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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
勇者のその後

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第98話 気持ち悪い男




「今日は、ここまでにしておきましょう、ヴィクトリア様」


今、私は今まで受けたことのない貴族の教育を受けている。

勇者ナオミと一緒にダンジョンに潜り、ダンジョンの最深部にいた魔王を討伐して、世界に平和をもたらした。


しかし、私たち勇者パーティーの影響を危惧した王国の裏切りにより、パーティーメンバー全員が奴隷にされてしまう。


アレクとルークは、トップの冒険者たちに払い下げられ、トリニティは宰相が購入。

そして、私はメイソン伯爵に購入された。


そのメイソン伯爵は、勇者ナオミも購入する予定だったが、奴隷商との交渉がうまくいかず、オークションに出されてしまったあげく金額が用意できず他の参加者に購入されてしまった。



その後は、勇者ナオミの行方を探して最近、居場所が分かったようで今日も機嫌がよかった。

おそらく、その購入者から奪う計画でも立てているのだろう。


ここにきて、私にどんなことをさせたいのか、メイソン伯爵の思惑が分かってきました。



「ヴィクトリア様、このまま学んでいけばすぐに帝王学は理解できるでしょう」


私の目の前にいる女性、メイソン伯爵からは家庭教師といわれていますが、もともとはお城で王子王女の教師を担当していたとか。

しかし、メイソン伯爵が引き抜いたそうです。


プライドの高いお城の教師が、奴隷の私に低姿勢で教育をする。

屈辱でしょうね……。


でもそこまでして、私に教育をすることが意味があるということは、私の出生の秘密を知っているということでしょう。


「ありがとうございます、テイラー様」

「いえ、テイラーで結構でございますよ、ヴィクトリア次期女王陛下」

「………」


この国は、他の国と違い年功序列が王位継承にも存在します。

現在の王がなくなった時、いくら王太子がいたとしても、王の血をひいた者が現れ、それが王太子より年上ならば、その者が王位を継承することになる。


これは建国以来の、継承の呪いといったもの。

これを覆そうと、歴代の王は何度試みたことか。しかし、年功序列でなかった王は必ず、王位継承の前日に原因不明で亡くなるということが起きた。


それ以来、この国では王位継承の前に、王位を継がせたい者より歳が上の者がいた場合は、処刑するという手がとられていったそうだ。


そして、今回は私が処刑されるはずだったが、その前に魔王が出現。


私は処刑を免れるが、危険な勇者パーティーに入れられた。

しかも、無理やりにだ。おそらく確実に死ぬだろうと期待していたのだろう。


だが、私は生き残った。

勇者ナオミをはじめとした仲間たちのおかげで……。

だが、それがこの事態を生んでしまったのだろう。



流されるまま、こうして私は教育を受けている。

この隷属の首輪がある限り、今の私に自由はない。


私が女王になったら、この首輪は外されるのだろうか……?




家庭教師のテイラー様が帰られた後は、この部屋にいるのは私と侍女の二人だけ。

しかし、部屋の扉の左右には常備兵士が二人見張りについている。


そんな中、今日は、いつもの人達とは別の人物が訪ねてきた。



「ヴィクトリア!元気にしているか?」


扉を開けると、すぐに私に近づき私の手を取りキスをする。

……キスと同時に舌を出して舐めるのは、この人が来るときはいつもすること。

はっきり言って、気色悪い……。


「お、お久しぶりです。みんなよくしてくれるので、私は元気です…よ……」


く、今度は両手で私の手をいじくりだした……。

本当に、この男は気持ち悪い。


男の名は、ローガン・ウィンブル。

私を購入した、メイソン・ウィンブル伯爵の息子だ。

この男、この屋敷内でもすこぶる評判が悪い。


26歳という年齢にもかかわらず、いまだ妻を娶らず性奴隷ばかりを側に侍らせて遊んでいるとか。

しかも、使い物にならなくなった性奴隷や、妊娠してしまった性奴隷は、お腹の子供と一緒に殺してしまうとか。


……殺してしまうというのは、屋敷内でささやかれている噂に過ぎないが、実際は廃棄しているらしい。



「フン……フン……フン……ああ、早くお前とベッドの上で遊んでみたいものだ……」

「………」


「ローガン様、そろそろよろしいでしょうか?」


いつまでも私の手をつかんで離さないローガンに、侍女が声をかけてくれる。

それを聞いて私の手を弄っていたローガンは、名残り惜しそうに話してくれた。


「ああ、我慢するしかないのだな……。

お前が女王になる前にてを出せば、私は父に殺されてしまうのだ。

名残り惜しいが、今日はここまでにしておこう……。


だが安心するといい、お前が女王になった暁には、私がお前の夫となる!

どうだ?嬉しかろう?」


……本当に気持ち悪い男だ。

こんな男が、私の夫に?悪い冗談としか思えない。


……だがそうか、この男を誘って処女でなくなれば………いや、伯爵が許さないだろう。

それに、私が処女でなくなれば私は用済みとして殺されるだけか。



「では、また会いに来るよヴィクトリア……」


部屋を出て行くときに、投げキッスとは……。

……いやだ!なんな男と結婚なんて、絶対嫌だ!


どうすれば……どうすれば、私は………。




▽    ▽




……ヴィクトリアの無事は確認したけど、だいぶ追い詰められているな。

このままだと、精神が壊れてしまうかも。


ロージーに連絡して、カウンセリングの用意もしてもらうか。






第98話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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