奴隷商人、給与を受け取る?!
学校へ着いて、アッシュに宿題を写させてもらう。
昨日、馬を追いかけてクタクタになってあれからすぐ寝ちゃったんだよね〜。
いや〜、腐れ縁もこういう時は助かるわ。宿題を写してノートを返すと、アッシュは「お前は本当に仕方ないな!」って嬉しそうに言うけど、あんた‥本当にその口をなんとかしなよ?
「はい、ノートありがとう」
「本当にこんな宿題もできなくて、お前は仕方ないな!」
「いちいち煽るスタイルやめておこうね?昨日は馬を追いかけてたから疲れて寝ちゃったの!」
「‥お前の本職、なんだっけ?」
奴隷商人ですね。
わかってます、何故馬を追っているんだって私もちょっと思ったから。でも、そのお陰で野菜はたんまり貰えたし、サイファは新しい仕事をゲットしてきたのだ。万々歳である。
「‥お前、本当に仕事で苦労してるならうちでバイトしろよ」
「お気持ちだけ受け取っておきます」
アッシュにまで心配される奴隷商人の私。
我が家はそもそも買い付けせず、奴隷を手放す人から買うスタイルだからな〜‥。
まぁ、買い付けに一度爺ちゃんと一緒に行って、あまりにもあまりな光景にショックを受けて、奴隷市場でひっくり返って「全部買う〜〜!!」って、号泣して以来、爺ちゃんは買い付けに二度と行かなくなった。主に私のせいだ。だから、なんとか家計を助けたいんだけど‥。
昨日、我が家の家計を心配して奴隷なんて名乗って働きにいったサイファを思うと、やっぱり胸がチクチクする。
「サイファ、大丈夫かなぁ‥」
思わず、窓の外を見てボソッと呟くと
隣でアッシュが「うちで働けって!!」って言うけど、宝石店なんて繊細なバイトできるかっての。私には畑作業がちょうどいいくらいだ。
そわそわしながら授業を受けて、終業のベルが鳴ると
アッシュがなんか引き止めるように声をかけてきたけど、サイファが心配で大急ぎで学校を出る。
‥と、サイファが校門の前で待ってる!
え?仕事終わったの?
駆け寄っていくと、私の顔を見つけてちょっとホッとした顔をしてる。
「「サイファ!仕事終わった?どうだった?うまく出来た?」」
私の矢継ぎ早な質問に、少し驚いた顔をしつつコクコクと頷く。
うん、大丈夫そうだな。
今度は私がホッとしてサイファを見上げる。
「お疲れ様、仕事終えてすぐにここに来てくれたの?」
「‥これ、渡したくて」
そういうと、茶色の封筒を私の前に差し出す。
給与袋やん!!
っていうか、それは君が自分で稼いできたお金やん!!!
茶色の給与袋を見てから、サイファを見上げると、緊張しながら私を見ている。何故、そんな緊張した面持ちなの?
「‥あ、ありがとう?」
そう言うと、パアァッて顔がちょっと輝いた。
あ、これが正解な感じ?喜んで欲しかったのかな?でも、これ君のだし‥受け取れないんだけどな〜〜。そんな気配を察知したのか、サイファは私の手を取ると、問答無用で茶色の袋を押し付けるように渡す。
「ちょ、ちょっと!?これはサイファが稼いできたから、全部は受け取れない!!食費だけ貰っておく!!」
「しかし、」
「ダメ!!全部は貰えない!」
いや、お金はいつだって随時欲しいけど、心は錦!!
食費だけは頂きますけど。
サイファは、心配そうに私を見るので‥、従業員に心配させて申し訳ない気持ちで一杯になる。茶色の封筒をそっと握って、サイファを見上げる。
「気持ちは、すごく嬉しいです。サイファ、ありがとう」
そう言うと、サイファは小さく嬉しそうに微笑んだ。
お、おお‥微笑むと、美形の顔が更に魅力が増すなぁ〜〜!
思わず顔をまじまじと見ていると、サイファが突然手を繋ぎだした。え!?な、なんで??美形だな〜って思ってたから、いきなり手を繋がれると驚くんですけど!?
「‥危険だ」
「危険???」
私の後ろを見るので、つられるように振り向くと、アッシュがこちらへ駆けてくるのが見えた。あの〜、あれ一般市民だからね?




