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ふざける異世界でテキトーに〜異世界を全力で楽しむ勇者達〜  作者: 乃ガマ
第一章「勇者な俺とへっぽこ天使のデスティニー」
3/5

第2話「勇者適正テストは危険過ぎ」

軽い現在の前回あらすじ!

魔王倒したらハーレムが作れるらしいから勇者なるわ!とか考え無しに言った俺ことロウド。まあ、どうにかなるでしょうって精神で生き抜こうと思います、異世界(byロウド)



「ってことで、俺がこの世界を魔王から救ってやるぜ!はっはっはー!!」


てな感じで勇者になった俺。

魔王なんてちょちょいのちょいだぜ。

※開幕、調子に乗っております。すいません。


そんな彼をよそに小声で話す天使2人。


「(い、イーリネルセリオット君?ちょ、ちょっと話があるんじゃが?)」


「(...?何ですか、議長様?)」


イリネルは、髭の生えた爺さんこと議長に連れられ隅の方へ。

他の二人の天使は、ロウドのナルシスト発言、行動、妄想、ハーレム話に付き合っている。


「(君!彼のどこが素晴らしい人材なんだね!明らかに魔王を倒した報酬を目的として勇者になっとるじゃないか!それに結構テキトーじゃし!)」


「(そんなはずないですよ!成部(なりべ)さんは、私たちを救う為に勇者になるとおっしゃっていましたよ?)」


チラっとロウドを見るイリネル。

ロウドは二人に熱く語っていた。


「いいか、てめぇら!俺を最大限以上にサポートしろよ!・・・あ、そうだ。国の人たち全員で魔王ボコしに行こう。そして、呼吸するのがやっとのレベルにまでボコしたら、魔王城外に設営した休憩室にいる俺を肩車で魔王のところまで連れて来て、トドメを...俺がァ刺す!めっちゃ良い案じゃん、これ。で、楽にハーレム獲得。俺って天才か?」


「(ほら、これじゃよ!!ま、そこはいい...(わし)が確認したいのは...)」


そこで議長は、真剣な目で。


「(勇者として相応しいと胸を張って言えるか?)」


その問いにイリネルは胸を張り笑顔で答えた。


「(勇者として相応しい方とは言えません...)」


「(な、何故そのような者を...)」


「(成部さんは性格も口も悪いですし、運動神経がずば抜けて良いわけでもありません。今までのような勇者の方とは全然違います。私たちが(かか)げる理想の勇者とはかなり離れてます。ですけど・・・)」


イリネルはふふっと微笑み。


「(凄く良い人なので!勇者の器に収まりきれませんよ?だから、私は胸を張って言えます!成部さんは...世界を救う勇者らしくない、勇者(えいゆう)になります!ちょっぴりダメだけど、皆んなを助けてくれる最高の勇者に!あの絵本の勇者みたいに!えへへ)」


(「そうか...イリネル君。良き人材を見つけたのだな...」)


イリネルの表情を見た議長は心の中で彼女の言葉を聞き喜ぶ。


「じゃが!それとこれとは別じゃ!勇者適正テストで平均90点を取ってもらうぞ!」


切り替えて声高らかに言葉を発する議長。

もちろんこれは、ロウドに言っている。


「て、テスト?なんだよ、それは」


俺は、気怠そうな顔をする。

実際めんどくさそうだし。


「90点取れなければ...」


「な、なんかあんのか?てか、なんでお願いされてんのにテストがあるのかも謎だし...」


言いながら議長は部屋の壁紙を剥がす。すると、奥に部屋があり、そこに謎の巨大マシーンがあった。頭をいじくりそうな鍋蓋のようなモノが上に取り付けられたマッサージチェアーのようなマシーン。何これ。


「この装置に入ってもらう!」


「無理!!」


絶対頭(いじく)られるじゃん!絶対嫌!


「お前らにお願いされたから勇者になるって言うのに、何故こんな危な気なテストしなきゃなんねーんだよ!」


「一応じゃ、一応。恒例行事のようなものなんじゃ。今までの勇者だって楽々クリアしとる。軽い腕試しも兼ねてやってみてくれないか?」


楽々クリアねぇ...。90点って学校のテストじゃ、ほぼ出せないけど...。問題かなり易しいのかね?


「まあ、俺しないけどね!!」


「やらない場合も入って貰うぞ?」


「・・・・・・」


あ、詰んだのでは?


「試しに入ってみても良いが?」


「・・・なんでだよ」


何の意味があるのだろうか。

どのみち入るなら、テストやるしかねぇしなあ。


「議長様!成部さんを甘く見てませんか?こんなの余裕です!」


「いや、お前は俺の評価基準が甘くないか?」


まだ出会って2週間ほどしか経ってねぇぞ。


「まあ、確かに彼なら今までの勇者と比べれないほど凄いスコアを取りそうじゃが(悪い意味で)」


「当たり前じゃないですか!何たって成部さんは凄いんですから!(良い意味で)」


何がだよ。


「議長様に成部さんの凄さを見せてやって下さい!(真の実力を)」


「気になるのお(どれほど悪いか)」


なんか胸の奥のやる気スイッチを押された気がした。


「まあ、今までの勇者が楽々クリアなら、俺は秒だな。秒でクリアしてやんよ!なんたって俺様だからな!」


「お、おお!その意気じゃ!」


「爺さん見てろよ!秒だぜ、秒!転校生も見とけよー!」


「秒クリアを見せるのじゃ、若き天才!」


「頑張って下さい、成部さーん!」


「おうよ!」


なんか、担がれた気がするが、まあいい。


「死なないですかね...あのびど?」


「ふふふ。鼻をかむのよ。ふふふ」


「あ、ディッジュありがどうございばす」


なんか、あの二人が不気味なことを言ったが、まあいい。


「ちなみに、この装置を使うと俺どうなっちゃうの?」


俺は、爺さんに聞いてみた。


「ホモになるのじゃ〜」


「Nooooooooooooo!!」


呑気(のんき)に言うことじゃねぇよ、クソジジィ!!


==================================


第1テスト–––––良心面接。


「では面接を始るぞ、カレートルト君よろしく頼むよ?」


「ぶぁい。わがりばじだ」


「コイツ一番面接官にしちゃダメだろ!」


何言ってるかわからんもん!


