃんの掛け合いにびっくりした顔のサイファさんが無言で頷く。
ドワーフの爺ちゃんは、人間よりもずっと体力がある。
だから、爺ちゃんに付き合おうとすると、それはもう‥死ぬ。
「大丈夫だ、サイファだっけ??お前、竜の血の匂いがする。竜族だろ」
ドワーフの爺ちゃんは、鼻もきく。
って、え?待って??竜族??あの獣人の世界でいえば最高峰の竜?
強くて、長命、魔力もバリバリあって、そんなの奴隷で売られた日には、億どころの騒ぎではない‥あの、竜族!??
「りゅ、竜!!??」
「‥人間の血も入ってるが」
「いやいや、十分すごいでしょ?!へ〜〜!!竜族の人なんて初めて見ました!言ってくれれば良かったのに」
とはいっても、すごくなんか強い!くらいの事しか知らないけど。
ごめんね〜‥。十分にすごさが分からなくて‥。
「まぁ、そんな訳だから俺の仕事を手伝って貰う」
「はいはい、サイファさん。嫌な時は、ハッキリと嫌って言って下さいね!」
「‥あ、ああ‥」
サイファさんはまた目を丸くして私を見る。
なんか驚く事、いっぱいあるの??
と、キッチンの方から「ごはんですよ〜〜!!」と声が聞こえる。
「あ、サイファさん。じゃあ、朝ご飯食べに行きましょう。他の奴隷‥というか、住人も紹介します」
「住人?」
「奴隷なんですけどね〜、もう長くいすぎて最早家族です」
だから売れないんだよね〜。
あと売られてくれない‥。そんな奴隷販売店ある!?って思うけど、まぁこれがうちだから。
キッチンへサイファさんと入ると、薄茶の長い髪を結って、犬耳が頭の上でピクピク動いている可愛らしい女性の犬の獣人のニュイさんがこちらを向く。
「フィオちゃん、お皿出してくれる?」
「はい、あ、サイファさんも手伝って。お皿はこっちね」
「ああ‥」
サイファさんがついて来てくれて、私はキッチンの戸棚からお皿を出しつつ説明する。
「今の人はニュイさんって言って、犬の獣人のお姉さん兼お母さん。今、欠伸をしながら入ってきた茶色の髪をした犬耳のおじさんはペリートさん。どっちも奴隷なんだけど、もう長くここにいる家族みたいなものです」
「フィオ、俺ぁはおじさんじゃねぇ!まだお兄さんだ!!」
ペリートさんのツッコミが来るが、そんなの知るか。
お皿をペリートさんに渡すと受け取ってくれたので、私はフォークも出す。
「おはよ〜〜!!フィオ〜〜!!」
ちょっと高い声がして、真っ白い髪を短く切った水色の瞳の男の子がキッチンへ入ってくる。背中には天使のような翼が生えていて、ペリートの頭にぶつかって「いてぇ」って言ってる。
「おはよ、ピコ。あ、サイファさん、この子は鳥の獣人です」
「ピコです〜。うわ〜〜大きい!!ペリートよりも大きいねぇ〜」
ピコは私の腕に絡みついて、サイファさんを見上げる。
‥確かに、でっかいよなぁ〜。
私は150位だけど、190くらいあるんじゃない?私とピコがサイファさんをマジマジと見ていると、ちょっと照れ臭そうに目を逸らす。あ、ごめんね‥。




