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短編

悪童の愚痴

作者: 教祖アキラ

 皆々様におかれましては、『人類』というものをどのように認識していますでしょうか?


 高尚なるモノ?正義たるモノ?支配者たるモノ?知恵あるモノ?神に近きモノ?


 はてさて、皆様、その認識は傲慢に過ぎましょうや。


 我らは所詮、『(ケダモノ)』の類に御座います。


 理性で考え、感情で動く生き物。それが人という獣。感情とは本能であり、本能とは獣性に他ならず。理性で考えるほどの知恵を得たとて、我らに生命の欲、生存への強迫観念は無くならぬのです。


 故にこそ、自殺者は生きる為に死ぬるのです。決して、死ぬ為に死にはしない。


 正義、倫理、道徳これら、さも美しき思想なるは、人の我儘に他ならず、人の驕りの表れでありましょう。


 常識とは、多数の人と共有していると()()()()偏見に過ぎません。地域が変われば、そもそも言葉という常識さえも通じはしないのですから。えぇえぇ、常識など、所詮は思い込みで御座いましょう。


 差別とは、生存戦略です。群れの中に異物が紛れ込めば、意思統一が崩れ、瓦解するのは必定。なればこそ、異物は排斥するが肝要です。まぁ、余裕のできた現代では、娯楽を求めて過剰な暴走した差別を行う者もありましょうが、それは皆様が招いた事態に他ならず、粛々と受け入れることを勧めましょう。


 神とは、超常です。人智の及ばぬナニカ。それは一定数の集団が纏まるための道具であり、精神安定剤。そして、世界に見る数多の神は、結局のところ、同じ神の別側面でしかなく、そう割り切れば、世の宗教戦争は滑稽にてありましょう。同一の神を崇めながら、その地域に合わせたに過ぎない神の教義を否定するバカども。おぉ、なんという不遜。神に刃向かう愚か者とはまさしく、教徒たちに他なりません。


 はてさて、ここまで私、『人類』を否定的二語りました。でも、私も人類です。嫌いですけど、吐き気がしますけど、それでも愛してます。えぇえぇ、愛していますよ?幸福になってもらいたいですよ?恋はしませんけどね、だから、いりません。


 それで、まぁ、資源を食い潰して、この星とともに滅ぶのことについてはとやかく言いません。


 誕生し、繁栄し、滅亡することは、個たる生物としても種たる生物としても、正しき流転。この星で、この世界で、完結するならば、別に構わないのです。


 あぁ、ですが母なる星を離れ、宇宙(ソラ)にまでその手を伸ばすというのは理解し難い。そこを無人と仮定して、無遠慮に資源を食い潰して、むざむざ宇宙蝗とでもいうべき醜態痴態。なんと愚かか。宇宙人に蛮族扱いを受けても、仕方ありませんね。


 宇宙の環境に配慮はしないのですか?

 宇宙人の人権は?


 いない者ではなく、彼らは現状では確認できない者に過ぎません。それなのに、あぁなんという傲慢、高慢、怠慢!


 星の流転に自らを組み込む努力をせず、安易に外側に救いを求めようなどと、本当に信じられません!


 我ら悪童、星母教の信者として愚痴を言わずにおられません!


 人類とは、どうしてこうも愛おしく愚かなのでしょうか?


 私も人類、所詮は私も愚かです。こうして語るは、まるで神に至り、或いは人類という失敗作を生んだ神すらも超えたと驕り高ぶるが故のことにございますれば。


 されど、もっと寛容に、人とは所詮、欠陥品。


 悪を為し、馬鹿を行い、忘却し、完璧ではない。故にこそ、発展があり、故にこそ、現在がある。悲観召されるな、たとえ、いつかは滅亡の定めなれども、それは泡沫の如き遠い遠い時の果てなれば。


 まぁ、そのような大きな値を導き出しては、ほんの数億とか数兆とかの誤差は覚悟すべきかもしれませんがね?

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