「む?どうしたのじゃ、ナリベ君。緊張しとるのかね?心配はいらないよ。ほっほっほ〜」


「心配だらけだわ!絶対面接なんねーよ、これ!」


「アリベざん、ボグのおどはなぐあいのでルドって呼んでぐだざいれ」


「ほら、これだよ!!」


あと、鼻水のせいだろうけど...名前、アリべではないです。ナリベです。カタガナにするとめっちゃカッコ悪い成部のナリベです。


「成部さん...聞くのではなく...感じて下さい!(ハート)で!(ソウル)で!(アイ)で!」


「やかましいわ!」


「ぎぐどりでぃぐぅいどぅうぇいでぇずうが?」


「マジでわからねぇ!てか、汚ねぇ!床まで垂れてんじゃねーか!拭け!即刻!」


「ふふっ。掃除機が必要のようね...。ふはっ。最高よ。はははっ」


そ、掃除機の吸引力が必要なのか。


「ざずばるばぞん」


「なんて!?」


なんか申し訳なさそうに言う鼻水。ルドって呼んでって言ってたか?(※鼻が詰まっていたため、そう聞こえていたが実際はルト)

文字にすると7文字になっているが、実際はこれ5文字です。


「いや〜ナリベ君。全然ダメじゃのう」


「アンタには分かんのかよ、これ。俺は解読不能だ」


「当たり前じゃ」


お、さすがは同じ天使だ。

この謎言語が分かるようだ。


「カレートルト君の言葉が解読不能なんて当たり前じゃ」


「あ、分からないのね。そっちの当たり前なのね」


コイツとどう会話しているのだろうか。


「す、すいません、ナリベさん!お待たせしました!」


どうやら吸引が終わったようだ。


「ようやくか。早くやろーぜ面接」


「本当にすいません...」


少しルドは涙目だ。

俺も気怠そうな感じで言ってしまったから、気にしたのかもしれない。


「よ、よろしく頼む」


「はい、よろしくお願します」


ルドは鼻水が酷いだけで、ホント好青年って感じだなあ。真面目で優しそうだ。


「まずなんですが、どうしでびゅうじゃぼぎゃりょうどぼもっだんどぅえすか?」


「・・・・・・」


鼻詰まるの、早ぁ...。


「...ぐすっ。ぐすっ。う、うばぁああああああああああんがらぐばああああああああっ!!」


ルドは涙を流しながら部屋の扉を強めに開き走り去って行った。

途中明らかに何か言ってたけど、分からん。

どうすんのこれ。てか、なんなん、これ。


「では、どんどん聞いていくぞ!まず、どうして勇者をやろうと思ったのかね?」


「普通に続行!?てか、さっきそんなこと言ってたの!?」


天使たちは彼に冷たいか、慣れているのだろうな。

なんか...アイツ。

俺は口角をあげて、うっかり口に出す。


「めっちゃイジれそうだな...くっくっく」


こんな思考を持つ俺は勇者にしちゃダメだと思う。


「で、質問なんだっけ?」


「勇者になった理由ですよー」


転校生が俺に教えてくれる。


「なった理由か...」


これ1話で言ったけど。

俺は親指を立てて言った。


「ハーレム(人々)の為です!」


「凄い当て字をしている気がするが、まあ良い」


「さすが、成部さん!勇者の鏡ですね!」


「・・・だろ!」


やはり、転校生はアホである。


「じゃあ、次じゃ。好きな授業は何じゃ?」


「休み時間です」


「それは授業じゃない!真面目に答えんか!」


「うーん...強いて言うなら保健体育だな」


「ほう...その知識はこちらでも使えるかもしれんのお。人命救助とかのお」


「あと夜とかな!」


「・・・・・・だろうとは思ったのじゃい」


爺さんは、頭を抑えていた。


「質問を変えよう。もし、目の前に老人が荷物を持って歩いておったら君はどうする?」


「うーん、そうだなあ・・・・・・・・」


「お、えらく悩むではないか」


「スルーするかな」


「そんだけ悩んで出た答えがそれってダメじゃろ!せめて、もっとふざけた解答せい!」


「え、していいの、これ」


「今の解答、本気で思っとったのか...残念じゃよ...」


爺さんはますます頭を抑えいた。

そこから、面接が本格的に始まった。


「なら、子供が泣いてたらどうする?」


「殴る」


「なんでじゃ!」


「ガキはうるさいからだ!」


「最低じゃな!」


爺さんに怒られた。


「道に迷ってる人がいたらどうする?」


「テキトーな方角を指差す」


「酷すぎじゃ!ドアホ!」


また爺さんに怒られた。


「仲間が悪魔に人質にされていたら?」


「笑う」


「悪魔かお主は!」


またまた爺さんに怒られた。

俺は悪魔のように終始ニヤニヤしてたらしい。


「はぁ...こんなヤツで大丈夫かのぉ...」


良心面接得点––––10点。


==================================


第2テスト––––戦闘力調査。


俺たちは隣の部屋へ移動した。

部屋は鉄のような壁で囲まれた広間だった。

俺は、木の剣を渡された。戦うのでしょうか?この部屋来る前、来いってしか言われてないので何するか知らないんです、俺。

爺さんは、手に持った杖で地面をトントンと叩き、何かを唱える。


「〜る】–【土よ】–【立ち上がれ】–––【ドールクリエイト】」


すると、床の隙間から土が上に向けて伸び上がって来た。

その土は次第に人型に形成されて行く。


「よし、今からこの土人形(ゴーレム)を倒してもらう!」


「おい、コラ。待て、コラ」


「どうかしたのかね、ナリベ君」


「俺、一般人」


「うむ」


「俺、戦闘素人」


「それがどうかしたのかね?」


「初戦でこれ倒せは無理だろ!!」


俺の目の前に現れたのは、およそ俺の3倍ほどある巨人(ゴーレム)だった。


「今までの勇者は倒せたぞい」


「なら、案外コイツちょろいのか...?」


とりあえず木の剣を構える。


ドテドテ。


ゴーレムはかなり足が遅い。

体は硬そうだが、足が遅いならどうにかなるかもしれん。


「ナリベ君。検討を祈る」


「成部さんならやれますよ!頑張ってくださーい!」


二人は俺に声援を送り、部屋から出る。

外から中を見れる所があるのだろう。


「仕方ねぇ。いっちょ腕試しでもするか」


俺は少々、緊張しているらしい。

俺は深呼吸し、息を整える。

緊張はしてるが...俺はどうやら、それ以上に、


「行くぞ、デカブツ!!」


興奮してるらしい!


走り出した俺にゴーレムは拳を振り下ろすが、やはり動きがトロい。

そういう設定ができるのか、こういう種族的なモノかは知らんが。

俺はその攻撃をギリギリで避ける


「おっと怖ぇ」


案外避けるのがギリギリになってしまった。動きがトロいからと甘く見るのは危険だな。


俺はゴーレムに接近して剣を振るう。

木の剣と言っても少し重いな。


だが、その攻撃は全て弾かれてしまう。

コイツ硬すぎだろ!

俺は一旦、距離を取る。


「おい、爺さん!コイツはどう倒せばいいんだよ!?」


叫びながら、キョロキョロと辺りを見渡す。

すると、部屋の入り口の上にガラス張りの部屋があることを見つける。

そこに三人がいた。

いつの間に移動してたのだろう。

転校生は立ちながらガラスに張り付くようにして、口に両手を当てメガホンのようにしながら何かを言ってる。

多分、防音か何かで聞こえんぞ、転校生。


ソファに座る爺さんはマイクを取り口を開く。


「頭じゃ。頭にクリスタルのようなモノがあるじゃろ?それを壊すのじゃ」


俺に向けゴーレムが拳を再び振り下ろす。


「なるほどな.....とおッ!」


俺は剣をゴーレムのクリスタルに向け投げる。


カキン。


剣はクリスタルに...当たらずわずかに横に当たり、ゴーレムの足元に落ちる。


「あ・・・」


グッバイ、俺。シーユー、俺。


剣を外した俺に容赦のないゴーレムの攻撃が当たった。


「ぎゃああああああああ、いてぇええええええええ」


これが、ナリベ ロウドの初めての死となった。


「はあ...考え無さ過ぎじゃな」


戦闘力調査得点––––26点。


==================================


第3テスト––––魔法適正調査。


「ハッ!いってぇええ・・・・・くねえ」


ゴーレムにやられた次に目が覚めると、体に痛みがなく驚いた。

夢?


