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毎度!奴隷商人の娘です!


前世の記憶はおぼろげながらあった。

多分ね、日本って国に住んでたんだ。

でも、過去は過去である。



私、フィオ・オニキスは「今」を生きるのに精一杯だ。



0歳で森に捨てられ、ドワーフの爺ちゃんに拾われた。

そして、3歳でふと思ったのだ。


「ねー、爺ちゃんなんでうちにはママが三人もいるの?」

「あ〜、いっぱいいていいじゃねぇか!!」


いっぱいいていいって・・、無茶苦茶やがな。

でも、どう見ても爺ちゃんと、ママ達は夫婦っぽくないんだよな〜〜。そんな風に思っていたけど、まぁ3歳だし。そんな事もあるか!って思った。いやよく考えろ、ないよ。


そうして7歳になった。


こっちの世界でもいわゆる小学校的なものがあって、私も晴れて小学生!真新しい鞄をドワーフの爺ちゃん事、ドロワ爺ちゃんに作って貰って、嬉しい気持ちで学校の門を潜ると、皆が私を見て、くすくすと笑っている。



はぁ?

なんだ??

何かついてる??私の顔に??



そう思っていると、そばかすの散った頬の男の子が一人私に指をビシッと向けて、ニヤッと笑う。



「「奴隷商人の娘だー!!こいつといると売られちまうぜー!!!」」



え、


奴隷商人!??



うちって、奴隷売ってたの!!??



私は、そばかす男子の頬を思いっきりパンチしてから、家に飛んで帰った。うちは、街の外れにある大きな木の家だ。爺ちゃんが一から自分で作ったらしい。


その木の扉をバンッと勢いよく開けて、



「「爺ちゃん!!!うちって、奴隷商人の家だったのぉおおおおお!!??」」



ものすごいデカイ声で聞くと、作業場で何やら犬の獣人と作り物をしているドロワ爺ちゃんがニヤっと笑って、


「なんだ、今更。そうだぞ、我が家は奴隷商人の家だ」


ほ、本当だった!?

私は目を見開いた。


そうか!!だから、常に人がいつもいたのか!

新しく来たお客さんかな〜って思ってたけど、しばらくいる人もいれば、すぐいなくなる人もいたけど・・、え、っていうか、物語でいえば忌むべき存在!物語の冒頭でしか出てこない奴隷商人!!?



「なんで、奴隷商人の家〜〜!!!??」

「バッカ野郎!!うちは、『信頼、愛情、バッチリアフターケア!!』がモットーの奴隷商人だぞ!!胸を晴れ!胸を!!」



ガハハって、小柄だけど、厚みのある体を揺らして、豪快に笑うけど・・いやぁ!?爺ちゃん、人が人を売るってのは、どうかと思うよ!?でも言われてみれば、私はようやく皆が奴隷だったと気付くくらい、爺ちゃんは皆を大事にしていた。


絶対に優しい人の元へ。

売られても幸せな人の元へ。

そして買ってくれた人も、幸せになるように。


爺ちゃんは、モットーと愛情を持って奴隷商人をしていた。



ならば、この世界で私も爺ちゃん同様、『信頼、愛情、バッチリアフターケア』で支えようではないか!!目指すは、皆がウィンウィンウィンしかない世界だ!!!



衝撃の小学生デビューを飾った7歳の私は、あれから10年!

あっという間に茶色の髪は、肩まで伸びて、くりっとした目は栗色と・・、小柄で大変平々凡々ではあるが、まぁまぁ可愛く成長したと自負している。



そうして、今日もこちらの世界のそろばんを弾いて、



「今日も貧乏なんだけど〜〜〜!!!」



と、叫んでいる。

しかし、私の目指すのはウィンウィンウィン!!皆が幸せ!がモットーだ。隣で爺ちゃんが、何やら物作りをして適当に稼いでくれてるけど・・。あまり売れない奴隷商人も今日もしている。




そんな我が家に、ある日の晩。

夜遅く、そろばんを弾いている我が家のドアがノックされた。・・こんな時間に誰だろう?


爺ちゃんは寝ちゃったし、番犬がわりの犬の獣人のペリートもお酒を飲んで寝てしまっている・・。ちっ、全くもう!花の乙女に何をさせるんだ。そっとドアを開けると、黒いフードを被った大きなその人は、静かな声で・・、



「・・ここに、奴隷になりたいんだが」



奴隷を売りたいとか、買いたいなら分かるけど、奴隷になりたい人は初めて来た!


えーと、い、いらっしゃいませ?!!!



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