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奴隷商人、お仕事します。


家に戻ると、クタクタになったパンをニュイさんに渡して、タイムセールを諦めて私は畑の手入れをする。


奴隷商人という定義はどこへ?

って思うけど、働かないと食べていけない。

サイファは、一緒に籠を持って畑仕事を手伝ってくれるけど、なんというか大変複雑そうな顔である。な、なんだよ、言いたい事があるなら言ってくれ。



「いつもこんな感じ、なのか?」

「いつもこんな感じですね〜。働かざるもの食うべからずです」


「大変、なんだな」

「まぁ、多少は。なんとか稼いで食いつないでますね」



野菜をいくつか収穫して、籠に入れるとサイファはさっとその籠を持ってくれる。あ、奴隷っぽい。いや、収穫してくれた方がより一層奴隷っぽい?



サイファは更に複雑そうな顔をして、籠の野菜をじっと見る。

あれ?もしかして、あんまり好きな野菜じゃなかった?そう思って、一緒に家の裏口まで歩きつつサイファに尋ねてみた。



「サイファは好き嫌いあります?」

「‥特には」


「じゃあ、良かった!今日もニュイさんとピコの料理、美味しいから楽しみにしててください!あ、まぁ食卓はそんなに豪華じゃないかもしれないけど‥」



思わず言い訳っぽい内容になる。

だってな〜、リコあんなに血色良くなったしさぁ。

いや、うちが忙しすぎるだけなのかもしれないけど‥。そんなことを思っていると、サイファは首をちょっと横に振って、


「昼食も美味しかった‥」

「そう?なら、良かったー!!」


今晩はキノコと、爺ちゃんが山で仕留めた何かの動物の肉の煮込み料理である。


前世の私をうっすらしか覚えてないけど、ご飯の美味しい世界で良かったと思う。ニュイさんとピコの腕がいいのも本当にありがたい。裏口を開けてサイファが野菜の籠をニュイさんに渡したその時‥、



「「フィオちゃん!!ちょっとペリートさんに手伝って貰いたいんだ!!」」



焦った声がして後ろを振り向くと、近くに住む農家のおじさんがこちらへ馬に乗って駆けてくる。


え、ど、どうした??



「レメさんどうしたんですか!?」

「馬の柵が壊れてて、逃げちまったんだ!!ペリートさんに探して貰いたいんだ!」


「分かりました!!ペリートさん!!聞こえたでしょ?お願いー!!」



ペリートさんはキッチンの奥にある椅子に座って、犬耳をピクピク動かしつつ、「え〜〜」って顔をしてるけど、そんな奴隷がいるか!!「早く!」と声をかけると、ブスくれた顔でこちらへやってくる。


サイファは中で待っていて貰おう。

そう思っていると、私の方を向いて‥


「俺も、行く」

「え?でも、馬だよ??」

「乗れる」


そうなの!?

そりゃ大助かりだ!!

レメさんにそう伝えると、助かるよ〜〜!!と、ほっとした顔をする。助け合いは、この世界では大事だからね。すぐに三人で逃げ出した方をペリートさんに匂いを辿って貰って探しに行く。



匂いを辿るペリートさんの後を追って行くと、ちょっと奥の林に5頭ほどの馬が、林の中でウロウロしているのを早速見つける。さっすが犬の獣人!頼りになるのに、働きたがらない‥。


えーと、レメさんは馬に慣れてるけど、我々はどうしよう。


そう思っているとサイファが馬を見て、その内の一頭の側へ素早く走って行き、トンッと軽くジャンプしたかと思うと、馬の背にひらりと軽やかに座った。



座った!!??



レメさんと、ペリートさんと、私で驚いて口をあんぐり開けていると、サイファは馬の手綱をさっと掴んだかと思うと、馬を逃げないように追い立てつつ‥、


「このままどこへ行けばいい?」


涼しい顔で聞くから驚いたレメさんは、オロオロしながら


「あ、こ、こっちへ‥」


と、自分の農場を指差す。

馬に乗りつつ先導して貰うと、サイファは馬に乗って他の馬を誘導しながら農場の柵の方へと追い込んで行った。



え?すごくない??

いきなり来てすごくない??

私とペリートさんは、走って農場まで行って、柵の中へ追い込むサイファをただただ感心したように見てるけど、なんかすごい奴隷希望、来ちゃった??思わずペリートさんと顔を見合わせてしまった‥。




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