「あ、成部さん、大丈夫ですか?」


「ナリベ君、大丈夫かね?」


「ふふっ、ははっ」


夢なわけないですよねー。

いや、体無事だし、ゴーレムにやられたのは夢かも知れん。

俺は疑問を三人に聞くことにした。


「俺、どんだけ寝てたの?」


「5分よ、ふふっ」


「てか、なんで床で寝させられてんだよ!」


「ベッドや布団なんてないぞい、ここ」


「おい、コラ。俺、勇者だぞ。扱いどうなってんだ、コラ」


「私は膝枕しようとしたのですが、議長様がしない方が良いと」


「おいコラ、クソジジイ!許さねぇからな!」


まあ数分だし、大丈夫だったけど。


「てか、ゴーレムにペチャンコにされる悪夢を見たんだが」


「「「あーあの死んだ時の」」」


「やっぱ死んだのかよぉおおおおおおおおッ!!」


今度こそ死んでしまった。死んでしまったぁ。


「・・・ん?待て。でも、お前らがいるってことは・・・ん?俺、どういう状態?」


「やはり、混乱しとるか」


「成部さん。魔法です」


「ま、魔法?」


いや、魔法がある世界なのは知ってるが・・・ん?ということは。


「回復.....。蘇生、魔法とか?」


「その通りです。この世界では、死んでも仮死状態になり24時間以内に、アイテム、魔法、スキルで蘇生すれば復活し、死を取り消すことが可能です。24時間経つと完全に死んでしまいます。天使が蘇生を行った場合、その人の力量にもよりますが大体28時間前後経った人を蘇生することも可能です」


「お、案外安全な世界だな」


「ですが、寿命や病気で死んでしまった場合は蘇生魔法は効きません」


「まあ、それはしゃーなしだな」


「あと・・・」


「なら、戦いで多少の無茶は大丈夫か」


「成部さん」


「ん?何だよ、そんな真剣な顔して」


「仮死状態時、時間に関係なく死ぬ時があります」


「え?」


「それは・・・・・【絶望】」


「絶望・・・」


「生きることを諦めたら、蘇生可能な時間が急激に減っていってしまうんです」


どこか、悲しげで悔しげな転校生の表情。

その理由は分からないが、俺はこんな顔を見たくはない。


「成部さん...絶望だけは...絶対絶望だけはしないで下さい..,」


「・・・しねーよ、そんなの。俺は...この世界を全力で楽しむ予定なんだからな!」


「その言葉を聞けて・・・嬉しいです」


その顔の陰りは消えはしなかった。

あのアホで元気だけが取り柄のコイツが、こんな顔するなんて。ただのアホじゃなかったってことか。


「ったく、お主は。何故、あんなマネを」


「剣投げてアイツ倒せてたなら、めっちゃ楽じゃねーか。俺はスピーディかつスマートかつクールに敵を倒す」


「どこがクールじゃ。恥ずかしいのお」


「ぐっ、たまたまだ!たまたま!次は上手くいく」


「もしもを考えて動くのじゃ」


「やだね。そんなのメンドくさいからな」


こりゃ、ダメだ、と爺さんは頭を抑える。


「よし、ナリベ君。次のテストに行こうか」


「もう死ぬのは御免だぞ、クソジジイ」


爺さんは気にもせず歩き出す。


「次は、魔法じゃ!」


俺たちはまたも違う部屋に入る。

そこには、カカシの様な物が点々と置かれている森をイメージしたような部屋だった。


「魔法を使えるのか、俺」


「うむ、この世界に転移したことでDNA(魂)が変化しておるからのぉ。もうお主は使えるはずじゃ」


「・・・・・へぇ。そういや、爺さん。俺、あんたのゴーレムにペチャンコにされたんだったなあ」


「最初は良かったのにのぅ」


「魔法って、どう出すんだ?」


「それはな、まず手を前に出して...」


「燃えろ!クソジジイぃい!」


右手を前に出し高らかに叫んだ俺。

・・・・・。

魔法は別に出なかった。


「そうか、お主。少し痛い目にあいたいようじゃな」


「・・・え?」


爺さんは手を伸ばし––––魔法を発動させる。


「馬鹿者は...【燃え】–【飛べ】–––【フレアブロウ】」


すると、爺さんの手のひらに現れた炎が真っ直ぐ俺に飛んで来た。


「ぎゃああああああああああ!!あつぅうういいい!!」


燃えました。身体の全てが。大変ですね。他人事じゃねーよ。


==================================


「ハッ!あつぅうい・・・・・くねぇ」


また俺は寝てたのか。

今のは夢?

まあ、さすがに人を燃やそうとするやつなんていないわな。


「何分寝てた?」


「30秒よ、ふふっ」


「これは提案...いや、命令だ。布団買った方がいいぞ、ここ」


「お主は何故いつも偉そうなのじゃ」


「お、膝枕ありがとな」


「いえいえ〜」


頭だけは柔らか。いいもんだな、膝枕。ぐへへ。


「てか、なんか俺、燃やされる夢を見たんだが」


「「「あーあの死んだ時の」」」


「また死んだのかよぉおおおおおおおおおおッ!!」


ケロっとした顔で言うな、コラ!


「ジジイ、殺しやがったな!!」


「すまんすまん。ついな、つい」


「つい、で済まされるかあ!軽すぎだわ!」


いや、まあ、蘇生してくれたし、いいけど...いけどお!


「では、ナリベ君。改めて魔法について教えよう」


「いや、待て・・・ふふっ」


「ナリベ君?」


「ん?ああ、教えてくれよ」


「悪い顔をしとるが、いいじゃろう。魔法は、使いたい魔法の名前の前に自分が一番イメージしやすい言葉を言うことで魔法を構築し発動するのじゃ。この時、前に言う単語の数は使う魔法によって増やさねばならない」


