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ヒロインは『【溺愛中】秘密だらけの俺の番~』の関係者ですがそっちを読まなくても問題ありません。

話だけでまだ登場してない人物もこちらで出ているので問題ないような作りです。

全4話で毎日朝4時投稿(ホントは4:44に投稿したかった)。

ホラー映画が好きなんですが、自分でお話作るとなると難しいのがよくわかりました。

生温い目で見て下さい。

夜中に人知れずゾクリとするようなホラーが好みです。

「ママー! かくれんぼこわいのお!」

詩香(しいか)は怖がりさんだねぇ」


 ずうっと昔の小さな私に、くすくすと柔らかく笑う優しい面差しの母。


 確か日本の真夏のホラー特番を見た後だったかな。恐怖再現ドラマが、かくれんぼだった。


 怖い幽霊が『みぃ~つ~け~た~』ってトイレの上から覗いてくる、定番っちゃ定番のホラー話。


 当時私は難病を患ってたから、入退院を繰り返してた。もちろんこの時も入院中。ドラマの舞台が、よりによって病院。いたいけな五歳の幼女にとって、夜の病院は恐怖の空間に早変わりするのも仕方ないよね。


 私の母は日本人。父は日仏クォーターの日本人。どちらも元々は日本国籍なんだけど、私と母はイギリスに住んでた。


 私の闘病の為もある。けど一番の理由は症例数が少ない病気で、薬の開発に有利だったから。


 いつもの夜は個室で一人きり。


 でもこの日は違ってた。母が付きっきりで過ごしてくれてたんだ。日夜関係なく働くような、とっても忙しい母が珍しく一緒で、かなりはしゃいでたと思う。


 ちなみに両親は、ずっと籍を入れてない。事実婚とも少し違うけど、仲は悪くない。というか父は母が大好きで、母がオッケーすれば、いつでも入籍できたはず。


 母も父の事は好きだったんじゃないかな?


 母は頑なに籍を入れなかったけど、居住地が日本とイギリスで物理的に距離はあっても、私と両親で交流はあったから。


「ママ、今日は一緒に寝て!」


 不意に、五歳の私がおねだりする。ベッドに腰掛けた母の華奢な腕にぎゅっとしがみついきながら。


 そっか。私は今、夢を見てるんだ。


 そうでないとおかしいよね。だって母はもう……。


「ふふふ、いいよ。うちの詩香は可愛いな」

「やった! 約束よ!」


 母が綺麗な顔をへにゃりと崩して、私の頭を撫でながら頷く。そうそう、私はこんな風に舞い上がって喜んだんだった。


 そうして母はお手製の組紐で、器用に私の髪を結んでくれた。


 夢の中だけど、こうして改めて見ても母は背が小さいし、華奢なんだなと実感する。


 記憶の中の母は言葉使いが中性的だし、私以外といる時には凛としてて格好良かった。もちろん私の自慢の母だ。


 昔できた大きな古傷が左のふくらはぎにあって、何もしないで歩くのは少し不自由してた。でも機能的でデザイン性の高い装具を使えば、歩行は普通にできる。そのせいで私も時々足の事を忘れては、母に思い切り飛びついて、受け止め切れない母と一緒に転がったりした。


 うん、今では良い思い出。


 この装具はオーダーメイド製。お金持ちな日系イギリス人男性からの贈り物。


 実はこのイギリス人男性。母の恋人なんだ。付き合いも長くて、母がいなくなった今でも、私とは交流がある。


 私も海外生活が長かったからかな? 当時も今も、女性として独身生活を謳歌してた母を受け入れてる。


 まあ父はね。未だに母を愛してるみたいで、娘としてはちょっと複雑。


 でも母と関係のあったこの二人。今でもたまに会ってはお酒を酌み交わして、母の腹黒冷血漢エピソードを暴露し合う仲なのよね。

母を通して芽生えた男の友情……かなあ?


 とは言っても誰が側にいたって、他ならぬ私が一緒にいれば、娘を優先。なんなら溺愛が過ぎてデレデレしてる、凛とは全く無縁の母親になってた。母の愛情を疑った事も、もちろんない。


 私の中では幾つになっても若々しい、可愛らしい人。腹黒冷血漢ってよく耳にするけど、未だに理解できずにいる。


「あのね、かくれんぼは怖くないから大丈夫なんだよ。だってかくしおにじゃないんだから」


 母は相変わらず楽しそうね。そんなに私の頭の撫で心地が良いのかしら?


 そんな様子の母のお陰で、私の恐怖心も少しずつ薄くなっているみたい。


「かくしおに?」

「そう。いい、詩香。かくしおにはね……」


 懐かしい母の優しい声音を聞いていれば、夢が終わりを告げるかのように私の意識は浮上していった。

次回からがホラー本番です。

初ホラー作品で四苦八苦したのでお手数ですが下のお星様で評価頂けるととてつもなく嬉しくてやる気がみなぎります。

よろしくお願いしますヾ(*´∇`)ノ

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