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転生先は宇宙船の中でした  作者: 光晴さん
月の謎

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第88話 ドラゴニックブルー




宇宙歴4262年12月24日、青い月の表面に建てられた塔が気になったので、ソフィアたちを誘い新造宇宙船『ベディヴィア』に乗り込み青い月へ向かった。


新造宇宙船『ベディヴィア』は、宇宙の墓場から引き取った廃宇宙船を修理改造したものではなく、一から造り上げた宇宙船だ。


宇宙船の色は、薄いブルーで船の横に翼を広げたドラゴンを横から見たシルエットの紋章が描かれている。

さらに、そのドラゴンは前足に盾を持つという特徴もあった。


また、この宇宙船は衛星軌道上から地上へ向けて攻撃ができるように船の下方向にしか攻撃力を持っておらず、惑星の地上攻撃専用の戦闘艦ということになる。



「さて、もうすぐ青い月に到着するわけだが、問題がある」


『どうしたんですか?どんな問題があるんですか、若旦那』

『青い月にいるホムンクルスに、会いに行くだけでしょ?』

「何の問題もないように思えるのじゃがのう……」


この子たちはわざと、分からないふりをしているのかな?

問題、大有りでしょ?


「あのね君たち、青い月に行ってどうやってホムンクルスと会話するのかな?」


『それは、普通にこんにちは~って……』

「そうじゃのう、それがあいさつじゃろう?違うのか?」

『………ああ、なるほど』


どうやら、エリーとソフィアは分かってないようだな。

アシュリーは分かってくれたようだ。


「アシュリー、この子たちに教えてあげて?」


『エリー、ソフィアさん、青い月に空気はありません。

空気の無い宇宙空間では、音の振動ができないため声や音が出ないんです』

『………ああ!そうです!声が出ないんでした!』

「何と!宇宙とやらでは、声を出すことが出来んのか?」


宇宙空間で、声を出すことはできないんだからホムンクルスを見つけても説明が出来ないんだよね。

説明ができないと、船に乗ってもらってからの会話に持っていけないんだよ。


空気のある船の中にきてくれれば、僕たちも会話ができるんだけど……。



「空気はなくとも、魔素はあるんだろ?」


セレニティーが、重大なことを言ってきた。


「あ、はい、この宙域には魔法を使うための魔素はあります」

「だったらソフィア、魔法通話が使えるんじゃないのか?」

「おお、そうじゃのう。魔法通話なら青い月の上でも会話は可能じゃな」


『セレニティーさん、その魔法通話って何ですか?』


魔法通話、それは空中に充満する『魔素』を震えさせ、空気中と同じように会話ができる通話初段の一つだ。

また、これをさらに発展させたのが『念話』と呼ばれるものだ。


念話も、魔法通話の1つで念じて会話をしているように思うが、実際は脳の電気信号を読み取り『魔素』を震わせ相手と会話しているのだ。


魔法通話は、念話の劣化版と思えばいいだろう。



『なるほど、そんな会話の仕方があるんですね~』

「……さて、会話の仕方は分かった。

ではソフィアとセレニティーのどちらに行ってもらおうか?」


「ん?何を言っているの?魔法通話を使えば会話ができるんだから、レオン君が行けばいいんじゃないの?みんなの代表なんだし……」

「セレニティー、教えて無かったかもしれないけど、僕に魔力はないよ?」


「ええ?!………本当なの?ソフィア」

「うむ、レオン殿には魔力はないの。

ちなみに、ここにいるメンバーの中で魔力があるのは儂とセレニティーのみじゃ」


そうだ、僕をはじめエリー達アンドロイドに魔力はない。

当然、魔法何か使えるわけないし、それに、青い月の表面に降りる手段もないんだよね。


宇宙船『ベディヴィア』は、衛星軌道上にいて力を発揮する戦闘艦。

だから、地上に降ろすなんて設計されてないから、着陸機能もない。


結果、ソフィアかセレニティーに頼るしかないわけだ……。




『後10分で青い月に到着します。到着後は青い月の衛星軌道で待機します』

「了解マリア。ロージー、マリアのサポートをよろしく」

『了解しました。マリア、私がサポートにまわります』


マリアは、ロージーに対して頷くと、ベディヴィアの操縦に集中する。

こっちはこっちで、ソフィアかセレニティーかでもめていた。



「それで、僕としてはソフィアにお願いしたいんだけど……」

「レオン殿の頼みじゃし、了承したいんじゃがの、儂は青い月は好かんのじゃ」

「何か訳でも?」


ソフィアがためらうなんて珍しいね。

何か重大なわけでもあるのかな?


「う~ん、実はのう、青い月には特殊な鉱石があるのは知ってるかの?」

「その鉱石が、あの青い月の色の正体だってことは分かります」


「そうじゃ、青い月にはその鉱石が大量に含まれておる。

……わしは、その鉱石が苦手なのじゃ。


なにせ、儂らエンシェントドラゴンを傷つけられる唯一の鉱石じゃからのう……」


「ソフィア!その鉱石ってまさか、ドラゴニックブルー……か?」

「ああそうじゃ、ドラゴニックブルー、別名ドラグ鉱石じゃ」


ドラゴニックブルー。

何かドラゴンの天敵って感じのする鉱石だな……。でも、ミスリルとかオリハルコンとか言うのかと思ったら、聞いたことない名前だったな。


でも、ソフィアやセレニティーには馴染み深い名前だったようだ。



『その、ドラゴニックブルーってどんな風に使われるの?』

「その鉱石が使われるのは、武器がほとんどだ。

しかもドラゴン退治の専門家『ドラゴンスレイヤー』にとっては必須の武器だからな」


「そうじゃ、青い星には無い鉱石。それがドラゴニックブルー。

空からたまに落ちてくるその鉱石を使って作られる武器こそ、ドラゴンの天敵の武器じゃ」



……これは、二人には頼めそうもないかな……。








第88話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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