「ん?ん?」


「魔法のイメージ構造のパターンは、二文詠唱、三文詠唱、四文詠唱、五文詠唱、七文詠唱、十文詠唱、二十二文詠唱の7パターンがある」


「ちょ、ちょっと待て!分からん!頭ごっちゃごちゃになった!」


「まあ、じゃろうな。魔法の使用方法は、分かるか?」


「魔法名の前に単語を言って使うんだろ?」


「そうじゃ。ちなみに魔法名も単語の一つに入っておるぞ」


「なるほど。じゃあ、二文詠唱とか、それは?」


「それは、単語を二回言って発動する魔法のことを二文詠唱、三回言って発動する魔法のことを三文詠唱と言う」


「なるほどな。で、それが分かれているのは理由があるのか?」


「もちろんじゃ。その数が一番魔法を使うのに安定しとるのじゃ。詳しいことは聞くんじゃないぞ?この物語はそんなことまで考えておらんからのお」


「急なメタ発言やめろ!!」


「まあ、簡単に言うと単語の数を多く言う魔法ほど、強力なモノや便利なモノがあると言うことじゃ」


「じゃあ、二十二文詠唱が一番強いってことか?」


「そうとは限らんのじゃが、今はその認識で良い」


「じゃあ、これを使って倒しまくりゃいいんだな」


「実は、人によって使えない魔法や、詠唱数が少なくとも発動出来ることがある」


「何その仕様。じゃあ何か?贔屓(ひいき)されてるようなヤツもいるってことか?」


「そうじゃな。特に二十二文詠唱は、使える者が少ないのじゃ。それに隙が多いしのお」


「隙?」


「そうじゃ。十文詠唱、二十二文詠唱は、止まりながら発動せねばならぬのじゃ」


「てか、どの魔法がどれに対応してんだよ?」


「さっきも言ったが、詠唱数の違う者もいるため明確にこうとは言えぬが、基本的にここ、と言うようなデータを渡す」


「データ?」


この世界には科学があるのか?


「それは、後で説明しよう」


「おう、分かったぜ。ところで、俺が今使えそうな攻撃魔法ってあるか?別に今、使うわけでは無いんだけどさ」


「それを、テストするために・・・ふっ...ナリベ君。三文詠唱で儂が使ったフレアブロウを使ってみるのじゃ」


「よし、分かった!」


俺は爺さんに右手を向け、


「くたばれ–燃えろ–––フレアブロウ!・・・って、出ねーじゃねーか!」


火すら、出なかった。

俺は自分の右手の表裏を見る。


「ナリベ君」


爺さんに呼ばれ、顔を向ける。


「おい、爺さん!出ねーじゃねーか魔法!詐欺だ、詐欺!」


「【反省し】–【くたばれい】–––【フレアブロウ】」


「あちぃいいいいいいい!!」


==================================


「そろそろ、この展開いいだろ...」


目を覚ますと、周りに誰もいず、部屋に俺は放置されていた。悲し。体痛い。


「ナリベ君、起きたか」


「爺さん...俺はいつかあんたを倒す」


「ほっほっほー。楽しみにしとるぞ」


馬鹿にされてる。このジジイ...。

多分、また別室でモニタリングしてんだろうな。


「ナリベ君。隣に置いてある物を手に付けるのじゃ」


「隣に...置いてある物?」


寝かされていた場所の隣には、手袋のような物が。

一見、ただの黒い手袋の片方だが、それの手の甲の場所に宝石のようなモノが付いていた。

とりあえず、手袋を左手に付ける。


「付けたぞー。これなんだよ?」


「魔法を使うには、人に宿る魔力の他に必要な物がある」


「それが、手袋(これ)?」


「正確には、手袋に付いとるクリスタルじゃ。それに魔力を流すことで、使用者のイメージを具現化する」


「イメージを...具現化」


「クリスタルにも種類があってじゃな、強力な魔法を使えるモノもあれば、大して魔法を使えないモノもある」


「な、なるほど」


「今回のテストは、魔法!どれほどお主がやれるか試させてもらう!」


「おお!どんと来いや!」


「カカシに攻撃魔法を撃って貰おう。人には得意な属性があってじゃな、まずはそれを見つけることからじゃのお」


「得意な属性ねぇ...俺は、◯呪とかギ○ス的な魔法が使」


「使わせんぞ!お主だけには使わせてたまるか!」


「えぇ、なんでだよ!めっちゃ戦闘楽になりそうなのに!」


例えばだ。

がっはっはー!我が魔王だ!勇者よ、死ねぇい!!←魔王

てぃや!(魔法を使った)←俺

あ、お茶飲みますか?それとも美少女あげましょうか?←魔王

いやぁ〜すまないね、君。じゃあ、魔王の持つ財宝と美少女と魔王城と魔王の命を貰おうかな←俺

はい、喜んで!・・・あ、痛っ(グサ)←魔王

はい、俺勝ちー←俺

さすが勇者様!さすゆう!←国民


「ってなるわけだ!」


「そんな魔王の最後嫌じゃわ!てか、そんな勝利で素直に喜べるか!」


「そのほかには」


あ、お姉さーん!この後、デートしない!?←俺

は?無理。ナンパすんな。死ね←お姉さん

てぃや!(魔法を使った)←俺

あーん、好きぃ←お姉さん

えへへ、ぐへへ、あひゃひゃひゃ←俺

なんか、胸が熱いの...←お姉さん

じゃあ、俺が見てあげるねぇえ?!←俺

やーん、えっち!←お姉さん

ぐひゃひゃひゃひゃあー!←俺

触らないでよ、もう!←お姉さん

良いではないか!良いではないかー!ぬぎぬぎしま


「〜〜】–––【フレア】」


「ぎゃああああああ!頭燃えてるゔゔゔ!妄想の途中にすんなやああああ!!」


両手で頭を叩き、頭をブンブンさせる俺。

な、なんとか消火完了。

威力の弱い魔法を使われたようだ。


「何すんだ、ジジイ!」


「汚物は消毒だぁあ、という格言がそちらの世界にあるらしいのお」


「俺は汚物ってか!!ざけんな!」


てか、どっから撃ってきたんだ!背後から来た気はした。


「まずは、光の魔法からじゃな」


「え、光?そんな一般的じゃなさげな魔法から始めんの?普通、火とか」


「火の上位互換ではあるがの。それとは別にして、勇者は光攻撃魔法は必ず得意なのじゃ。今まではそうじゃった」


「じゃあ、俺ハイパー得意だな」


「子供のようなこと言うんじゃない、18歳じゃろ。まあ、今まで光魔法が似合う好青年達だったからのお。今回は...うーん」


「ディスんな、さらにディスろうとすんな。やめろ胸痛い」


「とりあえずじゃ。やってみぃ。五文詠唱で、ホーリーランスじゃ!」


「イメージしようにもよく分からん。神聖な槍ってことか?てか、今更だけど魔法って英語なんだな」


「それは、異世界転移時に魂と共に言語翻訳能力を得ているのじゃ。使用者の知識に合わせた言語に人の言葉だけ自動脳内変換されるのじゃ」


「便利ってか、都合のいい転移だな。てか、一回手本を見せてくれ。その方がいい」


「良かろう。なら、儂がそっちに行こう」


「おう、早よ来」


「来たぞい」


「いよおおッ!?」


急に隣に現れた。怖ッ。


「ただの転移魔法じゃ。そんなに驚くでない」


「驚くだろ...これは驚くだろ、普通」


プライバシーとか大丈夫なのか、この世界?不安なんだが。

てか、これ使えば女湯に・・・おっと、この先はやめておこう。


「ねぇ、それ知りたい」


「今の流れで素直に聞くお主には教えん」


しまった!欲出した!

こんな欲望を我慢できない子に育って俺は自分自身が恥ずかしい!


