奴隷商人、いっちょ儲ける?
サイファに心配されて安心して欲しいとばかりに抱きしめられた私は、あまりの衝撃的な出来事に死にかけた。だって美形だよ!??びっくりするわ!!山を全速力で駆け下りただけでも、心臓が死にかけたのに‥。
「さ、サイファ、もう、大丈夫、だから‥」
顔が真っ赤になった私がサイファに体を離してもらうと、未だ心配そうに私を見ている。
だ、大丈夫だから!心臓破けるから!!
竜族の慰め方って、あんな感じなの??わからん‥。
ちょっとフラフラしながら、ニュイさんとピコの所へ行くと、めっちゃニヤニヤされた。
「もう!!笑い事じゃない!!でも、ニュイさんもピコも助けてくれてありがとう」
「うふふ〜どういたしまして!」
「キノコも山菜も、さくらんぼも無事だし、良かったね〜!フィオ!!」
うちの奴隷兼、家族がたくましい件について〜〜。
うん、でもまぁ、確かに良かった。
ひとまず街道に留まっているのも危険なので、レメさんの馬車に倒された狼と一緒に乗ってギルドまで送って貰う私達‥。
その道中に、ペリートさんが色々説明してくれた。
なんでも隣街では狼の群れが最近見られる事が増えたと、荷卸ししている時に聞いたらしい。手早く買い物を済ませて、明るい内に早めに帰ろうという話になって、色々繰り上げて帰る途中だったそうだ。
爺ちゃんが狼達をちらっと見て、
「隣街の山の餌がなくなってきたんで、こっちへ移動してきたんだろう。うん、毎度あり!!」
「どんな声かけだ‥。レメさん、本当にありがとうございます」
「いや〜、ドロワさんがいてくれるだけでも心強いのに、サイファさんも強くって、今回はオレの方が助かったよ!」
レメさん、ありがとう〜〜〜。
絶対お礼にケーキ焼いていくね!!
街の中心から少し右に位置するギルドに、レメさんが馬車をつけてくれると爺ちゃんは馬車を降りてギルドの中へ入っていった。
サイファも降りて、事故がないようにと馬車の周辺を見守ってくれる。
ペリートさんは何をしてるのかな?そう思って、ペリートさんを見ると‥「荷物番だ!」と胸を張る。うん、その清々しさ、本当にいい性格をしているぜ。
ギルドに入った爺ちゃんと一緒に、ギルドのマスターをしているクラウンさんが慌てた様子で馬車へやってくる。あご髭のある、濃茶の髪を短く切ったなかなかのイケオジである。
馬車から顔を出して、クラウンさんに挨拶する。
「クラウンさん、こんにちは!」
「お、フィオ!今回大変だったな!」
気さくに挨拶を返してくれると、あご髭をちょっと手でこすりつつ、馬車の中に積まれた狼を見て、ほ〜っと感心するようにやられた傷を見るクラウンさん。着眼点が違う。
馬車のそばにいたサイファを見て、
「なかなかいい腕前だな。えーと、名前は?」
「‥サイファだ」
「売る前提で、この辺りを一撃で仕留めたのか?」
「‥ああ」
サイファは静かに頷くけど‥。
え?そうだったの??あの一瞬でそんな事を考えながら攻撃していたの?思わず目を丸くしてサイファを見る。本人、涼しい顔してますけど‥、す、すごくない???
サイファは私を見て、
「「お金になる」」
「うううううう‥、ハッとするほどの美形に家計を心配させてしまって、なんていうか私の良心がキリキリ痛むぅううう」
ははっとクラウンさんが笑って、
「良い腕じゃないか!うちでバイトすれば、お金をもっと稼いできてやれるぜ?いつでも来いよ!」
サイファは確かに!みたいな顔をするけど、ちょっと待て!!
いくらギルドでも以前働いていたからと言っても、ギルドの仕事は危険が多いんだからね!!??
「ちょ!!だ、だめだからね!サイファ!!」
私が慌てて止めると、サイファはクラウンさんを見て、
「ご主人様次第だ」
「あ、なんだ。奴隷なのか?」
クラウンさんが納得した顔で、私とサイファを交互に見るけど、ち、違う〜〜!!!自称奴隷です!!
「ご、ご主人様って‥!!!」
慌ててサイファを見ると、涼しい顔でコクっと頷く。
いんや、頷かないでくれるかな!???
私はサイファをジロッと睨んで、
「サイファは、まだ従業員!!」
思いっきり叫んだよ。あとで外でそう言った事を言わないように、厳しく言っておかないとだ!!まったくもう〜〜!!




