2人の出会い、旅の始まり
世界が滅びる3年前。
アオイは魔法推進派救出部隊の護衛兵だった。
主な仕事は魔女狩りに賛同する奴らを皆殺しにし、捕まった魔道士を救出する事。
王族、グランビル王は大の魔法嫌いで最初に魔女狩りの教えを説いた現況。
アオイは仲間たちと王宮の襲撃を計画していた。
まずアオイが隠れた位置から外にいる兵士を射殺、中にいる兵士達を外に炙り出しその隙にに他の仲間達が王宮内に侵入、王族を皆殺しにし地下に囚われている仲間を救出するというものだ。
作戦は順調に進み侵入にも成功した。
アオイは外で待機し仲間の帰りを待っていた。
しかし一向に出てこない。
悪い予感を感じたアオイは王宮内に侵入した。
中は人の気配は無く、暗く引き皆ほど静か。
部屋を一つ一つ探ってみると何処も血で汚れて居た。
仲間達がやったのだろうか?
アオイは仲間が向かったはずの王座の間の扉を開ける。
そこにあったのは見るに耐えない悲惨な光景。
床は血練られており、無数の子供の陰が仲間達の肉を食い荒らしていたのだ。
陰はアオイに気づくとピタリと食事を辞め一斉にこちらを振り向く、アオイは恐怖を感じその場から逃げた。
お腹すいた。寂しい、お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。寂しい、お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。寂しい、お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。
鈴の様な陰達の高い声が背後からドンドン近付いて来る。
その数は次第に増えついには回り込まれる。
アオイはライフルで道を切り開きながら地下への扉の中に避難した。
ドアを激しく叩く音が聞こえが無視して奥まで進む。
沢山の牢屋があるが先ほど同様 血に濡れている。
地下の奥に『懺悔部屋』と書かれた扉があった。
入って見ると。
中には大きな鳥籠、中には少女が口枷をされた状態で囚われていた。
少女の体には数え切れないほどの首輪、ピアス、腕輪などの装飾品が付いている。
何となく陰に姿が似ている。
アオイは鳥籠の鍵を撃ち壊し少女の口枷を外した。
アオイ「(ドレスを着ている王族か?)お前名前は?」
少女「・・・・・・・」
アオイ「あの化け物はなんだ?」
少女「・・・・・・・」
アオイは『鑑定』を使い少女のステータスを覗いた。
魔法の欄が文字化けしており、代わりに称号の欄に『魔王』と記載されている。
アオイ「・・・・・成る程」
この装飾品は魔法を吸い上げ別の力に変換する物だ、だが強力な魔法を封印する場合
吸収できる上限を超えた装飾品が、稀に人外の力を与える事がある。
それが魔王、しかも魔法が完全に消滅していない所を見ると少女の魔力は化け物(陰)を作り出すほど異常なものだ。
陰を消す為には装飾品を取り外し、彼女自身に魔法が正常に働く事を認識させる必要がある。
地下への扉が壊される音がした。
お腹すいた。寂しい、お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。寂しい、お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。お腹すいた。寂しい、お腹すいた。お腹すいた。
アオイは急いで装飾品を外す。
文字化けしていた魔法欄が正常になり【爆食袋】と表示された。
アオイは聞いた事もない魔法に心が焦った。
アオイ「おい!お前魔法の使い方は分かるか?」
少女「・・・・・・・・」
アオイ「クソッ!!」
陰だ直ぐそこまで来ている。
絶体絶命のその時、少女のお腹から ぐ〜〜っと可愛らしい音がなった。
アオイは一か八か持っていた御握りを少女の口元に近づける。
少女は御握りを手に取り頬張った。
少女「・・・・・・・美味しい」
すると、陰達が急に大人しくなり涙を流し始める。
美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。
美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。
美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。
美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。
陰がドロドロに溶け、少女の影に吸い込まれていく。
事が収まり、気の抜けたアオイは鳥籠の中でただ御握りを頬張る少女を見つめていた。
きっと、自分たちと同じ扱いを受けてきたのだろう。
魔法が使えるというだけで迫害され、拷問され、監禁され…。
アオイ「外に出ればもっと美味しい物が食べられるぞ」
少女「・・・・・本当?」
アオイ「ああ、一緒に来ないか?」
少女「うん!」
それから2人は旅に出た。
誰にも邪魔されず自由に生きる為に。