「どれ、しっかり見とくんじゃ。【迅速】–【貫く】–【破光槍(はこうそう)】–」


爺さんが詠唱するにつれ、手に現れる光の集合体。

それは、手の平を先端にして、後ろに広がり伸びる槍の先端を連想させる。

その輝く槍はまさに、ホーリーランス。


「–【輝き通せ】–––【ホーリーランス】」


シャンッ、と音がして一体のカカシを貫くだけで止まらず、後方の壁に至るまでの直線上にあったものを消滅させた。


「ど、どうぇぇ...」


こんな技、俺にできっかな〜?

俺って結構、小者なんだぞ。そんなバイタリティあっかなあ?


「よし、やってみるのじゃ」


「ま、まあ?俺、勇者だしぃ?や、やれるわ余裕...」


あんなのいきなり出せる気がしねえ...。

何気に爺さんって凄い人なのかも知れん。


「【迅速】–【貫」


「お?ナリベ君。儂の言葉ではなくお主のイメージしやすい言葉じゃないと失敗するぞ?」


「失敗とかあんのか。といってもなあ」


とりあえず、テキトーに。


「【光】–【槍】–」


お、手の平に光が集まって来た!なんだよ、テキトーにやってもいけんじゃん!

俺は、爺さんに手を向けて、言い放つ!


「–【えっと、ドュパパーン】–【ヒューン】–––【ホーリーランス】ッ!!」


ボカンッ!

と、音がするのと同時に、俺の手の平の光は爆発した。


「ぐべぇあッ!!」


その爆発は、俺を吹き飛ばした。壁に体をぶつけてしまう。痛え。


「ど、どうなってんだよ...」


幸い死には死ななかった。てか、なんでさっから、死ぬ心配しなきゃなんねぇんだ。まだ、悪魔と戦ってないぞ...。


「お?お主は、爆発するタイプの失敗か...」


「爆発しないタイプもあんのかよ」


「まあ、何にしても自業自得じゃ」


「く、くそお...」


俺はいつになったら、ヤツに復讐できるんだ!


「おかしいのお、光魔法は勇者は大の得意のはずなのじゃがなあ...?」


「俺は、光属性の器じゃ収まらないってことだわ。俺得意なの神属性だろ。光の超絶上位互換の」


「ない。テキトーにやったんじゃないのか?」


「即答やめて。ボケ殺しやめて。・・・そうだよ、テキトーにやった」


「よし、もう一回チャレンジじゃ。無論、儂にするんじゃないぞ」


「俺、信用なさ過ぎだろ。てか、本当なんだろうな?勇者は得意なんだろうな?」


「今まではのぉ」


「信用なんねぇな!チクショウ!」


まあ、やるけど。魔法使いたいじゃん。モテそう。

よく思ったら、皆んな魔法使えるから別にモテねーか。


「神聖な槍...光...ドュパパーン...ヒューン...ドカン...強そう...破壊、破滅...」


イメージ...イメージねぇ。

左手を伸ばし、


「【強き】–【輝き】–【穿つは】–【閃光】!–––【ホーリー...ランス】ッ!!」


ボカンッ!


「ああ痛ッ!!」


壁にまたも背中をぶつける。


「うむ、失敗してしまったか」


「失敗してしまったか、じゃねーよ!得意なんじゃないのか!?爆発したじゃねーか!!」


「やはり、お主に光は似合わんからのお。光って感じの顔じゃないしのぉ」


「やかましいわ!」


「なら、他の魔法も試してみようかのぉ」


「やる、やる!」


子供みたいに言ってしまった。

でも、幼心は大事だと思います。


爺さんの手本を見て、俺もトライ!


「まずは、フレアブロウじゃ」


「やってやるぜ!【豪炎】–【飛ばせ】–––【フレアブロウ】ッ!!」


ボカンッ!


「またかよおおおおおおおおおお!痛ぁっ!!」


叫びながら、またも背中をぶつけた。


「次は、アクアブラストじゃ」


「任せとけや!【放て】–【激流】–––【アクアブラスト】ッ!!」


ボカンッ!


「爆発のダメージも痛いんだぞおお!あ、痛え!!」


壁にぶつかる間に苦情を叫ぶ。


「次は、ウインドスラッシュじゃ」


「よし!【風よ】–【吹き裂け】–––【ウイ」


ボカンッ!


「まだ詠唱中なのにぃいいいいい!ぐへ、壁痛えよお!」


まさかの詠唱途中に爆発。


「次は、グランドバニッシュじゃ」


「こ、今度こそ!【土よ】–【爆ぜ」


ボカンッ!


「だから、早ぇえってえええええええ!!あばちょッ!」


まさかの2回目。


「次は、ライトニングスパークじゃ!」


「お、お願いします、爆発しないでぇ!【電げ」


ボカンッ!


「もう、魔法やらす気ないだろおおおお!?べぶぅっ!痛いな、チクショー!!」


もうネタ切れ感ある。


「ナリベ君、もうやめておけ...」


「じ、爺さん...俺、怖えよお!もう全部成功する気しねぇよお!けど、今までの背中はった意味無くなっちまうの嫌だからする!爺さん、か、簡単なのぷ、プリーズぅぅ!!」


「...初歩の初歩の攻撃魔法。ウォーター」


「た、頼むぅ成功しろよ!?【水よ】–【飛んでけ】–【ウォーター】ッ!!」


ボカンッ!


「ああああああ!また壁に当たるぅ!俺の背中が破滅するぅ!痛え...うぐはあ〜〜〜〜っっ」


情けなく倒れた。


「じ、爺さん。もっと簡単の...。俺はなんとしても魔法が使いたい...」


「分かった...。なら、日常で使う魔法。ライトじゃ」


「・・・。【光れ】–【ライト】」


・・・・・・・・・・。

俺の手の平には球体状の光球が浮いていた。

爆発は・・・なかった。


「よっ、しゃあああああああッ!魔法使えたあああッ!」


みんなが拍手した。

ありがとう、みんな。俺やったよ。感動だよ。超泣けるサクセスストーリーが出来たよ。この物語が映画化したら、この話をメインとした構成にして欲しい。


ふと拍手していた爺さんは申し訳なさ気に言った。


「ナリベ君。お主は」


「や、やめろ!言わないでくれ!」


「お主は、魔法が...」


「聞きたくねえええええええ!」


「魔法を使うのがド下手じゃ!」


「嫌だあああああああああ!せっかく、異世界に来たのにぃぃい!!」


両膝と両手を地面に着き、泣きました。


「はあ...これはイリネル君の勘違いかのぉ」


魔法適正得点–––4点。


==================================


第4テスト–––??


「これにて、テストを終了とする」


「・・・・・」


「ナリベ君。覚悟はいいね?」


「・・・・・」


「お主の・・・」


「俺さ、思うんだよ...」


「平均点数は・・・」


「なんでも数字で人を決めつけるのって」


「13点」


「良くないと思うんだってぇ!」


「ホモになりたまえ」


「嫌ァアアアアアアアアアアア!!」


口から泡を吹きたい気分になった。


「うぅ、美少女ハーレム...。どうしてこんなことに...」


俺、成部 楼努。

誕生日は4月27日。

多少のいざこざはあったが、頑張って生きて来た。

そんな俺の好きなモノ。

それは、ハーレム。スローライフ。金。権力。昼寝。飯。一番は、美少女である。

そんな、俺がホモに?

