2人ご飯
人間は永遠の幸せを求めた。
けれど叶わなかった。
100年にも渡る魔王討伐
30年続いた魔法独占戦争
15年に及ぶ魔女狩り
そして世界は………………………滅んだ。
〜。〜
ダンゴムシの魔獣『ダンゴロー』が台車に2人を乗せて道を進む。
タンポポ「あ〜〜も〜お腹すいた〜」
女の子が駄々をこねる。
アオイ「もうすぐ森だから我慢して。自分のステータスでも観てろ」
男の子がスナイパーライフルを整備しなが応える。
森の中に入る。
涼しい風と暖かな木漏れ日が心地いい。
タンポポの表情が鋭くなる。
スキル【ホークアイ】で周囲の状況を見通した。
タンポポ「・・・・狙われてる」
その言葉にアオイがライブルを下に構える。
カエルの魔物が木の陰からこちらを狙っている。
タンポポ「11の方向、一番太い木の側」
アオイが瞬時に銃口を向け魔弾を放った!
職業【魔銃士】
{ライフルに込めた魔石に魔力を注ぎ魔弾を打ち出すことができ、
魔石は小さい物で3発、大きい物で6発いつことができる}
タンポポ「外した!勿体無〜い」
アオイ「うるさい」
カエルが逃げた方向に銃口を向き直し撃ち落とす。
タンポポ「まだ居る。6時の方向一番細い木の上」
アオイ「あいよ」
魔弾の音が響き渡る。
世界が滅んだ事に一つだけ利点がある。
それは魔物がより強くなり美味しくなった事だ。
ガスコンロは人類の成功の発明だと思う。
肉の焼けるいい匂い。
タンポポ「美味し〜〜、美味しいよカエルさん!」
アオイ「・・・・うまい」
タンポポ「もうここに住んじゃおうか?」
アオイ「死ぬぞ〜〜」
タンポポ「ならやめとく」
2人共満腹になった。
タンポポは木に寄りかかり眠ってしまった。
まだ空は夕方、旅の疲れがのこっているのだろう。
アオイがタンポポをジッと見つめる。
アオイ「・・・・・・」
台車から毛布を取り出し掛けてやると、魔物除けの魔石を地面に刺し、自分も隣に座り眠りについた。
食欲が満たされた為か何処か寂しい気持ちになった。
その手はタンポポの手を握っていた。
タンポポ(・・・・本当、いつもこんなに素直なら良いのに)
〜。〜
翌朝。
アオイ「・・・朝か、やべ魔物除けの魔石切れそう 早く移動しないと・・・・・あれ?動けない」
見ると、タンポポに眠ったまま腕十字固めされていた。
アオイはゆっくりと拘束を解き、拳を振るう。
タンポポ「痛っったーーーーー!!!」
ゲンコツの音に、木の上にいた鳥達が飛び立つ。
ダンゴローを優しく起こし。
森の中を出る。
タンポポ「うわーーハハハ、お星様綺麗〜〜〜」
アオイ「そりゃ良かった。何処かで水源を見つけないとな」
タンポポ「森には無い、だけど外に水脈が続いてる」
タンポポに言われるがまま進んでいくとコンクリート製の大きな四角い建物に着いた。
タンポポ「何ココ?凄い声響く!わーーーーーーー!わーーーーーーー!」
アオイ「何かの工場みたいだな」
タンポポ「・・・・水の音が聞こえる」
タンポポのするは3つ。
【ホークアイ】上からのアングルで見渡せる。
【ハイ・ファイブセンス】五感が鋭くなる。
【暴食袋】胃袋に1トンまで何でも入る。アイテムボックスの代わりになる。
タンポポ「もっと先・・・・・そうココ!」
2人は台車から降りて、扉を開けた。
中は個室になっており、床に書類が散らばっていた。
ディスクの上に水槽が置いてある。
アオイ「水槽、中に沈んでるコレは………卵?」
タンポポ「食べれそう?」
アオイ「多分お腹壊す、10年以上放置されていたモノっぽいからな」
2人は台車に戻り再び進んだ。
アオイ「本当に持っていくのか?」
タンポポ「うん だって可愛いし、孵化したら食べれば良いよ〜」
工場を出ると人工的に作られたと思われる大きな水源があった。
壁には巨大な太いパイプが着いて居る。
アオイ「昔使われたダムみたいだな」
タンポポ「おーー凄い!飲み放題だ!」
アオイ「いや待てまだ飲めると決まったわけじゃ…」
タンポポ水を口に含んだ。
タンポポ「匂いなし、手触り良し、不純物も無いよ」
【ハイ・ファイブセンス】を持つ彼女がそう言うのだから信じよう。
アオイ「こんだけあるなら水筒じゃ無くてタンクが欲しいところだな」
タンポポ「私飲もうか?」
アオイ「【暴食袋】じゃ俺が飲めないだろ」
タンポポ「キスしようか?」
アオイ「女の子がそんな事 簡単に言っちゃいけません!」
冗談っぽく笑うタンポポ。
2人はダンゴローを置いて上の階に進んだ。
上はパイプの管理施設で中の構造がよく見える。
ガラス越しに見える向かい側には巨大な水属性の魔石が浮いていた。
タンポポ「月の魔力を感じる」
アオイ「なるほど月を利用して魔石から水を出させてたのか、魔力の水は腐敗しにくいからな」
アオイはライフルの柄でガラスを割り中へと侵入する。
タンポポ「え?どうしたの?」
アオイ「魔石をもらうんだよ、そうすればしばらく水に困らないだろ?」
石で魔石を壊していると、施設内が大きく揺れた。
タンポポ「大きな魔物が近ずいてる・・・アオイ早くダンゴローの所に戻ろう!」
2人はすぐにダンゴローの元へ戻り施設を出た。
アオイは背後を確認した。
アオイ「逃げられたのか?」
タンポポ「ああ!!すぐ近くにいる!」
辺りを見回す。
すると空から巨大なスライムが降ってきた。
アオイ「何だコツ?!」
魔弾を2発放つがまるで効かない!
アオイ「残りの魔石は?」
タンポポ「後3つ!」
このまま打ち続けても無意味、どうしようも無い。
スライムは大きな口を開けダンゴローに襲い掛かる!
タンポポ「辞めてーーー!!」
タンポポは大きく息を吸い込み大量の水をレーザー砲の様に吐き出した。
スライムは勢いに後退りながらどんどん膨張していき最後には破裂して粉砕した。
タンポポ「ダンゴロー怪我はない?」
アオイ「・・・・・・怖」
スライムのいた場所に大量の水の魔石が散らばっている。
2人は魔石を拾い集めその場を後にした。