美少女が好きなのに?

何故だ。俺は、ただ、美少女ハーレムが欲しかっただけなのに。

静かに楽しむ、隠居生活みたいなのをしたかっただけなのに。

何故なんだ...。


ブゥン...。


そんなことを考えているうちに、部屋の光が消えた。


「え、何?おい、これどうなってんだ?爺さん?転校生?笑い袋女?・・・鼻水くーん?」


おい、おい。何故誰も反応しない?

停電とかこの世界あんだな。魔法で光を灯しているのに。

うーん、例えば魔法使ってるヤツが使うのをやめたか...やられたか...。


「ん、待てよ?」


やられた?そういえば、ここって...。

今、思えば、ここは天使が四人いる。

悪魔の敵はやはり、天使。

そんな天使のいる場所を襲撃しに来るのは、むしろ当然...。


「奇襲...か?」


だとするなら。皆んなの声がしないということは...。


「【動くな】」


どこからともなく、声が聞こえた。

次の瞬間。部屋は明かるさを取り戻す・・・緊急事態と共に。


「誰だよ、お前?」


俺の正面には、白い道化師の仮面を付けた俺より背丈のデカい銀髪男がいた。


「やっぱ、そんなことどうでもいいわ。とっとと、その子に向けたナイフを下ろせよ」


「な、成部さん...」


男は、イリネルの首にナイフを当てて、人質に取っていた。


「そんな偉そうなこと言えんのか?こっちは、人質がいんだぞ?」


急な展開に頭が追いついていない。だが、慌てていても、仕方はない。仕方ないだろ、落ち着け!冷静になれ...俺!


「他のヤツらはどうした?」


「他のヤツぅ?...あのジジイとかのことか?」


男の仮面の口がどういう原理か、ニヤリと笑った。


「ああ...それなら.....!」


その後の言葉は、俺の心を乱した。

何故なら、男は、自分のした行為に誇らし気に、


「殺したよォ!!」


"笑った"からだ。


「ふざけんな、テメェ!!」


まだ数十分の関わりだが、関係ない。俺の怒りは爆発した。

俺は走り出し、拳を振るうが片手で受け止められ、蹴りをくらい後方に戻される。


「くそッ!」


俺の睨みになんの興味も見せずにいた。


「動くなと言ったろ?オレは天使を三人...いや、この部屋に着くまでの天使、全てを殺した。残るは、お前ら二人だ。すぐに殺しちまうぞ、なあ?」


俺が震えているのを見て、さらに男の口角が上がる。

俺も、天使に見られているようだ。悪魔...か、どうかは分からないが、天使を区別する力はない?らしい。


「質問だ。勇者...召喚したんだろ?どこにいんだ?魔王様の邪魔者は排除しなきゃならないんだよな。分かるよな?言えよ、なあ」


こ、こいつ...俺を狙ってんのか?


「な、成部さん...言っちゃダメですよ...。勇者の正体が知られたら、勇者は...!」


「黙れよ。なあ」


ナイフは、イリネルの衣服の腹部を切り裂き、白い肌とヘソが(あら)わになる。


「お前!やめろォ!」


俺は走り出す。


「だから...だからァ!動くなって、言ってんだろーがよォ!!【燃え】–【失せろ】ッ!–––【フレイムベルグ】」


男は火の魔法を俺に放った。

咄嗟(とっさ)に両手でガードをしたが、


「あ...がはぁッ!!?」


球体状の火は、重い一撃を食らわせた。

ガードなど意味は持たず、後方に押される身体。

足で踏ん張りながら、消えゆく意識も何とか保たせる。

体は痛いが、根性で乗り切った。


「く、クソが...」


そんな、俺を見て男は目を丸くする。


「おっと、意外だなあ。死ななかったか。この塔の中で一番弱そうだったのになあ。というか、お前、天使じゃねーだろ?」


「は?」


「ガードしようと、魔法を使わなかった。天使は魔法の適正が高い。ガード出来ないことはないんだ、天使はな。つまりだ。お前は...」


「た、ただの通りすがりの人...ですよね!?」


その嘘は無理があるだろ...。


「勇者...なんだろう?なあ?ナリベ...さん?ククッ」


ば、バレちゃったよ、ほら。


「ハハッ!そうか、お前が勇者か、ナリベぇ?まだ何も魔法について教わってないようだなあ?ククッ、残念だったなあ...お前の人生はお終いだよ、ここで、な?」


「わ、私が勇者です...」


「ん?」


「お、おい。何言ってんだよ...お前」


急に転校生が変なことを言い出した。


「私が!魔王を倒すために召喚された...勇者です!」


何言ってんだよ、俺だろ?

て、てか。テスト、ダメだったから勇者じゃないじゃん、俺。ただのホモ(予定)じゃん。


「そうか...お前が、か。なるほどね、オレの勘違いか」


は?何言ってんだ、コイツら?


「なら、来いよ。女。どうなるか、分かってて言ったんだろ?」


「・・・・・っ」


転校生の表情に、悲しみが浮かぶ。

なんだ、勇者は殺されないのか。てことは...コイツ。


「お、おい!転校生!お前、俺を見捨てんのか!?」


天使を皆殺しにしたコイツは、恐らく俺を殺す。そのはずだ。


「・・・・・」


転校生は無言だった。

いや、コイツは人を見捨てるようなヤツじゃない。だとするなら...。


「教えてやるよ、ナリベ。今、魔王様はなあ。大怪我をしてしまってなぁ。治療しなきゃなんねーんだ。人間のように蘇生魔法のない悪魔(オレ)らはなあ、勇者を今すぐ、欲してんだ。だから、テメェはまた次の機会だ」


「な、なんだそりゃ」


助かった...のか?

てか、なんで勇者がいるんだ?

何か、特別な力があんのか...?


「儀式をすんだよ、魔王様を癒す」


儀式...。

何か、嫌な予感がした。

悪魔、儀式、魔法の治療。


「魔王様は多少の怪我は治せても、死に至る病まで治せないんじゃ。だが、負の力をためた治療魔法なら、完全回復だ。ためる方法は簡単」


フハハッと男は笑う。


「勇者に肉体的、精神的苦痛を味あわせ、悲鳴、嘆き、絶叫、負の感情を吐き出させる。勇者にしか、出せなくてなあ、これが」


苦痛...?


「特に女なら...たくさん苦痛を味あわせれるなあ!!」


「・・・・・ッ!?」


俺は背筋が凍った。

それと同時に理解した。

転校生は、俺を逃がそうとしてるんだ。自分が苦痛を代わることによって、時間を稼ごうとしている。

そして、それを知っていて...男はそれを承諾した。

ああ...とんだクソ野郎だ。コイツは。


「じゃあなあ、ナリベ。行くぞ、勇者」


「はい...」


行ってしまう。

この手の届かぬ所に。

だけれども、俺に出来ることなんて...ないだろ。


「おい」


ここで引き止めてどうする。

戦う?

そんなの無理だ。さっきまで、ただの高校生だったんだぞ。


「待てよ、なあ」


勝てるわけない。

俺は、ただの無力な小者だ。

あんなヤツに勝てる確率は絶望的に低い。


「どうしたんだ、ナリベ?」


「な、成部さん?」


無理。無理無理。

やめとけ。

また、繰り返すつもりか?

あの日の悲しみを、あの日の怒りを、あの日の絶望を。

忘れたのか?


「最後に、話がしたい」


「・・・いいぜ」


二人は俺に近付く。

男は、転校生から手を離した。

ナイフを転校生の背中に向けてはいるが。


「なあ、転校生...」


「はい、何ですか?」


人を救うってのは、とてつもなく大変なことだ。

俺がこの状況を打開出来るなんて、大それたことは言えない。

けど、


「手...握っていいか?」


「え...え!?な、なんですか、急に?」


耳まで赤くする転校生。

俺は、トーンを変えず続けた。


「いや、こんな綺麗な手、せっかくだから、もっと触っとこうと思って」


「は、恥ずかしい...ですけど...ど、どうぞ」


転校生は、手を差し出した。

俺はその手を、右手で"しっかり"掴んだ。


「おい、早くしろ。魔王様が待ってんだ。イチャつくな」


「い、イチャ!?し、してない...です」


けど、あの絶望を味わったからこそ、

忘れられないからこそ、

繰り返してはならない。

俺が救われたのは、きっとあの日の絶望を無くすため。

"君"は言った。

"全力で楽しめ"と。


「まったくだ。イチャつく暇なんて、こっちにはねーよ。だから、この後、胸揉ませろよ、転校生?」


「は、はいぃ!?何を言ってるんですか!!」


「ゴホン!行くぞ!こんな時にイチャつくでない!」


男が転校生に触れようとする前に、俺は"言い放つ"。

再度、転校生の手を強く掴んで、


「【水よ】–【飛んでけ】–––」


「なッ!?お前!」


"左手を男に向けながら"、先程使った、水魔法こと、


「【ウォーター】ッッ!!」


爆発魔法の名を。


ボカンッ!


俺と転校生とは、逆の方向へ爆発の勢いで男を吹き飛ばすことに成功する。

こちらは、二人だったため、重さで強く吹き飛ばされなかった。


困惑する転校生の手を離し、俺は言った。


「な、何が起こって!?」


「おい、転校生!逃げるぞ!」


「え?」


「二人で一緒に逃げるんだよ!生き残るぞ!」


「は...はいっ!」


俺たちは走り出した。

だが、


「"おい、待てよ"」


「きゃあ!?」


転校生は、どこからか現れた男にうつ伏せに倒され、その背中と右腕に足を乗せられていた。


「て、転校生!」


「おいこら勇者。待てよ。この女がどうなってもいいのか?」


「て、テメェ!」


なんだよ、コイツ!コイツまで転移して来やがった!卑怯だぞ、こら!


「な、成部さん!に、逃げて、逃げて下さい!!」


「は、はあ!?ふざけんな!出来るわけないだろ!」


「ナリベ、お前、ふざけたことしてくれたなあ。ホント、イラつかせんなよ、オレを。なあ、ナリベ、提案だ。コイツが殺されたくなければ答えろ」


「な、なんだ?」


「成部さん!聞かないで下さい!きっとロクな提案...」


「黙れよ、クソ!」


「あ...ぐぅ...っ!」


足を振り上げ、強く踏みつける。


「転校生!」


「聞け、な?聞いてけ」


「分かった...」


「お前に、二択だ。10秒以内で答えろ」


「・・・・・」


「①この女をオレが自由に"使う"30分の間にお前は逃げる。②この女を逃す代わりに、お前は素直に魔王様の生贄になる。選べよ」


「・・・・・」


「成部さん!①です!①を選んで下さい!」


「じゃあ、行くぞ?いーち」


「②だ」


「な、成部さん!?」


「なんだよ、即答じゃねぇか」


「逃げて下さい!まだ、天使の仲間も町の人たちも、外にいます!成部さんの力になってくれます!私なんて見捨てていいですから!」


「バーカ。お前の心配なんざ、してねーんだよ。逃げた所で殺しにくるんだろ?なら、立地も分からず彷徨って殺されるより、助けを待った方が賢明ってこった」


「そ、それは・・・」


「それに俺はまだ、お前の胸揉んでないから死ぬわけにいかねーんだよ。助けは...早めにな。多分、暇にしてるから。妄想で時間潰すつもりだから」


「台無しです」


「分かったら、とっとと助け呼んで来い。魔王城付近で会おう。じゃな!」


男に首根っこを掴まれ、トホトホと歩き出す。

イリネルは、男に手を離される。

彼女は自由になった。

じゃあな、転校生。元気でな。


「なんてな」


「は?...痛っ!」


そんな声と共に男が、俺を投げ飛ばし、転校生に手を向ける。


「・・・じゃあな。天使(ザコ)


「・・・・・ッ!?」


「おい、待て!ふざけんな!くそッ!」


俺は、男に向け走り出した。


「死ね」


「成部さん...」


「間に合え、くそおおおおおおおッ!!」


なんとか、男の手を俺の身体へ引っ張る。

押してもさして、軌道変更出来ないと判断してのことだ。

魔法は、俺の腹を貫く。


「あぁ...グハァっ、ガハッ」


痛い...っての。

俺の身体は力なく倒れた。

血が出る。口も腹も。赤い。

死が迫るのを本能的に察知した。


「成部さん!?そんな...」


「チッ。勇者を殺しちまった。仕方がねえ。どの道、お前も死ね!」


転校生に、手を再び向ける。


「待てよ...待ってって...」


俺は、死に損ないの身体を根性で動かし、男の足を掴む。


「死に損ないが...死ね」


俺に向けて、魔法を放つ。

男を掴んでいた、俺の右手は消滅した。


「あがぁ...つぅ...」


死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ。

俺の意識は黒に染まっていった。

死が、俺を襲う。


「今度こそくたばるよな。邪魔が入ったが、再開だ。死ね天使」


そんな男の声だけはしっかり聞こえていた。


「◯さん!な◯◯◯ん!起き◯くだ◯◯!死なないで!成部さん!」


アイツが殺される。

遠いからか、俺が死にかけだからか、声が聞き取りにくい。

今、殺されかけてるのに、関わらず、

コイツは俺の心配を...。


「【死ね】–【失せろ】–【紅蓮の】–【」


いいのかよ。

俺は死んでも。


まだ、何も出来てない。

まだ、約束を果たせてない。

まだ、何も返せていない。


諦めるなんて、嘘だろ。

そんなこと誰が許可すんだよ。

俺は俺に諦めろなんて命じない。


俺には、まだ希望(ひかり)がある。


諦めたら...この手は何のために.....何の、ためにッ!

あの(きぼう)を、掴んだんだッ!!–


まだ、死ぬことは出来ない。

まだ、右手を失い、腹に穴が空いただけだ。


身体は動かなくても、

心臓が鼓動を刻まなくても、

まだ【この魂】は–


【絶望してない】–


「–【終末曲(カタストロフ)】–––」


ならば、【前に進め】–

(ひかり)はまだ、そこにある。


まだ【望む】–


だから【立ち上がる】–


【絶望の未来を否定するため】–


【アイツを助けるために】ッ!–


【変えろ】–

【現実を壊せ】ッ!!!–––


「–––【インフェルノフルブレイカー】ッ!!」


–––【◯◯◯◯◯】。


俺は、イリネルを守るように正面に身体を広げる。

焼ける灼ける焚ける。


「ゔがああああああああああああッ!イリネルッ!!俺がお前を...守っ.....」


世界は暗く、暗転した。


==================================


「・・・っう」


「成部さん...っ!?」


「ん、あ...へ??」


目を覚ました俺は膝枕をしてくれていた転校生に頭を抱きつかれた。


「な、なんだ急に?」


「馬鹿ぁ...馬鹿ぁ...」


「お前には言われたくねーよ」


泣きべそかいていたが、容赦なくツッコんだ。

雰囲気とか、知らん。


「いやあ、びっくり。びっくりじゃ」


「ん?」


俺は、後ろを見ると、そこにさっきの男が。


「なっ!お前!」


「警戒するでない。魔法を解き忘れていただけじゃ」


「は?何言って。またなんかする気か!」


「ほれ」


そう言うと、男の体が縮んで行く。腰も曲がっていき、銀髪は白髪(しらが)へと変化していった。


「え...爺さん?ど、どうなってんだ」


「これも、テストだったんじゃ」


「はあ?」


「じゃから、ほれ」


爺さんが、指差す方向には、笑い袋女と鼻水くんがいた。


「生きてたのか...。で、何のテストだよ。こんな盛大な茶番しやがって」


「そりゃ、お主がふざけるからじゃろ。イリネル君にも内緒で決行したんじゃからな」


「別にふざけちゃねーよ。俺は、真面目に...」


「人質は見捨てて、笑うんじゃなかったのか?」


「ぐ...っ」


俺は、見捨て"は"、しなかった。

見捨て、"は"、な。


「戦いはクールにじゃなかったのか?」


「ぐ...っ」


俺は爆発を利用して逃げを選択した。

確かに怪我はしたし、汚れた。


「お主の"本気"を引き出す、臨時最終テスト、総合テストじゃ」


「で、勇者になれる点数だったか?」


「ふっ、結局、今までと全然違うのお」


「え?こんなに大変な目に遭って、90ねーのか?」


「どうだかのお」


「ど、どうだかってぇ!?はっきりしろ!今後、逃亡生活か、勇者ハーレム生活かの分かれ道なんだぞ!」


「だが、装置に入らなくていいぞ?お主は、儂...いやここにいる全員が気に入った。だから、免除じゃ」


「な、なんだ、そりゃ?良い結果なのか...これ」


「儂らにとっては、最高じゃ」


「はい?」


一体どういうことなんだろうか。


「のお?」


「ぞうでずべ」


「ふふっ、そうね」


「はい...やっぱりっ」


天使、全員がコクリと頷いた。


「ところで、最後の魔法はどうやったんじゃ?」


「は?魔法?」


「使っとったじゃろ?転移か、加速かは知らぬがな」


「いや、最後って言っても...」


俺は、確か...。

『【現実を壊せ】』

一体何か、分からない言葉。

何故こんなのが、頭に浮かんだんだ?

分からない。


「使った覚えは...ないぜ」


「イリネル君の正面に急に現れたのに?」


「あ...ああ。走った...んじゃ、ねーの?」


「...まあ、良い。今日から、お主は正式に・・・」


爺さんは、机に資料のようなものを投げる。

俺には角度的にそれが、見えなかった。


「お主は、勇者じゃ」


「まあ、テキトーに頑張るわ」


面倒くさそうに、俺はそう言った。


==================================


私、イリネルは、ふと議長様が机に置いた資料を見た。

そこには、


【ナリベ・ロウド】

勇者適正––48点。

最終テストを除けば、13点。

運動神経、普通。

反射神経は高い。

剣の腕は、素人。

どれも、鍛えれば良い傾向に成長すると考えた。

魔法は、低ランクのモノしか使えない。

だが、彼の魔法の失敗の際に起こる爆発。これは、魔法の暴走ではない。火が含まれない爆発...否、爆風を生み出してしまう。これは、彼が魔法を使用する際に風の魔法を使う生まれつきの悪癖のようなモノの所為だと考えた。だが、風の魔法を使っても失敗したため原因は不明。何かしらの力が、異世界転移の際に彼の負担と化している可能性が高い。

なんと言っても、勇者としての、威厳や性格の良さ、強い力がない。

だが、最終テストで見せた彼の本質は。

ある一人を思い出させた。


「ふふっ。やっぱり、成部さんは...」


忘れさられた絵本の勇者のことを。

これは、特例だが。

彼の未来を期待する意味を込め、判定項目を変えた新たなテストとして、採点し直す。

テストの呼び名は、その勇者の愛称を借りて。


「良い人、ですからね」


【ナリベ・ロウド】

英雄適正––90。

彼の勇者としては、甘い考えを儂は良いモノと感じた。

彼は、他の勇者と違うからこそ、新たな道を切り開けると感じた。

儂は彼を、勇者に認める。

英雄になるかは、分からぬが、

儂は、彼の未来を期待する。


「全ての人の英雄...にはなれなくても。きっと、周りの人を幸せにする英雄に...なる。こんな期待的な希望があるのは。私のワガママ...ですよね。えへへ」


私はボーっと、彼の背中を見つめた。

申し訳ありません!投稿遅くなりました!!

どうも、乃ガマです。

いや、まさかね。3話(分)でいきなり、投稿日詐欺をしてしまいました。

気をつけますけど、たぶんこれ恒例コーナーになります。

それにしても、今回は、疲れました。

2話目出してから毎日夜少し書いて、こんな内容。

小説作るって大変だなと思い知るばかり。

今回の訂正、修正、追加、山ほどありそう。結構説明でしたからね。

変更しましたら、最新話のあとがきにでもお知らせします。

最後とかは、ロウドの本心とか素の性格がポロっとでちゃいましたね。まあ、主人公なので。悪いヤツにするわけにはいかん!!口は悪くても行動はイケメンであれ!!これ、小説作るときの僕の格言です(笑)

あと、謎の◯◯とかは、結構ストーリーの後半で明らかに!

まあ、そろそろ、後書きを締めさせていただきます。

次回は、第3話「初めの一歩からの絶望」です。

ちょっと、このタイトルお気に入りです(笑)

第3話、8月の20日の深夜3時までには投稿します!

基本投稿は21時か23時ぐらいなんで、ちょくちょく確認しに来て下さいね!

早めに上がってる可能性がある...とは限りませんけど。

おそらく、18日まではかかります...。18日以降から確認して下さい!

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